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2012年11月26日

野菜の栽培技術をマニュアル化して農業経営にイノベーションを引き起こす-オリザ-

キーポイント
  • 高糖度ミニトマトの栽培技術をマニュアル化した
  • ネットワークで結ばれた生産者が知恵を出し合いマニュアルを改善する

ユニークなビジネスモデルで農業に挑戦するベンチャーがいる。2007年に創業したオリザだ。ミニトマトなどの栽培技術(播種から出荷まで)をマニュアル化し、その技術を無償で農業生産者に提供することで、どこにいても同じ品質の農産物をつくれるオープン・イノベーション式の生産を展開している。

一般的なフランチャイズとは異なる

同社の主な事業は、生鮮野菜と加工食品および農業資材の販売だ。業種でいえば卸売業になる。しかし、ただの卸売ではない。生鮮野菜の栽培技術をマニュアル化し、それを希望する農業生産者に無償で提供する一方、収穫された農産物は契約により買い取るというビジネスモデルを展開している。それは、生鮮野菜の栽培マニュアルを基とした一種のフランチャイズ契約だが、一般的なフランチャイズとは大きく異なる点が1つある。それは、各農業生産者がネットワークで結ばれ、マニュアルの改善に向けてさまざまな知恵や意見を活発に提供しあうことだ。

オリザでは栽培技術をマニュアル化して無償で提供する。さらに、マニュアルは契約生産者によって改善が重ねられる(写真は高糖度ミニトマトの栽培)

オリザでは栽培技術をマニュアル化して無償で提供する。さらに、マニュアルは契約生産者によって改善が重ねられる(写真は高糖度ミニトマトの栽培)

同社が栽培をマニュアル化した生鮮野菜は高糖度(8.5度以上)のミニトマト、トウモロコシ、茎ブロッコリーの3種。2008年、最初に高糖度ミニトマトの栽培をマニュアル化した。
 「ミニトマトはビニールハウスで栽培しますが、成長するに従って蔦は上方へと伸びていきます。その際、蔦の伸長方向をうまく制御することで使用する資材の数量を削減できます。そんな小さな工夫を契約生産者同士で共有することで栽培技術の向上とマニュアルの改善を図っています」(最高執行責任者、代表取締役の藤井優さん)
 マニュアル化されているためビニールハウス内の環境はどこでも同じになり、また、栽培の手順も定められているため全国どこでも同じ品質の野菜がつくれる。が、日々の作業では生産者がそれぞれに工夫をする。そうした工夫や技術をオープンにすれば、それを起点に新しいイノベーションも起こり得る。さらに、多くの生産者が情報を共有すればより早いスピードでイノベーションを起こせ、それにより新しい価値が生まれ得る。
 そう考えるオリザは、野菜をマニュアル通りに栽培するだけでなく、ネットワークで結ばれた各生産者が常に改善を重ねることで生産量のアップやコストダウンを追求している。まさに企業経営そのものの視点だ。

生産管理も販売もすべて企業経営の視点で貫く

現在、同社は全国に6軒の契約生産者を抱える。それらの生産者は、新規就農のみならず他業種からの参入も多い。契約栽培の農地面積は約200aで高糖度のミニトマト、トウモロコシ、茎ブロッコリーを生産している
 「生産者としては、野菜の栽培ノウハウが用意され、オリザが買い取るということで販路も確保されているわけですから新規に就農しても不安が少ないと思います」(藤井さん)

契約生産者の農産物は、市場で流通する価格に比べて平均1.5-2倍(季節による調整あり)の値でオリザに卸せる。また、資材など固定費が大きいハウス栽培だが、資材はオリザを通して共同購入できるので、資材の種類によっては通常の1/2までコストを下げられるという。
 集荷した野菜はオリザが全国の百貨店、スーパー、ホテルのレストランなど外食店に販売する。売上げの90%は量販店、残り10%は外食店へ販売する。 ビニールハウス栽培とはいえ、天候や病害虫の影響などにより年ごとに収穫量にバラツキはあるが、全国(栃木、三重、滋賀、岡山、鹿児島)に点在する契約生産者からの集荷量を調整することで販売数量の安定を図っている。

オリザは契約生産者から契約した数量を買い上げるが、生産者にも独自の販路開拓を奨励している。
 「販路が多数あれば販売のリスクも分散されます。企業の経営で複数の取引先をもつことは常識です」(藤井さん)
 生産管理のみならず、販売面でも企業経営の視点が貫かれている。オリザがそれを重視するのは、同社の共同創業者、浅井雄一郎(CEO)と小平勘太(CEO)による「利益の出せる農業、競争力のある農業」という考えが根底にあるからだ。その思想は、「ビジネス、サイエンス、ファーム(農場)」を重視した農業経営という同社の経営理念にも反映されている。要は、農業生産ではなく「農業経営」が重要であり、儲かるビジネスモデルを構築できるか否かに農業生産者の経営力が問われるというわけだ。

インドの大手食品企業と提携して現地農場で野菜のハウス栽培を指導する

インドの大手食品企業と提携して現地農場で野菜のハウス栽培を指導する

いざ、海外へ!

現在、オリザと契約を結び生産を準備する生産者、または契約を検討する人たちが7軒あり(北海道、関東、中部)、同社の野菜のマニュアル栽培は全国へ広がる勢いだ。
 さらにオリザのビジネスは国内にとどまらず、海外へも進展しようとしている。2011年にはインドの大手食品企業と提携し、現地の農場でパプリカのハウス栽培の指導を始めた。そして2012年初頭にはインドで栽培したパブリカをシンガポールに輸出し、5トンを販売した。30代の3人の経営者による農業ビジネスは、日本から世界をめざして飛び立っていく。

企業データ
企業名 or 店名 株式会社オリザ
代表者 藤井優
所在地 東京都渋谷区東1-11-14-1D

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