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JAPANブランドで新市場に臨む 日本の感性はこうして生かされた


世界の天体観測マニアを惹きつける-「タカハシ天体望遠鏡」高橋製作所
1932年に創業。元々は、鍋や三輪車といった鋳物製品をOEM(相手先ブランド)製造していたが、「エンドユーザーが良いと思う商品を作りたい」との思いから1967年に天体望遠鏡メーカーへの転身を図った。現在は世界各国の愛好家の憧れの天体望遠鏡ブランドとしてのポジションを確立している。

天体望遠鏡メーカーとしてのポジション

1967年にオリジナルブランドを発売したが、それまでも日本のメーカーからの依頼により、海外輸出用の天体望遠鏡を生産していた。オリジナルブランドを作るきっかけとなったのは、前会長高橋喜一郎氏の趣味が天体観測であり、彼が「自分自身が納得できる商品を作りたい」と考えたことだった。

より性能の良い製品を求める声は天体観測の愛好家仲間からも寄せられた。天体望遠鏡の土台は鋳物でできているため、元々培ってきた技術を活かすことができた。それから、徐々に様々なパーツづくりに取り組み1967年に完成した。こだわって作った天体望遠鏡は、天体観測マニア向けの高額商品であった。

タカハシ天体望遠鏡で観測撮影したオリオン座の散光星雲NGC1973

タカハシ天体望遠鏡で観測撮影したオリオン座の散光星雲NGC1973

当時は販売ルートが無かったため直販をしていたのだが、天文ガイド雑誌への広告掲載や記事で取り上げられたことにより、その性能の素晴らしさが広まり、問い合わせが殺到したという。天体望遠鏡を作るメーカーも多かった時代だったが、ターゲットをマニアに絞り、彼らが求める高品質な商品を作り上げたことで、高性能天体望遠鏡メーカーというポジションが確立された。

世界の天体観測愛好家から求められるタカハシブランド

公的な天体観測所で正式に利用されているタカハシ天体望遠鏡。海外からも問い合わせが多く、欧米をはじめ、オーストラリア、中国、韓国などで流通している

公的な天体観測所で正式に利用されているタカハシ天体望遠鏡。海外からも問い合わせが多く、欧米をはじめ、オーストラリア、中国、韓国などで流通している

タカハシブランドの天体望遠鏡と海外メーカーとの最大の違いは、製品全体の性能の高さである。タカハシブランドの天体望遠鏡においては、波長436ナノメートル(ナノは10億分の1)のg線から656ナノメートルのC線までの領域で、焦点距離のズレはわずかプラスマイナス0.1ミリメートル以内に収まっている。これは、通常の天体望遠鏡の約100分の1の収差である。また、通常の天体望遠鏡では観測不可能な可視光以外の近紫外域から近赤外域までもカバーしている。このため、極めて鮮明に対象の天体の姿をとらえることができるのである。

また、タカハシブランドの天体望遠鏡は、県立ぐんま天文台や、ながさき県民の森など、公的な天体観測所でも正式に利用されており、その性能の高さは世界的に評価されている。タカハシブランドの天体望遠鏡は、海外からも問い合わせが多く、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中国、韓国などで流通している。海外では代理店を経由して販売、流通量が多いのはアメリカとヨーロッパだという。

最初に代理店ができたのはアメリカだった。どうしてもタカハシの天体望遠鏡を取り扱いたいという問い合わせがきっかけで契約を結んだ。その後、アメリカ国内の流通量を増やすために大手に代理店を変更したが、現在では1社の総代理店を通じてアメリカ国内30店舗で販売されている。

日本の主な客層は50-60代の人達だ。彼らは子供の頃から天体観測に興味を持っていたが、当時は高価なタカハシの天体望遠鏡を手に入れることができなかった。現在は経済的にも余裕ができてきたため、憧れだったタカハシの天体望遠鏡を購入し、天体観測を楽しんでいるという。アメリカを始め、海外でも同じような年代が購入しているという。彼らが天体望遠鏡を選ぶ基準は「どこの国の製品か」ということではなく、「どのメーカーの性能が良いか」であるという。そのようにして選ばれたのがメイドインジャパンのタカハシ天体望遠鏡なのだ。

妥協なきモノづくりへの信念

設計通りにレンズを配置しレンズの中心を合わせて傾きを調整するには職人技が必要

設計通りにレンズを配置しレンズの中心を合わせて傾きを調整するには職人技が必要

世界中の天体観測マニアから求められる天体望遠鏡作りにおいて、妥協は許されない。天体観測マニアから支持されるためには、それだけの高い性能が求められるからだ。

それぞれの部品を作ることはどの会社でもできる。しかし、望遠鏡の価値を決めるのはそれら部品を組み合わせる工程にある。

設計通りにレンズを配置し、きちんと観測できるように調整するのは職人技であり、簡単にできることではない。レンズの配置の仕方や調整で見え方が全く異なるのだ。例えば、FSQ-106EDという製品は4枚のレンズを使用しており、レンズを設計通りに配置し、レンズの中心を合わせて傾きを調整する。

調整は工場内に設置されている人工星で行われるが、レンズを通して見える星が点で捉えられるまで妥協せずに調整を行うという作業は非常に難しく、この職人技が天体望遠鏡の品質の高さを決める。これこそ、他社が追随できない技術である。FSQ-106EDは1999年に発売され、世界中で大変人気の高い商品であるが、未だに競合商品が現れてないという。

好きこそものの上手なれ

技術の継承にも注力する高橋登喜男社長

技術の継承にも注力する高橋登喜男社長

優れた製品づくりには優れた職人が欠かせない。1967年から高性能な製品に特化して作っているが、技術の継承も重要だ。製造にかかわる人材については、入社時に適性を見極めるため、ジョブローテーションで様々な工程を経験させる。その後、それぞれの適正に応じた工程を任されるようになる。先輩が後輩を指導し、一人前になるまで育てあげる。一通りの作業ができるようになるまで約3年かかるというが、難しい工程を担う技術を身に付けるまでには、さらにかなりの時間を要する。高橋製作所には天体観測を趣味としている社員も多いという。「好きこそものの上手なれ」とは、まさにこのことだろう。

高橋製作所では年間4、5回のイベントに天体望遠鏡を出展し、多くの人に自社製天体望遠鏡を使って星空を眺めてもらえる機会を提供している。30年以上続けて出展しているイベントもあるそうだが、天体望遠鏡から眺める星空に感動する参加者の顔を見ると出展してよかったと感じるという。都心は照明が明るく星空を眺める機会も少なくなっているが、少しでも天体観測を楽しむ人のすそ野を広げたいと考えている。

より良い製品を作ると、さらに良い商品が求められる。高橋製作所の今後の抱負は、「お客様に満足して頂けるよう、より良い商品づくりに取り組み続ける」ことである。高橋製作所の天体望遠鏡は、これからも世界中の天体観測マニアを惹きつけ続けることだろう。

企業データ
会社名 株式会社高橋製作所
代表取締役社長 高橋登喜男
所在地 東京都板橋区大原町41-7
業種 天体望遠鏡・天体観測器の設計、開発、製造と販売
掲載日:2013年10月 9日


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