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2012年11月12日

バーチャル、リアルの両面から農業生産者の営業を応援する-レッドビーンズ/農家の売り子プロジェクト-

キーポイント
  • 生産者が意識しないセールスポイントを代弁する
  • 農産物のネット通販の開業者もサポートする

農業生産者の営業をバーチャルとリアルの両面から応援する。それが兵庫県明石市の野菜通販事業「レッドビーンズ」と一般社団法人「農家の売り子プロジェクト」だ。双方の代表者、小豆佳代さんは2003年に起業して前者を、2010年には後者をそれぞれ立ち上げた。

丹波篠山の農産物をインターネットサイトで販売する「レッドビーンズ」

丹波篠山の農産物をインターネットサイトで販売する「レッドビーンズ」

ネット通販で営業の応援をしよう

まずはレッドビーンズ。これは丹波篠山の農産物をインターネットサイトで販売する通販事業だ。そのきっかっけは2003年、農機具メーカーに勤める父親から聞いた、「農薬を減らして苦労して栽培しても、市場ではそれに見合った値段にならない」という農業生産者の苦悩だった。
 そんな彼らの厳しい現状を聞いた小豆さんは、農業生産者を応援する事業をしたいと、さっそく父親から紹介された2軒の農業生産者を訪れてみた。
 そして彼らの厳況を聞いているうち、消費者に直接販売できるネット通販に興味があるが、どうすればいいのかわからないという悩みを聞いた。小豆さんは前職で文具会社のネット通販を担当し、インターネットサイトのデザイン・企画・制作を手がけた、いわばその道のプロ。これなら私にもできる。得意のネット通販で農業生産者の営業を応援しようと決めた。

さっそく通販サイトを立ち上げるため、自ら売る商品をよく知ろうと何度も産地に足を運び農産物の知識を蓄えていった。そして知識が深まるにつれ、生産者が意識していないセールスポイントに気がついた。
 「例えば、生産者は品質のよい農産物をつくるために土づくりや収穫のタイミングを熟考します。これは生産者にとって当たり前のことですが、ほとんどの消費者は知らないことであり、だから消費者には伝えるべき貴重な情報だと思いました」(小豆さん)
 農業生産者はおいしい農産物をつくるため、植え付けから収穫までの間、丹精込めて野菜を栽培する。それは彼らにとって当然のことかもしれないが、ほとんどの消費者は知らない。しかし、小豆さんはそうした情報こそ消費者に伝えるべきであり、生産者固有のセールスポイントになると考えた。
 そこで小豆さんは、通りいっぺんの商品情報ではなく、農産物にかける生産者の思いや生の声を彼らに代わって消費者に伝えることが大切だと考え、それをサイトの主要なコンセプトとして2003年にレッドビーンズをオープンさせた。

思わぬハプニングから生まれた新商品

現在、レッドビーンズは25軒の農業生産者と契約し、年間延べ3000人の利用者(そのうち60%はリピーター)を抱える。販売するのは丹波篠山の農産物とその加工品。その仕入れ価格は生産者の意向、つまり彼らの利益を最優先する。また、農産物は無農薬・無化学肥料もしくは農薬や化学肥料の使用を可能な限り減らしたものを優先し、鮮度を保持するために集荷後すぐに梱包・発送するよう心がけている。
 レッドビーンズの主要なコンセプトである、生産者が意識しないセールスポイントの伝達について、最近はセット商品である有機野菜や無農薬野菜の舞台裏もサイト利用者に懇切丁寧に伝えている。
 例えばキャベツの玉が小ぶりなのはなぜか-。キャベツは農薬を使わずに栽培すると葉に虫がつきやすくなり、出荷の際にはその虫が食った葉を落とすため、農薬使用のキャベツに比べてどうしても玉が小ぶりになる。
 「そうした生産者の手間を知らないお客さまは『なんで無農薬のキャベツは小さいの?』と疑問に思われますが、産地の舞台裏をお伝えすることによってお客さまの理解も進んでいきます」
 そこまで手間ひまかけても安心して食べられる甘くておしいキャベツをつくりたい。日ごろは声にすることのないそんな生産者の思いをレッドビーンズが代弁して発信している。

農薬を使わないキャベツは虫に食われやすい。生産者は多くの手間をかけて栽培・出荷する

農薬を使わないキャベツは虫に食われやすい。生産者は多くの手間をかけて栽培・出荷する

小豆さんは年間を通して足繁く生産地へ通い、契約農業生産者とのコミュニケーションを欠かさない。農産物の集荷も彼らと相談しながら進めているが、思わぬハプニングから新商品が誕生することもある。
 「あるとき、赤とうがらしの収穫が多すぎて余ったので、葉が付いた状態で生のままあげるといわれたことがありました。それまで販売した実績がなかったのですが、新しい商品としてサイトに掲載してみたのです」
 それがヒットした。生の赤とうがらしとその葉など通常の流通では手に入らないめずらしい野菜と消費者はよろこんだ。一方の生産者は、赤とうがらしは生ではなく乾燥させなければ売れないと思い込んでいた。また、それが過去の商習慣だったので市場には流さなかった。しかし、実際に販売してみると、消費者にとって葉付きの生の赤とうがらしは市場では買いにくいいわばプレミアム商品と映ったわけだ。生産者の固定観念を覆し、生の赤とうがらし(葉付き)はそれ以降レッドビーンズの毎年の定番商品となっている。

生では売れないという生産者の固定観念を覆してヒットした葉付きの生赤とうがらし

生では売れないという生産者の固定観念を覆してヒットした葉付きの生赤とうがらし

リアルの観点から農産物販売をサポートする

農業生産者の営業をバーチャルで応援するレッドビーンズに対し、リアルの観点から応援する組織として2010年に設立されたのが「農家の売り子プロジェクト」だ。その主な事業は、ネット通販の開業・運営と農業生産者の営業の支援、直売所などでの出展者および開催者のサポートだ。
 ネット通販の開業・運営の支援は、主に各種団体が主催するセミナー・講座に招かれ講義する。また、農業生産者の営業の支援も、招待されるセミナーなどで対面販売の基本を紹介したり、実際にファーマーズマーケットに出展する生産者の販売をサポートする。
 直売所などにおける出展者および開催者のサポートでは、兵庫県内の商業施設で定期開催される農産物・加工品の販売イベントやファーマーズマーケットをサポートしている。
 今後、農家の売り子プロジェクトでは農業生産者の営業をプロデュースできる人材の育成にも注力していく。そのためにもネット通販や営業サポートの講座に参加した人を受講だけに終わらせず、受講後には農業生産者に引き合わせることで、実際に産地で農業生産者とコミュニケーションを図りながら農産物の営業サポートの実務に取り組める仕組みづくりを企画している。

企業データ
企業名 or 店名 レッドビーンズ
一般社団法人農家の売り子プロジェクト
代表者 小豆佳代
所在地 兵庫県明石市魚住町清水530-4-407

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