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2014年3月 3日

日本茶の栽培・製法にこだわり、積極的に海外展開する-京都おぶぶ茶苑-

キーポイント
  • 荒茶・浅蒸し製法にこだわる
  • 販売の大部分はインターネット

茶畑でアルバイトした1人の大学生が煎茶の味に感動し、中退して起業したのが京都にある京都おぶぶ茶苑だ。
 同社の代表・喜多章浩さんは1996年、京都・和束町の茶(宇治・和束茶)魅せられて新規就農。地元の高齢農家から荒廃した茶畑を借り受けてお茶づくりが始めた。まったくの素人であり、近隣の農家から手ほどきを受けながらの茶栽培だった。
 喜多さんは、2002年に近隣の農家と共に農事組合法人を設立。その組合のインターネット小売り部門として2004年に「おぶぶ茶苑」を創設した。その後、農事組合は解散し、茶の生産から販売までを一貫して行うため、2008年におぶぶ茶苑を法人化(合同会社)した。ちなみに「おぶぶ」とは京都の方言でお茶を意味する。

リピーターの需要に応える独特の販売法

おぶぶ茶苑の経営の特徴は3つある。生産方法と販売、そして海外展開だ。
 まず、生産だが、和束町は山あいの急斜面の土地であり、ほとんどが手作業で茶づくりをする。また、畑で収穫したままの荒茶を伝統的な製茶法である「浅蒸し」でつくる。手もみ茶や玉露などの高級茶は浅蒸し製法であり、それらの茶は軟らかい新芽だけを原料にするため浅蒸しでなければ製茶できない。その特徴は、注いだ茶は透き通った山吹色もしくは萌黄色であり、湯を通した茶葉には茶畑で摘み取られる直前の新鮮な香りが残る。
 さらに、他産地の茶葉とのブレンド、香りづけ、茶葉のきざみといった2次加工は一切しない。

こうして生産される茶は決して安くない。ゆえに、就農当初から販売は直接消費者へ働きかけ、直接地元のフリーマーケットでの販売や飲食店への飛び込み営業、さらに地元スーパーの軒を借りて店頭販売したが、異口同音に「もっと安くしてくれ」と言われるばかり。良質だからこそ価格も高い。そのコンセプトは実際には受け入れられにくかった。
 そんな悪戦苦闘を続ける中に世の中にインターネットの普及が拡大したため、それを販売ツールとして活用しようと、前述の小売り部門(おぶぶ茶苑)の組織を立ち上げた。
 このネット販売がヒットし、国内のみならず海外からも注文が舞い込んできた。中でもおぶぶ茶苑の浅蒸しの荒茶を気に入ってくれた顧客がリピーターとして購入してくれ、その数も着実に増えていく。そのリピーターの需要に応えるため、2009年1月から始めたのが「茶畑オーナー制度」だ。おぶぶ茶苑独特の販売方法といえる。
 「おぶぶ茶苑のお茶をわざわざ取り寄せてくださるということは、お客様にとって、茶畑から直送されるお茶は、茶畑を所有している感覚にも近しいものがあるのではないかと思いました」
 そんな発想から茶畑オーナー制度を創設し、国内外100人のオーナーでスタートした。おぶぶ茶苑のオーナーになると、「1日50円で茶畑が持てる」をキャッチフレーズに年間1万8000円の会費で5-6回茶が届く。また、希望すれば年間3回(春・夏・秋)の茶摘みと毎年3月の茶の苗木の植林を体験できる。
 この独特の販売システムであるオーナー制度は、現在、国内および海外12カ国から600人が登録され、そのうち30人が外国からの登録者という。

「1日50円で茶畑が持てる」をキャッチフレーズに創設した茶畑オーナー制度

「1日50円で茶畑が持てる」をキャッチフレーズに創設した茶畑オーナー制度

海外にもどんどん日本茶を伝える

既述のようにおぶぶ茶苑は2004年からインターネットでの販売を始めたが、海外からもすぐに注文が舞い込んだ。そして、米国・コロラド州ボルダーで鮨店を経営する日本人から注文が入ったとき気がついた。海外に在住する日本人は、食品を始めとして日本の商品を常に欲している、と。それを機におぶぶ茶苑は海外展開も試みた。
 2004年10月、パリの食品見本市に出展。Jetroのジャパンブランド構想の一貫として海外展示会で和束茶が紹介され、おぶぶ茶苑(当時は前身の農事組合法人)もそれに同行した。それ以降も毎年、米国、欧州などに渡り、知り合いの伝手をたどって茶店や大学などで日本茶の訴求に努めている。

海外展開には積極的に取り組む。2013年に欧州4カ国を訪問(写真はパリの陶芸展示会での茶宴)

海外展開には積極的に取り組む。2013年に欧州4カ国を訪問(写真はパリの陶芸展示会での茶宴)

10年にわたる海外展開により、著しく海外での販売が伸びたような効果はないが、確実におぶぶ茶苑の業態に変化が生じた。例えば、海外でのPRをきっかっけに外国人がおぶぶ茶苑の活動やイベントに参加し、日本茶にさらに親しむようになる。さらに、おぶぶ茶苑も国際インターン制度を設けて外国人に日本茶の生産・販売を伝授するようになる。その結果、国際インターン制度を終了した外国人が自ら日本茶でビジネスを始めだした。
 海外でPR活動を継続した結果、日本茶に魅了された外国人が国際インターン制度を介して日本茶のビジネスパーソンとして育つ。そんな業態が自然に生まれた。
 10年間も海外でPRを続けていると「かぶせ茶のうま味がわかる外国人を見かけるようになった」(副代表・松本靖治さん)とうれしい成果も発現してきたという。

おぶぶ茶苑の国際インターン制度は2011年から始まり、研修期間は最短で2カ月間、茶葉の栽培、製茶、インターネット販売など日本茶ビジネスを一貫して学ぶ。これまで12人の外国人が参加し、うち1人が米国でビジネスを始めた。

さらに、おぶぶ茶苑は2011年3月に経済産業省の支援を受けて「国際茶園協会」を設立した。茶生産者が単体で海外展開するには限度があるが、世界中の茶生産者が連携すれば海外展開もいっそう推進できる。それをコンセプトに現在20の茶生産者、300人の一般個人を組織し、それぞれの茶園が自らの茶を世界中に訴求すべく努めている。

現在、おぶぶ茶苑の年商は4000万円。そのうち80%はネット通販、20%がホテルなどへの卸売だ。販売先の内訳は、オーナー25%、一般購買55%、卸売15%、輸出5%となっている。
 そんなおぶぶ茶苑は地域振興にも積極的に関与し、地元・和束町のイベント「茶源郷(ちゃげんきょう)祭り」では企画運営に参画、また、自らの茶畑では茶摘や茶苗の植林など体験イベントを実施している。地域振興からさらに社会貢献へ、おぶぶ茶苑の取組みはさらなる広がりを求めていく。

企業データ
企業名 or 店名 京都おぶぶ茶苑合同会社
http://obubutea.com/(英語サイト)
代表者 喜多章浩
所在地 京都府相楽郡和束町大字園小字大塚2

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