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2015年10月29日

ストレートタイプのりんごジュースで世界を切り拓く-青研-

キーポイント
  • 独自のりんご栽培法を考案
  • 展示会を活用して海外へ展開

1974年、りんごおよびりんごジュースを生産・販売する青研が青森県弘前市に設立された。その前身は、1967年に15人の若手農家で結成された産直事業のための研究会「青年りんご研究会」。そのメンバーだった竹谷勇勝さんが任意団体の青年りんご研究会を法人化(株式会社)し、それと同時に観光りんご園、りんごジュースの製造・販売を始めた。
 ただし、りんごジュースは当初、農協へ加工を委託しており、それを1988年に自前のミニジュース工場、翌年に加工センターを建設して手づくりりんごジュースの製造・販売を始めた。

青研のりんごジュースはストレートタイプで糖や水、香料、酸味料、防腐剤などは一切不使用

青研のりんごジュースはストレートタイプで糖や水、香料、酸味料、防腐剤などは一切不使用

独自のりんご栽培法を考案

創業から17年後の1991年、台風19号が日本列島を襲来し、東北地方では「りんご台風」と呼ばれるほど収穫前のりんごに甚大な被害をもたらした。青研の会員農家も95%のりんごが木から落下してしまったが、取引先や消費者が協力して落ちたりんごを購入してくれたことで急場をしのいだ。
 そのとき、竹谷さんに気づいたことがあった。消費者は必ずしも「赤くてきれいなりんご」だけを求めているのではない、「おいしくて値ごろ感のあるりんご」を求めているのだと。
 それを機に発案したのが「葉とらず」という栽培法だった。りんごの味は糖度と酸度のバランスで決まり、糖は、光合成によって葉でつくられたデンプンに由来する。
 ところが、通常の栽培ではりんごの外観をよくする目的から葉を多めに摘み取るため、糖度に影響が出る。一方、葉を茂らせすぎると太陽光が届かず光合成が低調になるため糖度が落ちてしまう。りんごの栽培で相反するこの2つの問題を解決するため、竹谷さんは適度に葉を残す方法を考案した。
 この栽培法で生産したのが「葉とらずりんご」で、期待どおりの味にでき、かつ袋掛けなどの手間も省けるという生産上のメリットをもたらした。

りんごジュースが飛ぶように売れた

青研は1992年に葉とらずりんごをテスト販売し、翌年から本格的に販売した。また、葉とらずりんごを原料にしたりんごジュースは、1994年、首都圏に展開する大手スーパーから独占販売契約が持ち込まれた。大手スーパーの各店舗では、青果売場に葉とらずりんごと併せて葉とらずりんごジュースを並べて陳列した。その相乗効果と1リットルビン・198円という価格の効果もあり、りんごとジュースが飛ぶように売れた。
 青研の葉とらずりんごジュースはストレートタイプであり、糖や水、香料を加えず、酸味料や防腐剤も使用していない。当初は収穫時期の異なる1種類のりんごを原料としていたため、収穫時期によってりんごの味が微妙に異なる(酸味が強い、味が淡泊など)ことから、それがジュースにも影響してしまった。そのため、いつも同じ味を楽しみたい消費者からは「以前に買ったときと味が違う」とクレームになってしまった。
 そこで5品種のりんごをブレンドして味を一定にした。また、大手スーパーとの独占販売契約も解消し、卸会社を介して全国の大手スーパーへ流通。さらに、小売店との直接取引も始め、販路を順次開拓していった。

海外へ販路を拡大

ただ、少子高齢化が進む日本で販路の拡大にも自ずと限界が見えてくる。そこで2006年、海外展開に挑戦するため国内の食品見本市「FOODEX JAPAN」に初めて出展した。そこで葉とらずりんごジュースを展示すると、米国・シカゴのバイヤーから高く評価され、またたく間に日本の貿易商社を介して注文が入った。
 また、この展示会で葉とらずりんごジュースを試飲した日本人バイヤーが台湾へ紹介したことから、同年夏に台湾の大型小売店から注文が入った。
 最初に出展した展示会を機にたて続けに注文が入るほど青研の葉とらずりんごジュースは高く評価された。
 「おいしいものは世界共通なのだと思います。シンプルな飲み物で、原料のりんごの質は高く、添加物など一切入っていません。味の調整もしっかりできています」(取締役企画営業部長・葛西隆子さん)

「おいしいものは世界共通」の思いで毎年のように海外の展示会で自社製品を売り込む

「おいしいものは世界共通」の思いで毎年のように海外の展示会で自社製品を売り込む

世界中の消費者へ自信をもって自社製品を提供できる。そう確信できたのも、最初の出展以降、2007年に「香港FOODEXPO」、「韓国FOODWEEK」、2008年に「フード台北」、2009年に「香港FOODEXPO」、2010年にロシア・ウラジオストックと毎年のように海外の展示会に出展し、現地のバイヤーや消費者から好感触を得ているからだ。
 そうした出展の結果、米国、台湾についで2008年に上海、2010年にイギリス、2013年にタイ、2014年にカナダ、シンガポールなど15カ国へ葉とらずりんごジュースの輸出を拡大している。
 現在、青研の年商は12億円でその6割がジュース、4割がりんごで占められている。また、ジュースの5%は海外へ輸出されているが、今後はそれを10%くらいまでに成長させるべく、海外の展示会へ積極的に出展し、販路の拡大を図りたいと意欲を示す。

企業データ
企業名 or 店名 株式会社青研
代表者 竹谷勇勝
所在地 青森県弘前市大字五代字白山堂213

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