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2014年4月11日

「つなぐ」をコンセプトにこだわりの商品を販売-伊都安蔵里-

キーポイント
  • 生産者と消費者などさまざまなものを「つなぐ」
  • 「食物は生命の源」の観点から販売商品を厳選する

福岡の中心地・博多から西方へ約30km、糸島半島の里山に洒落た古建築が再建された。その建物は昭和初期に建築された醤油屋の店舗であり、2009年11月に農産物の直売所として復活した。屋号は「伊都安蔵里」(いとあぐり)。命名の由来は、弥生時代の糸島半島に栄えた「伊都国」、そして「安らけき里がちの蔵満ちたる」の意と「agriculture(農業)」をかけた言葉からとった。

伊都安蔵里は、2009年の開所時はハウスメーカーの1事業としてスタートした。そのコンセプトは「つなぐ」であり、農業生産者と消費者をつなぐ、都会と田舎をつなぐ、家族をつなぐ、命をつなぐなどをテーマとしてビジネスを展開してきた。

昭和初期の醤油屋の建物を復元した「伊都安蔵里」

昭和初期の醤油屋の建物を復元した「伊都安蔵里」

野菜の販売は無農薬、有機、自然農法などにこだわる

伊都安蔵里は野菜、加工品、日用品を販売し、また飲食のサービスを提供する。
 まず、野菜は無農薬・減農薬および有機栽培の野菜だけ。また、仕入れ先も農業生産者のみで市場からは一切購入しない。
 「野菜の栽培は子育てと同じで、生産者が手間暇かけて大切に愛情を注いで育てた野菜はおいしくなり、そうした野菜だからこそ伊都安蔵里としてお客さまに提供したいのです」(取締役・公門秋絵さん)
 無農薬、有機、自然農法などこだわりの野菜(露地栽培)だけを販売するため、日々の品目や数量は決して十分とはいえない。さらにいえば、生産者が出荷できる品目と数量だけを店頭に陳列することを基本としているので、常時野菜が豊富にあるわけではない。
 「出荷は生産者さんにお任せしてあります。最近は、伊都安蔵里にはこの時期にこれだけの数量この野菜を出荷しようと生産者さんが自主的に計画してくださいます」(マネージャーの高木朱里さん)
 現在、取引する農業生産者は約50軒。事業を始めた初期は地元・糸島の生産者が中心だったが、やがて福岡県内、九州域内の生産者へと取引範囲が広がった。そられ生産者からの集荷は、近隣の場合は持ち込み、遠方の場合は配送によって伊都安蔵里に届けられる。

伊都安蔵里は野菜や加工品などの販売と飲食のサービスをする。それらはすべて「生命の源」であるという強い意識から厳選する

伊都安蔵里は野菜や加工品などの販売と飲食のサービスをする。それらはすべて「生命の源」であるという強い意識から厳選する

食物は生命を維持する源

伊都安蔵里の店頭には加工品、日用品および調味料が300品目並び、加工品では「美人佃煮」というオリジナル商品も開発・販売されている。これは無農薬の生姜と枕崎産かつおを原料にした佃煮だ。
 「美人佃煮は、私たちで商品設計し、店内で手づくりするオリジナル商品です」(公門さん)
 飲食のサービスとして店内に食事処とカフェを設けている。メニューの食材には無農薬、有機栽培の野菜を使用し、メニューも「一汁三菜」の考えに基づく食材と調理法のバランスを重視している。
 伊都安蔵里で販売する野菜や加工品、そして提供する飲食サービスは、すべて「あなたの体はあなたの食べたものでできている」の考えに根差している。つまり、体によく、安全・安心な食物の摂取を通じて命をつないでいくべきと考え、それに合致した商品だけを販売する。
 「特にこれから子どもを産む可能性のある女性には、未来の子どものためにも体づくりをしていただきたいのです。体は口に入るものからつくられ、その体の中で子どもは栄養を吸収して育つからです」(公門さん)
 人は死ぬまで食べ続け、その過程で次代へと命をつないでいく。だからこそ体をつくり、維持する源である食物を大切にしてほしい。それが伊都安蔵里のコンセプトの1つにもなっている。

独立事業として出発

2009年の開所以来、来店客の口コミやメディアへの露出によって営業しなくても客数は順調に伸びてきた。また、来店客を主体に会員組織を設け、3000人の会員にSNSなどを介して伊都安蔵里の活動情報(商品やイベントなど)を提供する。
 現在、売上は年商5000万円。内訳は、生鮮野菜10%、加工品・日用品60%、飲食30%であり、今後は、加工品・日用品のオリジナル商品を増やしていく。また、取引先の農家でも加工品を開発したいという要望もあり、そうした農家には販売のみならずデザイン面でもサポートしていく。
 2013年10月、株式会社いとあぐりが設立された。前出の取締役の公門さんとマネージャーの高木さん、店長の大村さん、そして社長の八尋健次さんの4人で経営する小さな会社だ。ハウスメーカーの1事業から離れ、独立した事業として発した伊都安蔵里。創業から4年の経過を機にあらたな気持ちで農業ビジネスに挑んでいく。

企業データ
企業名 or 店名 株式会社いとあぐり(伊都安蔵里)
代表者 八尋健次
所在地 福岡県糸島市川付882

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