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HOME > 事業を広げる > JAPANブランドで新市場に臨む

JAPANブランドで新市場に臨む 日本の感性はこうして生かされた


東北電子産業は、1970年代後半に東北大学からの依頼で、酸化物が発光する非常に弱い光を計測する装置の研究開発を手がけ、極微弱発光計測装置の開発に成功した。同装置が学会の研究論文で研究に使用された装置として掲載されると、海外の研究機関や民間企業に広がっていった。

自社開発のきっかけは産学連携

物質は酸化(劣化)すると極微弱な光を発する。東北電子産業(仙台市太白区)は、この物質から発されるフォトン(光子)レベル(ホタルの光の1万分の1程度の光)の光を検出する世界最高感度の発光検出装置を開発した。この装置は現在、高分子(プラスチック、ゴム)、食品、薬、化粧品、医療、生体試料等の分野で、酸化劣化度の検出や添加剤評価、品質管理、新素材開発などの用途に幅広く使用されている。

東北電子産業の本社外観。創業当時は家電製品などの製造・販売を行っていた

東北電子産業の本社外観。創業当時は家電製品などの製造・販売を行っていた

東北電子産業は、NEC研究者だった佐伯社長(現会長)が1968年に創業した。同社は創業当時、家電製品などの製造・販売を行っていたが、1970年代後半に東北大学からの依頼で、酸化物が発光する非常に弱い光を計測する装置の研究開発を手がけ、極微弱発光計測装置の開発に成功した。開発した極微弱発光計測装置で最初に計測したのは、インスタントラーメンだった。古いインスタントラーメンほどよく光ったという。揚げた麺の表面に付着した油が酸化し、その酸化物が発光していたためだ。

東北電子産業が開発した極微弱発光計測装置は当初、油の劣化測定装置として使われた。しかし、実は油だけではなく、さまざまな物質が劣化する際に微弱な光を発する。例えば、血液も酸化(劣化)すると微弱な光を発する。この光もこの装置で計測できることが知られ、医療研究分野でも広く使用されるようになった。その後、使用分野は広がり、今では食品、医療分野に限らず、プラスチック素材、ゴム、塗料、化粧品、薬品、といった多様な分野で使用されている。

極微弱発光計測装置は、物質の酸化劣化に関する研究、品質管理、製品開発に大きく貢献し、佐伯社長(現会長)はこれまでに、科学技術庁長官賞(1983年)、黄綬褒章(1988年)、発明協会発明賞(2001年)、旭日重光章(2009年)などを受賞している。

学会発表が販路拡大の契機に

大学などの研究者たちは、研究で得られた成果を論文発表する。研究論文は通常、学会などを通じて英文で全世界に紹介される。今から20年前に学会で発表されたある論文に、この極微弱発光計測装置が研究に使用された装置として掲載された。極微弱発光計測装置というニッチな製品だったが、研究者たちが発表する英語の論文が海外ユーザーの目に留まったことを契機に、同装置は世界の大学など多くの研究機関などに普及していった。

その後、同装置の使用されるフィールドは、学会、展示会、セミナー、研究会などを通じて、民間企業へも広がっていった。民間では素材研究、材料受入れ検査、製品出荷検査など、自社で製造する製品の品質管理で使用されている。

東北電子産業の強み

高い技術力とニッチな分野の装置であることが功を奏して、東北電子産業の極微弱発光計測装置の世界シェアは、今や100%近くを誇る。

同社製の極微弱発光計測装置「CLA-FS」。顧客の多様なニーズに合わせカスタマイズして納品する。三十数年間、微弱な光を計測し続けてきたノウハウが生かされている

同社製の極微弱発光計測装置「CLA-FS」。顧客の多様なニーズに合わせカスタマイズして納品する。三十数年間、微弱な光を計測し続けてきたノウハウが生かされている

同社の強みは、顧客のニーズに丁寧に対応する柔軟さにもある。極微弱発光計測装置は顧客の多様なニーズに合わせて、製品をカスタマイズして納品している。三十数年間、微弱な光を計測し続けてきたノウハウが蓄積されており、また、各研究現場で同装置がどのように使用されているのかを充分に把握している。それゆえ、相手のニーズが抽象的なものだったとしても、具体的にどのように検査すればいいのか、といった手法の提案や、顧客の要求を実現するための装置のカスタマイズ構成なども、合わせて提案できる。各社の研究部門担当者にとっては、頼もしい「外部アドバイザー」のような存在になっている。

他社の追随を許さない理由はそれだけではない。東北電子産業は、極微弱発光計測に関する研究開発から生まれる新しい関連技術の特許を毎年申請している。また、装置に備わる独自開発のソフトウェアはコピーできないように厳重な模倣対策が加えられている。海外に製品が輸出されるとコピーのリスクが高まるが、その対応も万全に行われている。

海外展開に向けた抱負

創業者であり極微弱発光検出装置の開発者でもある佐伯昭雄会長(写真左)と、山田理恵社長

創業者であり極微弱発光検出装置の開発者でもある佐伯昭雄会長(写真左)と、山田理恵社長

東北電子産業ではグローバルな販売網を広めるために、国や地方自治体から紹介されるアドバイザーに各地の販売代理店を探してもらい、国や地域ごとに販売店と代理店契約を結ぶ方法をとっている。現在は台湾、韓国、シンガポール、アメリカ、イギリスに拠点を置き、アジア、北米、ヨーロッパでの販売活動を展開している。

山田社長は「海外には可能性が満ちている。年間販売額のうち、輸出の占める割合を将来は50%にまで伸ばしていきたい」と夢を語る。海外市場は未知の世界だ。世界に広がるJAPANブランド製品。東北電子産業の極微弱発光検出装置は、それらの製品の品質を裏で支えている。

企業データ
会社名 東北電子産業株式会社
代表取締役社長 山田理恵
所在地 宮城県仙台市太白区向山2-14-1
業種 電子応用機器の開発、製造、販売等
掲載日:2014年3月24日


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