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2013年8月26日

欧州野菜・ちこりの国産化で地域振興-サラダコスモ-

キーポイント
  • 欧州原産の野菜を国内で生産
  • 食糧自給率と高齢者雇用で地域を振興

木曽で欧州野菜が生産されている。白菜の芯のように紡錘形をした白色の野菜「ちこり」。欧州原産のちこりをみごとに国産化したのが岐阜・中津川のサラダコスモだ。

欧州原産の野菜「ちこり」。サラダコスモは2004年に国産化に成功した

欧州原産の野菜「ちこり」。サラダコスモは2004年に国産化に成功した

サラダコスモの前身は1950年に創業されたラムネ製造・販売会社。創業時からもやしの生産もしていたことから、現社長の中田智洋さんが1980年にナカダ産業を設立してもやし専業に切り替えた。
 中田さんは、オートメーション化された工場でもやしを大量生産し、当時ではめずらしい無漂白・無添加を特徴としたことが支持され売上・利益ともに順調に成長。1990年にナカダ産業からサラダコスモに組織変更し、1995年に米国進出、翌96年に米国で無農薬のカイワレ大根の種を100%自社生産、さらに1999年に有機栽培緑豆もやしを生産し、2000年には無化学肥料でカイワレ大根の栽培に成功するなど安心・安全な野菜づくりを追求した。

チコリと出会う

そんな中田さんが2000年に欧州視察に行き、オランダでちこりに出会った。ちこりは欧州原産のキク科の野菜で欧州諸国ではポピュラーな食材だ。ちこりにはイヌリン(血糖値の上昇を抑制するなどの整理作用が期待さる)とラクチュコピクリン(苦み成分の1つで、古くからレタスに含まれる鎮静作用の主成分として研究されている)という成分が含まれる。
 また、ちこりは暗室で水耕栽培される。それはもやしの栽培方法とまったく同じだった。もやしやカイワレ大根に次ぐ事業を模索していた中田さんは、その栽培風景を目にしてこれなら自社の技術が活かせると直感し、さらにちこりのおしゃれな感じの形に魅了され、次の事業のタネになると判断した。
 そこでオランダのちこり生産者団体のトップの知遇を得て、ちこりを輸入するため2002年にオランダに合弁会社を設立。同年9月からちこりの輸入販売を始めた。 が、輸入だけでは飽き足らず、これを国産化できないかと考え、2004年からテスト栽培を始め、「オランダと日本の土壌、気象条件の違いに試行錯誤しながらも」(総合企画室長・宮地隆彰さん)、翌2005年には本格栽培に移行させた。
 そこまでして中田さんがちこりの国産化にこだわったのも3つの目的があったからだ。1つは食糧自給率の向上。ほかの作物と違ってちこりなら地元の生産者と競合しないで、食糧自給率の向上に最適な野菜と考えた。2つめは耕作放棄地の有効利用と地域の活性化、そして3つめが高齢者の雇用だった。
 その2つめの目的である地域活性化を具現させるため、2006年に岐阜・中津川にちこりの生産および加工品販売のための施設を建設して観光客の誘致を図った。そして、施設で最初に取り組んだ加工品開発が焼酎だった。

2次利用を前提としたちこり生産

ちこりの根(種芋=写真の茶色い部分)は従来飼料にするか廃棄されていたが、焼酎の原料などの2次利用されることでコストメリットを生み出した

ちこりの根(種芋=写真の茶色い部分)は従来飼料にするか廃棄されていたが、焼酎の原料などの2次利用されることでコストメリットを生み出した

ちこりの生産は、最初に露地で根(いわゆる種芋)を育て、それを冷凍保存して年間を通して施設栽培(約3週間)で発芽させて収穫する。ただし、欧州とは土壌や気候など栽培条件が異なるため、欧州に比べると日本での生産はコスト高になってしまう。そこで種芋の2次利用を前提としたちこり生産にすることでコストメリットを見出そうとした。その手始めが焼酎づくりだった。
 ちこりは根(種芋)から生えた芽を食べるため、収穫後の根は廃棄される。が、根を捨てずに焼酎の原料にすれば種芋を再利用できる。種芋はふかすとサツマイモそっくりにふっくら仕上がるが、味はさつまいもと違ってとても苦い。そのまま食べるのは無理にしても、焼酎の原料としてみごとに活用させた。
 その後もちこりの種芋を原料に茶(2007年)、コーヒー(2007年)、アイス(2007年)、漬物(2008年)などの加工品を次々と開発していった。


来訪者数は年間に27万人

現在、サラダコスモは中津川に所有する4ha(15カ所)の自社農地でちこりの根(種芋)を栽培する。それらはすべて耕作放棄地だった農地だ。また、自社農地のほかにも南牧村市(長野)、海津市(岐阜)など3地域の生産者にちこりの根の栽培を委託している。

「ちこり村」では、焼酎などちこりの種芋を原料とした加工品も多数販売する

「ちこり村」では、焼酎などちこりの種芋を原料とした加工品も多数販売する

2006年に建設した施設は観光生産施設「ちこり村」としてちこりの生産と焼酎づくりの見学コース、およびちこりを原料とした加工品や地元の生産品の販売コーナーを設けている。ちこり村の来訪者は初年で7万人、現在は年間27万人を数える。国産としてはめずらしい野菜・ちこりを掲げ、地域振興の旗振り役としてサラダコスモは次への取組みに備える。

企業データ
企業名 or 店名 株式会社サラダコスモ
代表者 中田智洋
所在地 岐阜県中津川市千旦林1-15

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