本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

中書企業の農業ビジネスに挑むトップに戻る

2012年8月28日

東京の新鮮な地元野菜を毎日提供する -しゅんかしゅんか-

キーポイント
  • 東京で地場の朝採れ野菜を毎日販売
  • 飲食店の経営で野菜に対する来店客の反応をキャッチ

東京に住みながら朝採れた地元の新鮮な野菜が毎日食べられる。それをコンセプトに2011年7月、東京・国立市にオープンしたのが地元野菜を売る青果店「しゅんかしゅんか」だ。
 JR国立駅から線路沿いに歩いて3分、しゅんかしゅんかのちょっとしゃれた店舗にたどり着く。
 「国立に住む方々の生活圏で開業したいと思い、道路に面した便利な場所として現在地を求めました」(渋谷祐輔店長)
 同店は国立市内の約30軒の農業生産者と契約を結び、毎日2回、それら生産者から採れたての新鮮な野菜を集荷して店頭に並べる。地元の新鮮な野菜にこだわる。だから毎日午前中に2回、軽ワゴンで契約農家を回って野菜を集荷する。

東京・国立市で地元の朝採れ野菜を売る「しゅんかしゅんか」

東京・国立市で地元の朝採れ野菜を売る「しゅんかしゅんか」

地元の新鮮な野菜は確実に売れる

しゅんかしゅんかは、地元・一ツ橋大学のOB、菱沼勇介さん、渋谷祐輔さんの2人が立ち上げた。2人は学生時代に商店街の活性化に取り組み(一ツ橋大学の学生を中心に商店街の活性化に取り組むNPO法人で活動)、卒業後はそれぞれ企業に就職したものの、あるきっかけから知人の野菜即売事業を引き継ぐことになり、サラリーマンを辞めて2010年2月から即売会を運営した。
 「国立駅近辺で毎週土曜日に野菜の即売所を開くと200-300人が来場されました。また、駅の近辺以外の場所で即売会を催しても同じように盛況でした」(渋谷店長)
 地元の新鮮野菜は確実に売れる。そう確信した2人は、鮮度のいい野菜を常設所で売るため国立駅前に店舗を求めた。また、知人が取引していた契約農家をそのまま引き継ぎ、国立の人々に地元の新鮮野菜を提供する店、しゅんかしゅんかをオープンさせたのだ。

店内の野菜には収穫時(朝どれ)が記され、葉物はその日のうちに売り切る

店内の野菜には収穫時(朝どれ)が記され、葉物はその日のうちに売り切る

店舗の面積は10坪とさほど広くはないが、野菜のほかにも米、豆腐、たまご、加工品(調味料、漬物など)を揃える。地元の野菜のみを毎日集荷して売るため、年間を通して農繁期と農閑期とでは野菜の仕入れ量が異なってしまう。そのため野菜以外の商品も販売するが、おおむね野菜の売上は農繁期で売上全体の60%、農閑期で50%を占めている。
 野菜の収穫時期に繁閑はあれども、しゅんかしゅんかでは端境期に品薄状態を来たさないため、毎日の集荷で接する農業生産者とのコミュニケーションを密にすることで、先々に収穫される野菜の情報を的確に把握するよう努めている。また、端境期には地元以外の近辺の農家からも野菜を集荷することで事前に品薄のリスクを回避する。
 ただ、毎日の集荷では課題もある。
 「小売はマーケティングを重視したビジネスであり、それには発注管理が重要になるのですが、青果の直売というビジネスはそれがなかなか難しいことを痛感しています」(同)
 開業からの1年間でしゅんかしゅんかの売上はほぼ計画通りに推移したが、利益は必ずしも計画通りとはいえなかった。その原因の1つに発注管理があった。毎日野菜を集荷する際、ときに農業生産者へ発注した数量と実際の集荷との間に誤差が生じた。そして、その誤差の原因は、野菜の生産・仕入・販売に対する農業生産者と小売業者との認識のギャップだった。そこで新鮮な野菜をその日のうちに売り切るというビジネスを農業生産者に理解してもらえるよう、しゅんかしゅんかは日常のコミュニケーションをさらに深めるよう努めている。

野菜のほかに米、豆腐、たまご、加工品(調味料、漬物など)も揃える

野菜のほかに米、豆腐、たまご、加工品(調味料、漬物など)も揃える

農業生産者のモチベーションも高まる

「地元の新鮮野菜をさらに多くの方に食べていただき、また、生産者の方にお客さまの反応を少しでも多く届けたいと飲食店を始めました」(同)
 2012年5月、国立駅前にダイニングバー「くにたち村酒場」を開店した。料理のメニューは契約農家の野菜が中心なため、地元の野菜に対する客の反応がダイレクトにわかり、その情報を農業生産者にもフィードバックできる。また、飲食店で自らの野菜がメニューに載っているという具体的な事実がなによりも生産者のモチベーションを高める。
 「このメニューを通してお客さまにも都市型農業の大切さや地元野菜のおいしさを知っていただければと思います」(同)
 しゅんかしゅんかとくにたち村酒場を運営するのが「株式会社エマリコくにたち」で、菱沼さん、渋谷さんらが創立した、役員3名、社員3名の小さな企業だ。同社の主事業は、地域の資源を有効活用したコミュニティ・ビジネスであり、まずはしゅんかしゅんかとくにたち村酒場から具体的にビジネスを展開した。
 そして野菜の直売事業については、国立以外の地域でも地場野菜の直売店を計画しているように、小さな企業が大きく夢をふくらませて都市型農業の活性化にまい進している。

企業データ
企業名 or 店名 しゅんかしゅんか
代表者 菱沼勇介、渋谷祐輔
所在地 東京都国立市中1-1-1

このページの先頭へ