本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 事業を広げる > JAPANブランドで新市場に臨む

JAPANブランドで新市場に臨む 日本の感性はこうして生かされた


タキイ種苗(しゅびょう、京都市下京区)は、野菜や草花の品種開発・生産・販売などを手がける。同社の種子が初めて海を越え、ハワイの食糧雑貨商に輸出されたのが1920年。今では、高品質の種子や海外の現地代理店との信頼関係の醸成により、取引先は全世界に広がっている。

戦前から海外へ積極展開

野菜や草花の品種開発・生産・販売などを手がけるタキイ種苗(しゅびょう、京都市下京区)が創業したのは、江戸時代後期の1835年。2015年に創業180年を迎える。優良な種子を採種し分譲する事業をスタートさせてから、種苗のカタログ販売や海外展開、新たな品種開発などの先駆的な取り組みで種苗業界をけん引している。

江戸時代後期創業のタキイ種苗は早くから海外展開を始めている。写真はタキイ種苗の海外向け英文カタログ(1934年発行号)

江戸時代後期創業のタキイ種苗は早くから海外展開を始めている。写真はタキイ種苗の海外向け英文カタログ(1934年発行号)

タキイ種苗によると、同社のタネ(種子)が初めてハワイの食糧雑貨商に輸出されたのは1920年のことだった。それまで日本では、海外から種子を輸入することはあっても輸出することはほとんどなかった。ハワイに種子が輸出されたのは移住した日本人が多かったことが背景にある。

1927年に外国向けの英文輸出カタログが作成され、1930年には営業を担当する外国部を創設、海外との取引が積極的に進められた。その翌年、カタログを見直し外国で利用される品種を中心に掲載したカタログを海外に配布したところ、花の球根や野菜の種子、農薬などの注文が増えたという。

1937年には旧満州(現中国東北部)に会社を設立し、現地向けの通信販売も始めた。旧満州には種子を扱う専門業者が無かったこともあり、タキイ種苗が提供する野菜の種子や花の球根、農薬などは人気を博した。その後、台湾に農場を開設し、農場経営にも着手した。大正時代から力を入れて取り組み拡大してきた海外事業であったが、1945年の終戦により一時中断されることとなった。海外輸出を再開したのは1950年からだった。

細やかな感性で新たな技術確立

「『一号』甘藍」1950年に発表された世界初のF1キャベツ。現在でも各地で栽培されている

「『一号』甘藍」1950年に発表された世界初のF1キャベツ。現在でも各地で栽培されている

「より良い種子を創造し、高品質種子の安定供給により社会に貢献する」-。タキイ種苗の経営理念だ。その言葉通り、同社はより良い種子をつくるために絶え間ない努力を続けている。

ターニングポイントとなったのは、性質の異なる2種類の原種を掛け合わせる「F1技術」を確立したことだった。この技術を使ってつくられたものをF1品種という。例えば、甘い品種と病気に強い品種を掛け合せることで、甘くて病気に強い品種を作ることができる。F1品種には(1)生育が良くて揃う、(2)収穫量が多い、(3)病気に強い、といった特徴がある。タキイ種苗はそのような品種を生み 出す技術のパイオニアでもある。

もともと、日本では農業技術の研究が盛んだった。特に野菜の花を交配させる技術は非常に細かい作業で、日本人の性質を生かすことができたため、育種技術は日本で発達したという。

「タキイ研究農場」滋賀県湖南市にあるタキイ研究農場。品種開発の中心農場で、面積は約70ヘクタール

「タキイ研究農場」滋賀県湖南市にあるタキイ研究農場。品種開発の中心農場で、面積は約70ヘクタール

タキイ種苗は1935年に長岡実験農場(京都府)を設置し、さまざまな研究を行ってきた。海外においては、病気に強いものや形の良いものといった取引先のニーズに合わせて品種改良を行った。同社で生みだされた新品種は2000品種。新品種を生み出すのは、ブリーダーと呼ばれる人たちだ。彼らは、何万何千もの組み合わせの中から最適な組み合わせを見つける。

海外の企業が新たな品種をつくる場合、親の素材を調べて何万何千もの組み合わせを全て行いベストな組み合わせを選ぶが、タキイ種苗のブリーダーは親の形質を分かった上で組み合わせのパターンを決める。しっかりと見極める目を持っていなければできないことだ。種苗会社には果菜類、葉菜類、根菜類に特化している会社が多い中、タキイ種苗は幅広い品目で多くの優良品種を持っていることが強みでもある。

また、タキイ種苗では、海外の取引先が希望するサイズやパッケージに梱包した上で品種名を記載したラベルを貼って出荷している。それぞれの国や農家に合わせているのだ。品種づくりだけでなく、営業活動の面でもきめ細やかな対応をしている。

信頼と信用がすべて

「ヒマワリ『サンリッチ』」切花向けのヒマワリ。オランダの花卉(かき)市場では9割以上のシェアをもつ

「ヒマワリ『サンリッチ』」切花向けのヒマワリ。オランダの花卉(かき)市場では9割以上のシェアをもつ

タキイ種苗の取引先は全世界に広がっている。アメリカ、ブラジル、オランダ、インドネシアなど主要な拠点には現地法人を設立、現在では12拠点となった。現地法人ではそれぞれカバーする地域が決められ、それ以外の地域は本社でフォローしている。

タキイ種苗の種子は、現地法人や現地代理店を通じて、世界の種苗店や農家に販売される。現地代理店は、肥料や農薬などの農業関連全般の輸入販売を手がけている会社が多い。現地の人が訪問し、その国の言葉で話し、その国の営業手法で顧客開拓をすることが最善の方法である。現地法人のない国では代理店がその役割を担うため、代理店との関係は大変重要となる。

本社内にあるタネの品質検査施設「品質管理センター」

本社内にあるタネの品質検査施設「品質管理センター」

代理店との信頼関係が重要なのは、顧客開拓のためだけではない。農家を含む農業関係者から細かなニーズをヒアリングして、現地法人や本社の営業担当者に情報を伝えてくれるのは代理店だ。日本の営業担当者が現地を訪問する際には、代理店と共にできる限り農家を訪問し直接話を聞くが、日常的な情報収集は現地の代理店が行う。現地のニーズや要望をかなえる品種を日本でつくり、それを現地の農地に埋めて確認し、うまくいかない点があれば改善する。新たな品種を完成させるまでには通常10年もかかる。種をまき野菜ができたらまた種子を購入してもらうサイクルをつくり上げるには、信用関係の醸成が必要だ。良い種が送られ、良い品種ができることが信用につながり、ブランドの構築にもつながっている。

タキイ種苗は発芽の良さでも評価が高い。検査にもコストをかけ、相当な量の種をテストし、基準を満たさない種はすべて廃棄する。高品質を維持するために、コストをかけるが、これも信頼を得るために重要な取り組みだ。

世界にタキイ種苗の種苗を

タキイ種苗は欧米、中国、東南アジアなど主要地域・国にはすでに進出している。これから重視する地域としては、中近東などのイスラム圏を挙げている。野菜や草花をもっと広めたい。そして、その国の人々の生活改善や農業の発展に貢献したいという考えから、タキイ種苗は今後も世界に良いタネを提供し続けていくだろう。

企業データ
会社名 タキイ種苗株式会社
代表取締役社長 瀧井傳一
所在地 京都府京都市下京区梅小路通猪熊東入
業種 野菜や草花の品種開発・生産・販売等
掲載日:2014年3月 7日


このページの先頭へ