本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 事業を広げる > JAPANブランドで新市場に臨む

JAPANブランドで新市場に臨む 日本の感性はこうして生かされた


鹿児島から世界のマーケットに挑戦-「光ディスク修復装置」エルム
世界の全自動光ディスク研磨装置市場で9割のシェアを占めるエルム。同社製装置を使えば、従来の装置で30分以上かかっていた0.01ミリメートルの深さの傷を4-5分で修復できる。エルムの宮原隆和社長が国内外でトップシェアを獲得するためにとった戦略は一見すると突飛だが、的を射たものだった。

エルムの商品が「ナンバー1」の理由

エルムが自社開発した全自動光ディスク修復装置の最大の特徴は、その修復スピードの速さと安定した平面修復技術だ。従来の装置では30分以上かかっていた0.01ミリメートルの深さの傷を4-5分で修復できる。傷付いたり汚れたりして、読み取りが不可能となったCDやDVDの表面が磨かれ再使用可能になる。

商品開発で一番苦労したことは、ディスクを平らに均一に削る技術である。この技術には未だ誰も追いついていない。なぜなら、シンプルな方法を特許で抑えているからだ。技術はシンプルなほど追い越すことは難しいという。エルムは2年かけて平面研磨技術を開発し、更に研磨用水の再利用技術の開発とディスクの自動供給の改良を加えて4年の間に現行機を完成させた。

国内トップシェアになるための戦略

鹿児島県南さつま市にあるエルム本社外観

鹿児島県南さつま市にあるエルム本社外観

エルムの光ディスク修復装置は、世界の全自動光ディスク研磨装置市場で9割のシェアを占める。どのような経緯で世界9割のシェアに至ったのだろうか。

鹿児島県に本社を置くエルムは、地方企業が全国レベルの販売網を構築するという不利を解消するために代理店を探した。そこで目を付けたのが、当時ディスク修復ビジネスのトップ企業である。圧倒的な性能差を持つエルムの全自動光ディスク修復装置は、その企業と提携したことによって、一晩で国内シェア7割の販路を得ることに成功した。市場シェアトップの会社を販売パートナーにすることについて、宮原社長は次のように語る。

「市場のトップが、どういう反応を示すかで製品のレベルがわかります。『そんなの興味ない』と言われるならやめた方がいいんです。逆に、『こんなものを売られたら困る、うちで売らしてよ』と言わせることができるかどうかなんです。そうすれば、一晩で日本の市場を自分のものにできます」

提携した会社は当時、市場の7割のシェアを持っていた。しばらくの間は、その会社の製品とエルムの製品を併売してもらっていったが、エルムは機械を改良し、よりコンパクトで安い機械をシリーズ化していったので、徐々にエルムの製品の割合が増えていったという。相手の会社としても、いつまでも旧型の機械に頼るのではなく、新しいモデルを売る方が良いからだ。

世界トップシェアになるための戦略

エルムでは、気象衛星NOAAの高解像度画像を受信し解析する装置なども開発し販売している。海面や地表の温度を分布解析する装置(写真)は、水産試験場や大学などの研究機関などでも利用されている

エルムでは、気象衛星NOAAの高解像度画像を受信し解析する装置なども開発し販売している。海面や地表の温度を分布解析する装置(写真)は、水産試験場や大学などの研究機関などでも利用されている

エルムは海外のマーケットを押さえるために、2002年1月にラスベガスで開催された展示会に出展した。アメリカのその展示会では出展場所を選ぶことができた。そこで、エルムはアメリカでトップの企業のブースのすぐ近くに出展した。

トップ企業のブースを見るために世界中から人が集まり、その人たちはエルムのブースに注目した。なぜなら、アメリカトップ企業の製品より格段に上の技術力を持っていたからだ。その結果、アメリカトップ企業もまた、エルムの商品には勝てないと判断し、エルムの代理店となった。また、その展示会で知り合ったスペインの会社はエルムのEUの代理店となった。

次々と代理店網を構築していく戦略について、宮原社長は語る。
 「人間というのは、守りたいという、ネガティブな気持ちがどうしても出てしまうのです。そうなると、全部自分でやりたくなってしまうのですが、それだと限界があるんですね。私はそうじゃなくて、自分の優れている部分を活かすと同時に、苦手な部分については全部、他社に依存して提携してやっていくんですよ。だからこそ、世界中でネットワークをつくることができた」

国内外の代理店と提携しているエルム。様々な会社と提携し世界中にネットワークを作っていく上で大切なポイントを聞いてみた。回答は、「お互いにWin-Winを考えるパートナーを選ぶこと」だという。このポイントは、自社の利益や権利のみを主張する企業とは関係が長く続かなかった、という過去の苦い経験から学んだことだという。

宮原隆和社長

宮原隆和社長

エルムの強さは製品力だけではない。保証やメンテナンス、アフターサービスについても充実させている。この細やかな配慮がジャパンブランドの強さの一因だと宮原社長は語る。

「日本人は、細かなところまで配慮が行き届くという感性においては、世界で一番優れた素質を持っていると思います。自己中心ではなくて、相手のことをよく理解した上で、その感性を商品に盛り込むことができれば、皆から非常に高く評価してもらえるものが出来るのではないかと思います。ただ、日本の場合、ガラパゴス携帯のように、国内だけの視野で仕事をしてしまう人が多い。インターナショナルでない人が多いので、もっとインターナショナルな視点を持って、得意の感性でモノを作れば、凄く良いものができるんじゃないかと私は思うのです」

エルムは、パートナーに対してもこの細やかな配慮を求める。「売らしてほしい」という会社は世界中から来るが、アフターフォローの体制がきちんとできる会社でないと組まない。パートナーを見極めるため、必ず一週間、日本にエンジニアを送ってもらい、トレーニングをして、きちんとできると評価できたら、代理店として任せて良いと判断しているという。「メンテナンスやサービスに気持ちがある会社じゃないとやりたくない、と思っております」と宮原社長はきっぱりと言い放つ。

製品の品質、そこから提供される利便性、そして、それを担保する保証やメンテナンス、アフターサービスをトータルで見た時に、優れた商品であるからこそ、高価でも価値があると評価されるのである。

今後のビジョン

宮原社長の今後のビジョンは、社員一人あたりの年商を5000万円の会社にすることだという。大きな会社にするという意味ではなく、社員一人ひとりの価値を高めていくことが、会社自体を豊かにするという考えだ。ディスク修理ビジネスの成功に満足せず、新しい事業に挑戦し続けるエルムは、これからも鹿児島から世界に挑戦し続けていくことだろう。

企業データ
会社名 株式会社エルム
代表取締役社長 宮原隆和
所在地 鹿児島県南さつま市加世田宮原2398
業種 光ディスク修復装置等産業用電気機械・器具、照明器具の製造販売、
追尾型太陽光発電装置の製造販売及び発電事業
掲載日:2013年12月25日


このページの先頭へ