本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

中書企業の農業ビジネスに挑むトップに戻る

2015年7月30日

北海道の農産物が新事業の成功を導く-白亜ダイシン-

キーポイント
  • 良質な農産物をデザインでより魅力的にする
  • ブランドコンセプトを確立して独自戦略を構築

北海道の石狩平野東部を走る国道沿いに白亜の洒落たショップがある。北海道産の青果でオリジナル食品を製造・販売する「NORTH FARM STOCK」(ノース・ファーム・ストック)だ。このショップを運営するのが白亜ダイシン。20年ほど前までは家庭用金物を商う小売店だった。

北海道の岩見沢市街にある白亜のショップ「NORTH FARM STOCK(ノース・ファーム・ストック)」

北海道の岩見沢市街にある白亜のショップ「NORTH FARM STOCK(ノース・ファーム・ストック)」

地の利を活かした商売

1997年、白亜ダイシンの現社長・早坂亮二さんが家業の金物店を継いだ。当時、白亜ダイシンが店舗を構える岩見沢市の商店街は、大型店の進出の影響でシャッター街となってしまっていた。
 「商店街をめぐる状況がそんなでしたから、金物の販売だけでは商売をやっていけないことはわかっていました。ほかに何かやれることはないかといつも考えていました」(早坂さん)
 金物の販売以外で生計を立てられる事業はないか。四六時中それを考えているうち、早坂さんにふと思いつくことがあった。
 「金物の取引先の方が本州から北海道に来られると、ことのほか北海道の料理を喜ばれるのです。地元の人間にとっては当たり前の食材、料理なのでピンとこないのですが、道外の人にとって北海道の食はとても魅力的なのですね。これなら商売になる。そう感じました」(早坂さん)
 地の利を活かして商売をしよう。それならば「食」がうってつけだ。ちょうどそんな思いに至ったころ、早坂さんは冬期恒例の外商に回り、とある道内の農協の婦人部を訪れた。そして、そこで供されたトマトジュースを口にしたとたん、「これはおいしい。地元民の自分でもこれだけおいしいと感動するのだから、本州に出荷すれば必ず売れる」と直感し、トマトジュースの販売を決意した。

「北海道の農産加工品がたくさんある」というブランドコンセプト

さっそく農協からトマトジュースを買い取った。ただ、そのまま売るのではなく、容器やラベルなどのパッケージデザインを魅力的にし、商品ブランドを確立してから販売しようと決めた。なぜなら、既存のトマトジュースとの廉価競争は避け、付加価値を付けた独自戦略で市場に切り込みたかったからだ。
 そこでボトルはワインボトルとし、そこに「NORTH FARM STOCK」というブランド名を冠したラベルを添えた。
 「わかりやすいネーミングでかつ思わず手にしてみたくなるデザインの農産加工品がいい。そんな思いからブランド名を決めました」(早坂さん)
 「NORTH」は北海道をイメージする「北」、「FARM」は「農場、農園」、「STOCK」は「特別な物、蔵出し」を意味する。つまり「北海道の特別な農産加工品」というメッセージを込めたブランド名だった。
 また、付加価値化の一環として価格も720mlのボトル1本で1800円と高級化路線を選んだ。当時、1000mlで980円が相場のトマトジュース商品の中にあって、約2倍のコストマパフォーマンスの商品を市場に投入したわけだ。

NORTH FARM STOCKで最初の商品がトマトジュース。おしゃれなデザインで高級化路線に挑んだ

NORTH FARM STOCKで最初の商品がトマトジュース。おしゃれなデザインで高級化路線に挑んだ

まったく注文に結びつかない……から一転、大量注文へ

販売の第一歩は東京から。早坂さんはそう考え行動した。高級化路線の商品だから、まずは東京のような首都圏でなければ売れない。そう信じて東京の高級レストランやセレクトショップへつぎつぎと飛込み営業した。が、売れない。飛び込んだ先で「おいしい」と評価されるものの注文までにはつながらなかった。
 「それもそのはずです、決裁権をもっていない人ばかりにトマトジュースをふるまっていたのですから」(早坂さん)
 そこで知人を介して得た人脈から紹介された高級レストランなどへ営業に行き、徐々に取引が成立していった。
 さらに取引先から誘われた商談展示会に出品すると、多くのバイヤーの目に止まったことから一気に大量の注文が舞い込んできた。
 こうして販路を開拓するにつれ、商品アイテムも増やしていった。当初はトマトジュースだけだったが、いちごジャム、ピクルス、ディップ、バーニャカウダなど多様な商品を開発していった。新商品の開発はもっぱら伴侶の真弓さんが担当し、金物商の小さな店舗の一角でアイデアと試作を繰り返し、1つひとつていねいに商品化していった。

農商工連携で新商品を開発・販売

現在、NORTH FARM STOCKの商品は100アイテムを超える。
 2013年には農商工連携で開発した生姜関連商品を開発した。そのきっかけは地元で生姜が栽培できることを昵懇の農家から聞き知ったことで、生姜は汎用性のある食材だからさまざまな加工品にできるとアイデアの浮かんだ早坂さんは、9軒の農家に買い上げ前提で栽培を依頼した。そして、それを原料に3種類のシロップと清涼飲料(ジンジャーエール)を商品化した。

農商工連携での商品化した生姜のシロップ

農商工連携での商品化した生姜のシロップ

その農商工連携での商品化にあわせ、2013年秋には本社・工場を新設した。NORTH FARM STOCKの商品はほとんどが自社工場で製造され、一部はOEMで供給される。販売先は商社を介した百貨店や高級セレクトショプなどが主であるが、最近はギフトショップ、雑貨ショップからの引き合いが多いという。
 今後は工場を増設して菓子の製造を始める予定であり、その際もあくまで食材は北海道のものにこだわる。自前の店舗は本社・工場に隣接したショップ以外は展開しないが、直売自体については徐々に増やしていく計画で、そのためにもネット販売にさらに注力すべく、サイトのデザインなどをより魅力的なものにブラッシュアップしていくという。

企業データ
企業名 or 店名 株式会社白亜ダイシン(NORTH FARM STOCK)
代表者 早坂亮二
所在地 北海道岩見沢市志文町292-4

このページの先頭へ