本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 事業を広げる > JAPANブランドで新市場に臨む

JAPANブランドで新市場に臨む 日本の感性はこうして生かされた


バブル崩壊後の急激な円高で、国内には海外から大量のアパレル企業が流入。それにともない、シバタ製針(奈良県葛城市)のメリヤス針を使い生地を生産する得意先が徐々に減っていった。危機感を覚えたシバタ製針は活路を海外に求めた。現在では生産高の約7割を輸出するまでになった。“武器”になったのは、メイド・イン・ジャパンのブランド力だった。

奈良から海外へ進出した理由

国内シェア約6割を誇るメリヤス針業界のトップメーカー、シバタ製針(奈良県葛城市)は生産した針の約7割を世界22カ国へ輸出している。1925年から続くシバタ製針の3代目社長・柴田健司氏に話を聞いた。

シバタ製針のメリヤス針工場内部。生産された針の約7割を世界22カ国に輸出している

シバタ製針のメリヤス針工場内部。生産された針の約7割を世界22カ国に輸出している

シバタ製針は1925年に柴田社長の祖父が兄弟で創業し、今はメリヤス生地を生産する編み機で使うメリヤス針を約3000種類ほど製造している。柴田社長の父にあたる先代社長が「他社と同じ製針機械では同じ製品しかつくれない。もっとより良い針を」と考え、製針機械も独自製造するようになった。高品質を追求する姿勢から生まれる高い商品力とメイド・イン・ジャパンのブランドが海外で高く評価されている。

シバタ製針は1970年代から、台湾や韓国をはじめ、海外に進出した日系企業の工場に針を輸出するようになった。やがて、高い品質が地元企業にも知られるようになり、「シバタ製針の針を売りたい」との話が持ち込まれ、販売代理店として提携を結ぶようになった。当時を振り返って柴田社長はこう語る。

「一時は、韓国の国内シェアの約6割を超えました。それで、韓国の関係省庁に呼び出され、お前らは売りすぎだと怒られたこともありましたよ」

海外進出の失敗と環境の変化

販路拡大のため、北米に自ら売り込みに行ったこともある。しかし、1985年のプラザ合意後の急激な円高で、本格的な北米進出は断念せざるをえなかった。その後、バブルが崩壊し円高の影響もあって、国内には海外から大量のアパレル企業が流入するようになった。それにともない、メリヤス生地を生産している得意先が徐々に姿を消し、国内の繊維業界が急激に縮小していった。

「繊維関係は今まで以上に縮小することはあっても復活することはない。国内で売れない分は海外に活路を求めることにした」と、柴田社長は当時の状況を語る。考えの通り、シバタ製針の売り上げ比率は国内から海外へシフトしていった。現在では生産高の7割を海外へ輸出するようになった。

英語版ホームページを活用

2002年に開設したシバタ製針の英語版ホームページ(HP)。取引開始の端緒はHPの場合が多いという

2002年に開設したシバタ製針の英語版ホームページ(HP)。取引開始の端緒はHPの場合が多いという

取引先を国内から海外へシフトしていったシバタ製針。今も積極的に販路拡大の営業活動をしているのだろうか。

「色々と情報収集はするのですが、最終的には向こうからのアプローチを待っていることが多いですね」と予想外の返答が返ってきた。どうやって、海外の企業が同社にアプローチしてくるのか聞いてみた。

「インターネットが多いですね。ホームページからの問い合わせから取引が始まった企業が多くあります」

シバタ製針が英語サイトを開設したのは、2002年4月。サイトを通じての注文や問い合わせに対しては、海外営業担当が対応している。高品質な商品力とインターネットがあれば、自ら現地に出向いて積極的に開拓しなくても、海外からアプローチが来るという良い事例でもある。

同社の販売代理店は世界22カ国にのぼる。販売代理店の数は今後さらに増えていく見込みだ。柴田社長はこう語る。「生産の7割は海外へ輸出していますが、今後は8割、9割と増えていくでしょう」。

確かに納品先の多くは新興国で、今後ますます経済成長が期待できる。人口増加を背景に、アパレル需要はますます増えていく。需要増にともない、シバタ製針がつくるメリヤス針の需要も増えることが期待される。

海外では想定外の問題も

シバタ製針は海外での種々のトラブルをくぐり抜け、経験値を高めていった(写真は同社外観)

シバタ製針は海外での種々のトラブルをくぐり抜け、経験値を高めていった(写真は同社外観)

海外企業の取り引きには、どんな問題が発生するのだろうか。

「海外の工場で、予想以上のスピードで針が摩耗するという事例が発生したのです。調査したところ、糸に砂ぼこりが付いていたことが摩耗の原因でした。国内の工場内は空調がしっかりしているため、外のほこりが入ってくることはありません。しかし、海外の工場では空調が無く窓が開いていて、さらに工場周辺は舗装されていませんでした。そのため、外の砂ぼこりが付着した糸で編んでいたのですね。これでは研磨剤で研磨しながら針を使っているようなものですから、予想以上に早く摩耗してしまいます」

環境が変われば、想定外の新たな問題が発生する。日本では起こりえなかった問題が海外では起こるということを表している。

「もう一つの問題は、トラブルが起きるのが海外だと、弊社のような小さな会社では現地事務所などありませんから、迅速に対応が出来ないのです。そのことで悪い噂がたってしまうリスクがあります。ですから、現地では力のある販売代理店を見つけることが大事ですね」

また、新興国に限らない海外取引での課題として、商標登録の問題がある。一部の国ではすでに『SHIBATA』ブランドの商標登録(第三者による抜け駆け出願)がされ、その対応にも苦慮されているという。このような抜け駆け出願に対しては現在、異議申し立てを行っているという。

“メイド・イン・ジャパン”のブランド力

シバタ製造針の柴田健司社長。海外取引を通じて、“メイド・イン・ジャパン”のブランド力を痛感した

シバタ製造針の柴田健司社長。海外取引を通じて、“メイド・イン・ジャパン”のブランド力を痛感した

最後に柴田氏は“ジャパン・ブランド”の魅力についてこう語った。

「メイド・イン・ジャパンというものは、我々が思っている以上に凄いブランドなのです。例えばインターネットから注文があって、当然のように前金を頂くわけです。ある時、インドのお客様が来日された時に、『よくインターネットだけで、会ったこともない当社にお支払い頂けましたね』と言いましたら、『日本の会社だから(前金でも)大丈夫。他の国の会社なら、絶対に前払いはしないよ』と言われました。商品の品質だけではなく、日本もしくは日本の企業に対する信頼が非常に強いことを感じました」

今後については、これまで築いてきた『SHIBATA』ブランドを活かして、海外企業との技術面や販売面でのパートナーシップを締結し、より戦略的に海外展開の次のステージへと進んでいきたいという。

50人ほどの規模の工場で、奈良から世界に挑戦し続けるシバタ製針。世界トップクラスの技術力と3000種類の豊富な品揃えがあるからこそ、グローバリゼーションの波に揉まれても、ブレない力強さがそこにある。その高い品質とメイドインジャパン・ブランドの力を活かして、今後も、さらに海外で活躍してゆくことだろう。

企業データ
会社名 シバタ製針株式会社
代表取締役社長 柴田健司
所在地 奈良県葛城市南道穂137
業種 メリヤス用編み立て針、および付属品の製造販売等
掲載日:2014年3月17日


このページの先頭へ