本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

中書企業の農業ビジネスに挑むトップに戻る

2013年5月27日

農を軸にした独自のビジネス観-学生耕作隊-

キーポイント
  • 「後継創業」で耕作放棄地を再生する
  • 6次産業を基盤とした自給自足の場を実現

農を軸にした独自のビジネス観を提唱する若者集団がある。山口県宇部市を拠点に活動するNPO学生耕作隊だ。
 学生耕作隊は2002年1月に山口大学の学生(当時)30人によって設立され、同年9月にNPO法人化された。当初は名称が表すよう、人手不足の農家を学生が有償でボランティアする団体として発足した。そして学生耕作隊は援農ボランティアだけでなく、管理放棄された農地を荒地にしないよう保全管理する農地保全事業や耕作放棄地を引き継ぎ再生する「後継創業」も手がけるようになり、現在は後継創業を主な事業として活動している。

荒廃した茶畑を再生して商品をつくり上げた

2010年に商品化したオリジナル銘柄の茶

2010年に商品化したオリジナル銘柄の茶

学生耕作隊が初めて手がけた後継創業が、宇部市の楠地区で耕作放棄されていた茶畑であり、現在、再生された茶畑は「森の駅 楠クリーン村」の名称(2011年の命名)で20-30代の若者10人により運営されている。
 この茶畑の管理を地主から引き継いだのが2007年。当時、山を開墾した茶畑は荒れ放題なうえ約10万m2と広大な土地だった。現在の楠クリーン村の代表、三田村諭さんは仲間と2人で耕作放棄された茶畑に入り、荒れた茶の木や雑木を切り、雑草を刈り、素人ゆえ試行錯誤しながらもなんとか茶畑を再生させた。
 そして3年目の2009年には茶工場を稼働させてお茶を加工、翌2010年には本格的な商品としてオリジナル銘柄の茶を全国に売り出し、6次産業化にも成功した。
 ちなみに、学生耕作隊は山口県周防大島町でも2009年にみかん園の管理を高齢の地主から引き継ぎ、同年にジャム、2010年に果汁100%のジュースも商品化している。

なんでも自分たちでつくる

楠クリーン村の活動は自前主義を旨としている。三田村さんらは2010年から楠クリーン村に定住したが、住居、生活用水、風呂、倉庫(農機具、作業道具、茶の加工機械などの保管)などの建物・設備はすべて自らつくり、さらに生活用、機械稼動用の電源も太陽電池を自ら設置することで調達した。
 楠クリーン村は、単なる耕作放棄地の再生だけでなく、そこに自立した生活拠点を築き、さらに6次産業を基盤とした本格的な自給自足の場の確立を試みている。そのため茶の製品化以外にも、2012年から飼育を始めた肉牛による加工品やオリジナルの菓子など新しい製品の開発も進めている。

楠クリーン村は生産活動に必要なものを自前でつくる(左は入浴設備、右は事務棟)

楠クリーン村は生産活動に必要なものを自前でつくる(左は入浴設備、右は事務棟)

独自の観点から企業誘致を図る

さらに、農業以外にも事業の幅を広げており、その1つに事業の受託運営がある。現在、楠クリーン村の敷地内に物流倉庫を設け、東京で雑貨を商う企業の商品の入出荷を管理している。その企業は東京にある本社機能の1/3を楠クリーン村に移し、それに伴って自社の事業の一部を楠クリーン村に委託した。このように、都市圏以外に本社を構えようという企業のうち、楠クリーン村の自給自足生活に共感を覚えて楠クリーン村と提携を図り始めようとする企業もあるという。
 それに対して楠クリーン村(学生耕作隊)も、単に事業を請け負うだけでなく、さらに新たな提案として「農業ある暮らし」の中でのビジネスを投げかけている。それは自然とたわむれ、農に勤しむことで新しいアイデアを湧出させるビジネススタイルであり、そんな農を軸とした企業活動やビジネスを提唱しながら企業誘致にも積極的に取り組んでいる。実際、今年6月からは東京・港区のデザイン会社が本社を楠クリーン村に移す。
(*学生耕作隊の連絡先:kousaku@shakai.kigyo.net

企業データ
企業名 or 店名 特定非営利活動法人 学生耕作隊
代表者 齋藤祐子
所在地 山口県宇部市今富25-1

このページの先頭へ