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JAPANブランドで新市場に臨む 日本の感性はこうして生かされた


バターをふんだんに使った焼き菓子「シガール」で有名なヨックモック(東京都千代田区)。「菓子は製造するものではなく、創造するもの」をポリシーにしている。同社は海外進出をする上で、単に商品のみを持っていくのではなく、店舗運営や接客技術など日本のおもてなしの心を含めてパッケージで“輸出”する。

お菓子は“創造”するもの

「ヨックモック」という会社名は知らなくても、同社の商品を一度は口にしたことがある人は多いだろう。丁寧につくられたヨックモック(東京都千代田区)の洋菓子が、海外で人気を集めている。

ヨックモックの名を世に知らしめた洋菓子「シガール」。バターが最も多く配合され、小麦粉はつなぎ程度にしか使われていない

ヨックモックの名を世に知らしめた洋菓子「シガール」。バターが最も多く配合され、小麦粉はつなぎ程度にしか使われていない

ヨックモックの名が知られるようになったのは、今から45年程前にバターをふんだんに使った焼き菓子「シガール」の開発がきっかけだった。「ヨーロッパで親しまれていたラングドシャのような菓子を提供したい」と思いから、原材料の配合から形状に至るまで試行錯誤を繰り返した結果、全く新しい菓子を“創造”することができた。

当時の一般的なクッキーは小麦粉の配合量が最も多かったが、シガールはバターが最も多く配合され、小麦粉はつなぎ程度の量しか使われていない。独特の食感を生み出すために薄く焼いた生地を葉巻状に巻いた。

ヨックモックは『菓子は製造するものではなく、創造するもの』というポリシーを掲げている。高価格なものや希少性のある材料にこだわるのではなく、求めるおいしさにふさわしい材料を厳選する。例えば、小麦粉ではヨックモックが目指すクッキーに最も適した製粉ができるメーカーを選んでいる。

熱烈なラブコールを受けて海外へ

最初に海外進出をしたアメリカでは、ギフトを受け取った人がギフトを送る側になるという好循環が生まれた

最初に海外進出をしたアメリカでは、ギフトを受け取った人がギフトを送る側になるという好循環が生まれた

ヨックモックの菓子は、海外にも多くのファンを持つようになった。20数年前、最初に進出したのはアメリカだった。あまりの美味しさに驚かれ、「ヨックモックの商品を取り扱いたい」という熱烈なラブコールを受けてのことだった。

アメリカでは、ソフトで口溶けの良い食感やしつこくない甘さに驚いた人たちがクリスマスギフトとして利用するようになった。11月下旬のサンクスキヴィング・デーからクリスマスまでの「ホリデー・セール」で販売したホリデー缶は、ギフトを受け取った人が味に驚き今度はギフトを送る側になる好循環ができ、ヨックモックファンはどんどん広がっていった。

ビジョンの共有が大前提

ヨックモックはビジョンを共有できるかを基準にして海外展開をしている

ヨックモックはビジョンを共有できるかを基準にして海外展開をしている

ヨックモックには世界各国から毎日のように「商品を取り扱いたい」との声が寄せられるが、お互いのビジョンを共有できるパートナーであるかどうかを見極め、商談を進めるようにしているという。ヨックモックの菓子で現地の人が幸せになり、現地で商品やブランド自体が長く愛されることを重視しているためだ。「お金はあるし、場所もある。だからお店を出そう」という話もあるが、オーナーは意欲的でも、スタッフレベルの意欲は乏しいケースもある。だからこそ、膝を突き合わせじっくりと話し合い、同じビジョンを持つことを大切にしている。

アラブ首長国連邦(UAE)のパートナー企業のオーナーは、日本を訪れた時にヨックモックの商品に触れ、おいしさに驚き、長期にわたるアプローチを続けてきたそうだ。1号店は首都アブダビの官庁街でもあり富裕層の多く住む地区にあるアルハナセンターの1階に作られた。

アラブ首長国連邦には、試食をしてから購入を決める習慣がある。ヨックモックの菓子を試食した人は、サクサクした食感と独特のしっとりとコクのある甘さに驚きを隠さないという。また、日本では行っていない、好きな商品を詰め合わせできる販売スタイルを導入して現地の習慣に合わせる工夫もしている。そのほか、トレーの素材にも趣向を凝らし、ベネチアングラスのトレーに盛り合わせた商品や、10万円近い螺鈿(らでん)でつくられたトレーに盛り合わせた商品なども販売したという。ドバイでもギフトをきっかけにファンが増えていくというサイクルが出来上がりつつある。店舗数は2014年2月の時点で8店舗になり、7店舗目のシティウォーク店、8店舗目のドバイ・モール店のオープン時にはセレモニーを行った。

日本流を貫く人材育成

ヨックモックの渡邊太郎社長。人材育成では日本流のおもてなしの心を海外スタッフに伝えるようにしている

ヨックモックの渡邊太郎社長。人材育成では日本流のおもてなしの心を海外スタッフに伝えるようにしている

アラブ首長国連邦の店舗では、商品供給とブランド管理がヨックモックの役割だ。特にブランド管理には力を入れ、他店との差別化のためにさりげなく日本を感じさせるような店舗づくりを心がけ、なるべく日本のブランドであることをアピールするようにしている。店内を清潔に保つことはもちろん、ディスプレイには南部鉄器の急須や陶器など和風なものを配し、日本人の考える心地よさを演出するように指導している。

人材育成では、商品だけでなくすべてに気を配るのが日本人の考え方だとスタッフに伝える。両手でドアを開けることや、指を揃えて商品を指し示すこと、最後までお客さまをお見送りすること、といった日本流のおもてなしの心を共有する。

店舗スタッフは日本のことが好きで興味を持っている人が多く、創業者の話に至っては日本の社員と同じくらい理解しているのではないかと思うほどだという。自ら日本語の発音をチェックしてほしいと依頼してくるほど熱心なスタッフもいる。ヨックモックのブランドについての考え方をしっかり理解した立ち上げ時のスタッフは一人も辞めていない。彼らが一人ずつ新たな店舗に配されることで、先輩社員が新たなスタッフを指導し、店舗管理をする流れになっている。

昨年末、ヨックモックのアラブ首長国連邦での人気がニュースで報じられた。成功の裏には、単においしい商品を提供するだけではなく、パートナーとの時間をかけたビジョンの共有や、日本流のおもてなしの心をスタッフと共有し、来店者に体感してもらえるようにする地道な努力があった。日本の「モノづくり」と「おもてなしの心」は、ヨックモックの洋菓子を通じて世界中に広がっていくだろう。

企業データ
会社名 株式会社ヨックモック
代表取締役社長 渡邊太郎
所在地 東京都千代田区九段北1-8-10
業種 菓子製造販売等
掲載日:2014年2月26日


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