本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

中書企業の農業ビジネスに挑むトップに戻る

2015年5月14日

都市の生活者と農業を結びつけるビジネスを展開-アグリメディア-

キーポイント
  • 家庭菜園事業では顧客の栽培を徹底サポート
  • 中核事業からの派生ビジネスをつぎつぎ展開

農業と都市生活者のニーズをマッチさせることを事業モデルとしているアグリメディアは2011年4月、諸藤貴志社長と農業経験を持つその友人によって設立された。今年で起業5年目に入り、「ノウジョウシェア」「シェア畑」などの事業を進めている。

都市生活者と農家をつなげる

アグリメディアが最初に始めた事業が収穫体験イベントの「ノウジョウシェア」。都市生活者である参加者が首都圏の農家を訪れ、野菜やコメ、果実などの収穫を体験、農家の人たちから農作物の栽培やおいしい食べ方などを教わるとともに、収穫したての農作物の手料理をごちそうになり、おみやげをもらって帰るというイベント事業だ。
 参加者は日常の都市生活を離れて農業体験する喜びを得、農家はこのイベントに参加することによって農業生産物の収益性が高められるという、まさにウィン-ウィンの関係を築いている。
 ウェブサイトでの情報発信のみだが、新企画をサイトアップするとわずか1カ月足らずで予約が埋まってしまうほどの人気だ。企画立案が追いつかず、農家がわざわざこのイベントのために収穫を控えて待っていることもあるほどだという。

収穫体験イベント「ノウジョウシェア」

収穫体験イベント「ノウジョウシェア」

好調な市民農園事業

次いで立ち上げたのが、都市生活者に週末の畑作を楽しんでもらうサポート付き市民農園の「シェア畑」だ。2012年3月、まず新横浜でスタートした。その後順調に農園を増やし、2015年4月末現在で東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の都市部に36農園を運営するまで事業規模を拡大した。そのシェア畑の用地は、遊休農地や荒れ地から空き駐車場スペース、マンション敷地内まで多岐にわたる。
 ちなみに、一般的に農地はその活用方法が少ないため、自から農業しない場合は、近隣の農業者や知人に耕作を手伝ってもらうことが多い。ただ、昨今は農業者の高齢化の影響もあり、「相続で農地を譲り受けたが、どうしてよいかわからない」「高齢になってきたため、すべての畑の耕作ができなくなり困っている」など農地の維持管理に悩む所有者も増え、そうした人からの問合せが多いという。
 なお、契約はあくまで農地所有者の事情や要望に応じて弾力的に対応している。営業企画を担当する寄玉昌宏さんは、その事例についてこう説明する。
 「例えば、ご高齢の方が名義上の所有者になっていて、契約途中で亡くなるというケースもありますが、そのような場合、相続した方が契約解除を申し出られればそれに応じています。
 あるいは、ご本人は現在サラリーマンで、お父さまが農業をやられていたが、そのお父さまが亡くなられたというケースです。サラリーマンの方は会社を定年退職したら農業をやりたいので、それまでの間農地を預かってくれないか、と頼まれてお引き受けしたこともあります」
 36農園あるシェア畑の面積は、農園により400~5000m2と幅広く、1農園の区画数(70~300)、区画面積(3~13m2)もさまざまだ。アグリメディアはすでに4000区画以上を運営しており、契約者も2500人を超える。

サポート付き市民農園の「シェア畑」

サポート付き市民農園の「シェア畑」

初心者でも栽培を楽しめる仕掛け

このシェア畑で最大の特徴は、栽培をサポートする「菜園アドバイザー」(農園管理人)がいることで、現在、全農園で100人超の菜園アドバイザーを擁している。
 市や区などの自治体が運営する市民農園(余剰農地の活用)の場合、土地の賃料が安い一方、農作物の栽培についてアドバイスなどはしない。そのため栽培経験のない人が利用するには少しハードルが高いが、シェア畑はそれを根本から見直し、初心者でも容易に栽培を楽しめるようにした。
 種、苗、農具、肥料はすべて各農園に用意しており、水道も完備。菜園アドバイザーが農園に常駐しているので、まったくの初心者でもそのアドバイスを受けながら気軽に作業にかかることができる。
 初心者向けにはアグリメディアが独自に作成した栽培プランも提示する。一見異なるように見える野菜でも、科目が同じだと連作障害を発生させる懸念がある。そこまで初心者には思い至らないが、この栽培プランに則せばそうしたリスクも回避できる。
 シェア畑の契約者のほとんどが30-60歳代で、各世代ともほぼ均等の人数という。30、40歳代は小学生の子どもを抱えたファミリーが、50、60歳代は夫婦が大半を占めている。料金は月額約8000円と自治体運営の農園に比べると割高だが、前述の菜園アドバイザーのような付加サービスがあるうえ、フィットネス感覚の健康志向で利用する人も多い。そのような背景からシェア畑では、農作物づくりは無農薬・有機肥料の有機栽培に限定している。

今年度中に農園数が2倍超に増える

現在、同社の年商2億円のうち9割超をシェア畑事業が占める。首都圏にはシェア畑の候補となる遊休農地が多いため、積極的にその活用提案を進め、2015年度中には80農園を突破して年商6億円まで積み上げる。さらに2017年春には200農園をめざし、同時に大阪、名古屋、福岡、仙台などへのエリア拡大も図っていく予定だ。
 また、シェア畑より規模の大きな栽培をめざす人のための農園運営指導「アグリマイスターコース」を試験運用している。そこではシェア畑の5-10倍ほどの農地を提供し、資金面の支援も視野に入れている。

さまざまな事業を矢継ぎ早に放つ

アグリメディアは今春から、オンラインサポート付きプランター事業「おうち畑」もスタートさせた。これは、顧客の注文に応じて種、苗、肥料をセットで送り、栽培でわからないことはSkype、Lineなどの動画サービスを介して菜園アドバイザーが対応するというものだ。おうち畑では4000円、6500円、9000円の3コースを設定、顧客はミニトマト、青梗菜など約20品目から栽培したい青果を選択できる。この事業はやがてシェア畑をしのぐほど大化けする可能性がある、と同社では期待している。

また、シェア畑の派生ビジネスとして「草刈くん」も立ち上げた。遊休農地の所有者の多くは毎年の雑草除去にかかる膨大な経費に苦慮しているが、アグリメディアはシェア畑事業を進める過程で自前の大型草刈り機を購入しており、その活用と遊休農地の悩み解決を結びつけたビジネスとして、坪単価160円の明瞭会計で草刈りをするサービス(草刈くん)を2015年夏に本格稼働させる予定だ。
 さらにシェア畑に続く事業として、都心型農園と郊外型農園を検討している。
 都心型農園は、マンションや商業施設の「緑化スペース」を農園として整備するもので、緑化基準を満たしつつ、植栽の維持管理費を低減できるのが特徴だ。この都心型農園については、大手デベロッパーや設計会社からの問合せが多いという。
 一方、郊外型農園は、商業施設や観光地のホテルの近隣に宿泊可能なスペースを設けた滞在型農園と1日もぎ取り体験ができるレジャー農園を複合させた施設としての事業モデルを検討し、2015年秋には具体的なプランを練り上げたいとしている。

企業データ
企業名 or 店名 株式会社アグリメディア
代表者 諸藤貴志
所在地 東京都新宿区西新宿6-15-1 セントラルパークタワー6F

このページの先頭へ