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JAPANブランドで新市場に臨む 日本の感性はこうして生かされた


海外から指名買いされる工業用歯車―「KHK標準歯車」小原歯車工業
鋳物税像の町として栄えた埼玉県川口市。同市に拠点を構えるのが1935年創業の小原歯車工業だ。「自社製歯車を全国に流通させたい」との夢を抱き製品化された『KHK標準歯車』は、今では海を渡り海外メーカーから指名買いされるブランドに成長した。

海外から指名買いされる工業用歯車-「KHK標準歯車」小原歯車工業

埼玉県川口市は古くは鋳物製造で栄えた町だ。駅から見渡すと高層マンションが目につくが、それらはほぼ全て鋳物工場の跡地に建てられたものだという。街を歩くと所々に鋳物工場が目に入る。JR川口駅から15分ほど歩いた所に本社を構えるのが、1935年創業の小原歯車工業株式会社だ。「自社製歯車を全国に流通させたい」との夢を抱き製品化された『KHK標準歯車』は、今では海を渡り海外メーカーから指名買いされるブランドに成長した。

非効率経営がオンリーワンの価値を生み出す

1935年の創業当時の小原歯車工業

1935年の創業当時の小原歯車工業

1935年の創業当時、旋盤に使用する歯車には規格が無かった。そこで、旋盤用替歯車を23枚1セットとして売り出したところ、大変多くの引き合いがあった。

歯車は鋳物でできていたため折れてしまうことが多かったが、それではその日の仕事ができなくなってしまう。「川の向こうに歯車を造っている会社がある」という評判を聞きつけ、東京から川口まで歯車を求めてやって来る人が後を絶たなかったという。

「全国に自社で造った歯車を流通させたい」という夢を叶えるために、1957年に『KHK標準歯車』の製品化に着手し、様々な機械を研究し、使用される歯車を製造した。

同社では、商品を構成する3要素(コア・形態・付随機能)すべてにおいて高いレベルを維持することを目指してきた。他社との差別化要因となり、かつ海外のエンドユーザーやから評価されているのは以下の点である。

  • 工程内検査により品質が安定(均一化)していること
  • 個別包装、かつ、製品ラベルにトレーサビリティナンバーを記入していること
  • 製品の外観が美しいこと
  • 常に品質の改善向上が行われていること
  • 充分な在庫を抱えていることで、短納期での納品が可能であること
  • ホームページからそれぞれの言語の電子カタログがダウンロードできること
  • ホームページが多言語対応していること
  • 担当者に権限が委譲されているため、意思決定のスピードが速く対応も早いこと
  • 急な依頼にも対応可能な体制であること

同社は全国に代理店網を有しているが、代理店制度が確立したのは、1962年のことだった。二代目の小原信治氏が社長に就任した直後に、KHK歯車のモジュール化を行った。オーダー歯車も製造しているが、それは売上全体の3割程度で、残りは全て『KHK標準歯車』の売上だという。これは昭和60年代から変わらない比率だという。

同社では、145品目9,300種類の歯車を製造しているが、そのうち4,500種類の歯車については月商の4カ月分を在庫として保有している。残りの約5,000種類については、在庫製品を加工すれば2~3日で仕上げることができる。

海外取引のきっかけは北米からのオーダー品の受注

展示会へも参加し積極的な市場開拓を行っている

展示会へも参加し積極的な市場開拓を行っている

海外との取引が始まったのは1973年、二代目社長の信治氏の時だ。日本貿易振興機構や商工会議所から、「海外の企業が歯車を生産してくれる会社を探している」という話があり、その時にオーダー品を受注し、北米に輸出したのが最初の取引だった。 アジアにおいては、現地の企業から直接取引をしたいというアプローチがあり、標準歯車をアジアで展開する話がまとまった。そこで、香港と台湾に進出した。評価を受けたのは、同社が目指してきた上述の品質の高さであり、香港や台湾の代理店では「いいものが欲しいならKHK歯車」と言ってユーザーに提案していたという。海外との取引や交渉は全て信治氏が行った。

その後、徐々に海外との取引が増えていき、アメリカ、香港、スイスをはじめとして代理店網が広がり、代理店網は現在では世界23カ国にまで広がっている。

KHKでは積極的に展示会を活用している。展示会は、代理店のある国に対しては製品をPRし販路拡大を狙い、代理店の無い国に対しては代理店募集の役割を担う。

信頼の証KHK

『KHK標準歯車』の英語版パンフレットの表紙には、「Made in Japan」と記されている。一般的に日本の製品の品質の高さは海外にも広く認知されているが、『KHK標準歯車』もユーザーから高い評価を受けている。「品質を明確にしたい」という目的で、「納品する歯車には品番ではなくKHKのロゴを刻印してほしい」と依頼してくるユーザーもいるほどだ。そのメーカーでは、「うちの製品には、KHKの歯車を使っている」というのがセールストークになっている。それ以外にも、ホームページや技術仕様書、図面が整備されていることやトレーサビリティがしっかりしていることも、信頼感や安心感を与えることに貢献しており、品質の高さを担保している。

多様な歯車のニーズに対応可能な品揃えを持つ

多様な歯車のニーズに対応可能な品揃えを持つ

どれだけ品質が高くとも、認知してもらえなければユーザーは増えない。そこで、KHKでは海外版のカタログをユーザー側の技術者一人一人に配布している。カタログは国内外を含め既に100万部配布されている。145品目9,300種類に及ぶ製品のカタログには全ての『KHK標準歯車』が紹介されており、製品の詳細が分かりやすく記載されている。そのカタログは、ユーザー側の技術者に「歯車=KHK」とブランディングする役目を担っている。この作戦はアジアでは大成功し、シンガポールをはじめ着実にユーザー数が増えている。

また、アメリカでは、「標準化されている」という規格化が高い評価を得ている。アメリカではインチが主流であるが、「メトリックを使うときには必ずKHKを使う」と断言される企業も多いという。

「Made in Japan」を日本流のセールススタイルで売り込む

海外との取引に関しては、現在、小原社長と5名のスタッフで新規代理店開拓や既存代理店のサポートをしている。注目すべきはそのスピードだ。海外の代理店からは週に1、2回はメールが送られてくる。仕様確認や見積もり依頼などだ。それらの依頼に対しては、オーダー品を除き24時間以内に返答することが社内ルールとなっている。国内での企業間取引でも24時間以内に見積もりが出てくることには驚かれるが、海外ではなおさらだ。しかも、単なる見積もりだけではなく、技術仕様書などがきちんと揃った資料も同時に送られる。そのため、専門の業務スタッフを2名置き、スピーディーに対応できるよう業務自体も標準化している。

売上が伸び悩んでいる代理店に対しては、社長自身が代理店を訪問し話を聞く。代理店のスタッフを来日させて技術面の指導や、現地での勉強会を開くこともある。すると、代理店のスタッフのモチベーションも上がり、売上が伸びるという。海外の代理店のスタッフと顔を合わせて丁寧にサポートすることで「KHKの社員は良い人だ」と思ってくれる人が増え、KHKのファン化が進むのは確実だ。

いきなり「来週あたりに来てほしい」という依頼をしてくる代理店もあるというが、そのような要望にも対応している。営業ツールや販促物の提供だけでなく、代理店の営業活動に帯同したり一緒に展示会に出展したりとあらゆる面で細やかなサポートをしている。

常に改善され品質が向上し続ける小原歯車工業の製品群

常に改善され品質が向上し続ける小原歯車工業の製品群

細やかな対応は、日本人ならでは。代理店が使用する営業用のパンフレットの表紙には、「Made in Japan」の文字が記されている。多くの外国人が抱く日本のイメージを裏切らないどころか、期待以上のサービスを提供することでKHKに対する信頼や安心感を高めている。日本人の特性をよく理解している国からの支持は特に厚いという。「多くの国と取引しているが、中でもタイ、ベトナム、ロシアなどはこれからもっと伸びるのではないか」と小原社長は考えている。


小原社長によると、日本のメーカーの製品はいずれも品質が高いため、製品の品質だけでは海外では勝てないという。製品のハード面の品質に加え、充分な在庫量やスピーディで細やかな対応といったソフト面においても高いレベルを維持していることにより、代理店やエンドユーザーから高い評価を得て指名買いをされるまでの今に至っているのだと言える。

企業データ
会社名 小原歯車工業株式会社
代表取締役社長 小原敏治
所在地 埼玉県川口市仲町13-17
業種 歯車製造
掲載日:2013年10月 9日


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