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闘いつづける経営者たち


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03. スターフライヤーは他と違うんだというメッセージを出し続ける

潜在需要はある、九州のハブに闘いを挑む

ペーパープランから地元の資金を集めてやるビジネスモデル・・・。おそらくそれはほぼ間違いなく日本初の試み。その闘いに地元の行政や企業が加勢していく。

「地元企業に出資を募っても異業種には出せない」と断られ続けた。集まるという確信はゼロだった」

そこで協力を仰いだのが当時の北九州市長の末吉興一。そして北九州商工会議所会頭の重渕雅敏(TOTO会長)ら地元有力者だった。地域振興のために新空港に地元の航空会社が必要との気持ちが一致した。末吉、重渕、堀による企業回りが始まった。

行政と地元有力者、航空会社出身の堀、効果は絶大だった。TOTO、安川電機、ゼンリン、第一交通産業などの名だたる地元有力企業が相次いで出資に応じた。新日本製鉄など地元に生産拠点のある企業も参加した。

完全に流れが変わったのは05年の第5次増資。日産自動車の参加だった。「再建のために事業に関係のない大半の持ち株を処分したゴーン社長が出資する」という安心感が広がった。

これまでおぼろげに見えていただけの地域の資本を集めるというビジネスモデルをついに射程にとらえた瞬間だった。

堀はその時の状況を大学時代に航空研究会の復活を画策したときとオーバーラップさせる。部室奪還のために全共闘と闘うのを怖がってしり込みしていたが、奪還派が一定の数に達すると急激に増えるという日本人のメンタリティだ。


こうした地元企業による出資が加速されるようになると、北九州市や福岡県の助成金、そして金融機関の融資なども好転、スターフライヤーの総資金は140億円にまで拡大した。

「これで必要な資金のめどがついた。2005年の1機目から現在の4機体制はすべて新造機。そして5機目の投入も予定している」。

整備・点検については、2006年に世界一安全な航空会社の称号を手に入れたルフトハンザと契約。日常の整備・点検は自社の整備士が行い、大きな整備は、ルフトハンザに持ち込むという体制を確立した。

北九州には日本を代表するモノづくり企業が立地する。年間延べ1万人以上が首都圏に出張する企業も少なくない。これらビジネス客も含め、北九州地域と首都圏との往来は年207万人に達する。旧北九州空港時代の利用者は約30万人、福岡空港の利用者が100万人、JR利用が77万人だった。

堀は多便数、早朝深夜の利便性を備えた新空港開港で、九州のハブである福岡空港、JR(新幹線)に闘いを挑んだ。ほかに流れていたお客を呼び込み、新空港利用客を中長期的に150万人と見込んだ。現実に新空港利用客は日本航空と合わせ初年度の06年度で115万人にまで増えた。

堀の希望の翼は、北九州の希望をのせて飛び始めた。1番機搭乗後の前・北九州市長の末吉興一と堀(写真上)。エアバス社(仏・トゥールーズ)での1号機(JA01MC)の引き渡し(下)

堀の希望の翼は、北九州の希望をのせて飛び始めた。1番機搭乗後の前・北九州市長の末吉興一と堀(写真上)。エアバス社(仏・トゥールーズ)での1号機(JA01MC)の引き渡し(下)

人、モノはすでに東京の横にいる

新空港による北九州地域の活性化効果はすでに出ている。隣接する臨空工業団地は完売、市は新たな工業団地の造成にかかっている。

航空貨物事業者ギャラクシーエアラインズが深夜に貨物便を飛ばし、スターフライヤーも間もなく貨物市場に参入する。堀は「人流、物流で北九州は夜中から早朝まで首都圏に一番近い場所になった」という。

土地が安い、人がたくさんいる、交通が便利で「首都圏の横にいる」北九州は企業立地の最適地というわけだ。企業立地が進めば、地域経済も活性化し、航空マーケットも拡大する。出資企業にとっても株主優待で出張費用のコストメリットがある。地域との「WIN・WINの関係」に向けて好循環が始まった。

堀にとって当面の目標は株式の上場だ。ベンチャーキャピタルはもちろん、すべての出資者に還元しなければならない。堀は「07年度と08年度の業績を見極めて、すみやかにやりたい。どんなことがあってもそれをやり遂げる責任がある」と言い切る。

しかし堀には1つの懸念材料があった。世界的に台頭するローコストキャリアの存在だ。いわゆる格安運賃を売り物とした航空会社で、単一機種の一括購入による機材購入コストの抑制や機内サービスの簡素化などにより、大手ではマネのできない格安運賃を実現して乗客を獲得、収益を上げるビジネススタイルが特徴だ。

「単位距離を運航するコストが日本の航空会社の平均4分の1という格安航空会社がある。もしそれが日本に乗り入れてきたら日本の航空会社はどこも勝てない。日本の方が着陸料や人件費などのコストが高いので、数十%高いというならともかく、400%というのはあり得ない数字」

その一方で日本の大手航空会社がアジアの航空会社と合弁で、近距離国際線の格安航空会社を設立するという報道もある。

「これはメーカーの海外工場移転と同じ。日本の体系が変わらなければ日系航空会社は世界競争で淘汰されていく。そのときスターフライヤーも提供する選択肢の幅を広げていくことになるかもしれない」。

コスト構造の違いが海外シフト、国内空洞化を進めることを堀は懸念する。しかし堀は冷静に言う。

「それでもオレたちはほかと違うんだというメッセージを出し続ける」

堀 高明 プロフィール

1949年長崎県生まれ。1973年、東亜国内航空(株)(現・日本航空インターナショナル(株))入社。運航本部航務部運航技術課、乗員部飛行技術課、空港部、経営企画室主事、運航本部乗員基準部チーフマネージャーを歴任。1992年10月、航空業界を離れ親族の経営する栄和産業(株)営業統括部長。1993年11月、エグゼクティブ・エアサービス(株)(現・エクセル航空(株))業務部長として再び航空業界へ。パイロットの基礎訓練事業に従事し、1996年5月、エクセル航空(株)代表取締役社長。東京や横浜のヘリコプター・ナイト・クルージングや救急医療を行うドクターヘリ・サービスを事業化する。2002年12月、神戸航空(株)(現・(株)スターフライヤー)を設立し、代表取締役社長に就任。

企業データ

株式会社スターフライヤー

〒802-0003
福岡県北九州市小倉北区米町二丁目2番1号 新小倉ビル

事業概要:定期航空運送事業および不定期航空運送事業ならびにこれに附帯または関連する事業
設立:2002年12月
資本金:5,833百万円
売上高:単体 12,082百万円
社員数:単体 355名(2007年7月25日現在)


掲載日:2008年2月26日


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