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2013年9月30日

地元の資源に独自の価値を付加して製品をつくる-四万十ドラマ-

キーポイント
  • 自らの考えを織り込んだ製品づくり
  • 雇用と販路を一体とした製品開発

四万十川に負担をかけず、地域資源と知恵を活用したものづくりをする。それをコンセプトに1994年、四万十ドラマが設立された。同社は地域振興を目的とし、企画・開発をする地域商社であり、設立当初は四万十川中流域の1町2村の出資による第3セクターだったが、2005年に完全民営化となった。

同社の主な事業は、四万十川流域の農産物や森林を素材にした製品の企画・開発・販売だが、地域資源を使った単なるものづくりではなく、自らの考え方(ストーリー)を織り込んだ製品をつくる。それは、今まで見過ごされていた、地域資源が持つ潜在的な価値を見直し、新しい価値を付加する製品づくりであり、その付加価値創成のベースとなるのが、地域の人々や歴史、文化という視点だ。これが四万十ドラマのアイデンティティになっている。

四万十ドラマがつくりだす製品にはすべてストーリーがある。2008年に発売した「しまんと地栗 渋皮煮」も地元・四万十の名産である栗の再生を図った製品

四万十ドラマがつくりだす製品にはすべてストーリーがある。2008年に発売した「しまんと地栗 渋皮煮」も地元・四万十の名産である栗の再生を図った製品

素材がもつ本来の価値を見直す

創業以来、同社が開発してきた製品の素材は、檜、茶、栗など四万十川流域の伝統的な天然資源であり、最初に開発したのが1997年に発売した芳香剤「四万十ひのき風呂」だ。これは、製材所から排出される端材にひのき油を含浸させて焼印を押したもので、風呂に置くとひのき風呂に入った感覚になれる。流域の木材を利用した循環型商品であり、従来は廃棄されるだけだった端材に「新しい価値を付加」した大ヒット商品だ。
 また、2000年には独特の香りを誇る香り米「十和錦」を発売。この米は50年前に旧十和村(現、四万十町)で発見された地元米で、米に混ぜて炊くと新米のように香りが立つという特徴をもつ。これも香り米がもつ潜在的価値を見直して生み出された商品だ。

2002年には「しまんと緑茶」発売した。それまで四万十で栽培される茶は、静岡県の茶の原料として出荷されていた。が、自らの茶は自ら売ろうと四万十流域の茶葉のみで緑茶飲料を開発。ただ、発売当初は原価が相対的に高かったために販路の拡大に難渋したが、地域性に富んだ商品ということで高知県内の量販店やコンビニ、ホテルなどから引き合いがあり、それを機に販売が軌道に乗った。

2008年、地域資源活用事業を活用して特産品「四万十地栗」を用いた「しまんと地栗 渋皮煮」を開発。これも大ヒット商品となった。
 元来、四万十は栗の一大産地であり、その栗も同じ品種に比べて2割ほど糖度が高く大きさも大きいという特徴がある。しかし、生産者の高齢化や気象変動などが原因で年々生産量が減少していた。
 そこで2007年に同社を中心にJA、生産者、加工業者により四万十の栗の再生プロジェクトが発足され、栗の生産量向上と耕作放棄地の再生が図られた。

既述のように、同社の商品づくりにはすべてストーリー性があり、それにより表現されるオリジナリティと提供される付加価値が消費者を魅了するのだろう。

常に雇用創出と販路拡大はセット

ところで、四万十ドラマのものづくりは、雇用の創出と販路の拡大を伴うことに特徴がある。
 例えば、「しまんと地栗 渋皮煮」を始めとした栗加工品(ペーストや甘露煮)の生産工場は地元に誘致することで雇用を生み出した。また、栗の生産でも2012年に「農業法人しまんと新一次産業」を設立して雇用創出につなげている。ちなみにしまんと新一次産業は、年間約5000本の栗の木を植樹することで10年後に3倍強の出荷量を計画し、さらに人材育成(Iターンの2人を雇用)や高齢でリタイアした生産者の栗園管理も実施している。

販売のベース拠点となる「道の駅 四万十とおわ」。年間15万人がここでしか買えないオリジナル商品を求め訪れる

販売のベース拠点となる「道の駅 四万十とおわ」。年間15万人がここでしか買えないオリジナル商品を求め訪れる

販路の拡大は、2007年に四万十町から運営を受託した道の駅「四万十とおわ」がベースとなっている。四万十とおわにはそこでしか買えない数十アイテムのオリジナル商品、また、そこでしか食べられない天然うなぎ(「四万十川の天然鰻丼」)など食事のメニューが揃い、それらを目的に年間約15万人が訪れる。
 「滞在時間を少しでも長くしていただけるよう、お買い物だけでなく食堂でのお食事や四万十川での川遊び、新聞バックつくりなどの体験教室と道の駅『四万十とおわ』でなければ提供できないものと工夫を凝らしています」(営業部長・森岡孝治さん)
 それは、四万十ドラマが提供するストーリー性を体感してもらうことにもなる。目の前の自然や景色に触れ、そこに生きる人たちの思いが込められた加工品や食材を知ってもらう。そのためパッケージのデザインも地域在住のデザイナーが生活者の視点を交え、商品の背景である原材料や生産者などを熟知したうえでデザインしている。
 「私たちが提供するストーリー性を知っていただくということは、お客さまのみならずバイヤーの方も同じです。お取引きする場合、必ずバイヤーさんを四万十にお招きし、生産現場を見ていただき、生産者に会っていただくことで商品の背景を理解していただいています」(森岡さん)
 顧客でも取引相手でも四万十に来てもらい、実際にその環境や人に触れてもらう。あくまでも四万十という現場にこだわる、それが四万十ドラマのポリシーだ。

現在、同社の事業は年商4億円に迫る勢いだが、その基盤は「四万十川に負担をかけず、地域資源と知恵を活用したものづくり」のコンセプトにあり、それを支える「ローカル」(足元の豊かさ・生き方)「ローテク」(農林漁業の技術や知恵)「ローインパクト」(四万十川に負荷をかけない)の3本柱を循環させながらさらなる躍進を期している。

企業データ
企業名 or 店名 株式会社四万十ドラマ
代表者 畦地履正
所在地 高知県高岡郡四万十町十和川口62-9

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