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闘いつづける経営者たち


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04. 「働きたい」「仕事を続けたい」―そう思うすべての人を応援したい

人材サービス業は信頼の積み重ね

人材派遣という就業スタイルの可能性にいち早く着手して今年で35年。バブル経済の崩壊によるマイナス成長期はあったものの、男性社員の採用・前線投入などの大改革が功を奏し、売上高は95年335億円、96年482億円、97年669億円と順調に推移、テンプスタッフは間違いなく強くなり、成長した。

07年3月時点での規模は、連結売上高2,288億円、グループ42社、サービスネットワーク国内252、海外9か所に及ぶ。

業界第3位(1位は未上場だがスタッフサービス・ホールディングスを買収したリクルート、2位がパソナ)だが、女性経営者の草分けとして、そして業界のリーディングカンパニーとして君臨し続けている。

「製造業であれば画期的な新製品を、IT産業であれば業界初の新システムを市場投入すれば飛躍的な売上げ拡大を達成できますが、人材ビジネスは半歩先を見据えてニーズを汲み取り、信頼を積み重ねるより道はないと思います」


篠原は米国の有力経済紙「フォーチュン」が選ぶ世界最強の女性経営者に2000年から8年連続でランクインしている

篠原の言葉どおりキメ細かな市場対応で、ひとつの成功神話を記してきた。

急成長を遂げた派遣業界は06年には就業人口が320万人、市場規模5兆4,200億円、協会(日本人材派遣協会)加盟企業数も700社を突破し、生き残りをかけた合従連衡の時代に突入している。しかし篠原の視点はブレない。

「私利私欲ではなく、働きたいと願う人々に歓びを得られる仕事のチャンスを提供し、社会に必要とされる会社でありたいと思っています」


「ワールドワイド・スカラシップ制度」では、無償で約9ヵ月間、シアトルなど海外でスキルアップ研修を受講する

これこそがステークホルダー(利害関係者)全体に誠心誠意を尽くすという篠原の創業来のモットー。企業理念。年齢・性別、国籍などを問わず、多くの人々に雇用を創造し、仕事を紹介していく。人間は仕事をする事によって成長するし、それは社会貢献につながるという考えだ。

社会貢献という意味では、篠原は91年から社会人を対象とした海外留学奨学生制度「テンプスタッフ・ワールドワイド・スカラシップ制度」と学生を対象とした「テンプスタッフ・ユースインターナショナル・スカラシップ制度」を実施している。

前者は社会人、後者は学生の国際ビジネス感覚の習得とスキル・キャリアアップを目的としたものだ。

「テンプスタッフの発展は社会の支援があったからこそ。そして多くの支援者や社会人のおかげです。私自身、海外でたくさんのことを学びましたし、それは貴重な体験でしたから、スカラシップ制度を通じてそういう体験を社会人のみなさんに提供することで人々を支援し恩返しをしたかったんです」

ワンストップサービス提供のための組織づくり

時代は変化しても得意先のニーズには決して断ることなく対応する。そのために営業の拡大とともに、ニーズを先取りする研究プロジェクト、ITや医療、金融などに特化した新事業部などが数多く設立されてきた。

これはテンプスタッフの最大の特徴でもあり、成長のシナリオでもある。社内ベンチャーの立ち上げも含めて、専門特化すべきユニットは別会社として分離する。ここに社員(と派遣スタッフ)の能力と組織の能力の相乗効果(WIN-WIN)がある。

「仕事に対するプロセスに絶対はありません。だから社員を信じて任せます。人間は任されれば責任感もやる気もおきますしね」

企業理念は篠原にとって社員一人ひとりの行動の根本になるポリシー。だから社長業との絡みで直接社員と関われなくなっても社員に任せる気持ちが強い。

その最たるものが専門特化した人材ニーズに対応するグループ会社の存在だ。現在ではその数は36社を数える。たんにスタッフを集めて派遣するのではなく、専門職ごとの会社でスタッフを教育、支援し、派遣する。

小回りのきく専門組織だからこそ、企業ニーズや求職者ニーズにも迅速に対応できる。個人別に派遣スタッフの細かなフォローアップも十分に行える。専門性に特化し、ニーズ理解能力が高くベストマッチングが可能という意味でもクライアント・求職者、双方からの評判も高い。

一方、人材サービスメニューの充実も図り、人材紹介、アウトソーシング、請負などの業務も拡充している。

特に2000年12月に解禁された紹介予定派遣制度は、一定期間派遣スタッフとして就業し、働く人と企業がお互いに見極めたうえで社員に登用するもの。

「昨年調査では、弊社登録スタッフの52%が希望しているので積極展開に努めています」という。

育成型派遣など、スペシャリストに向けた研修・教育体制の充実も推し進めている

こうした環境の変化に伴い、篠原は研修・教育体制の充実も進め、スキルの深掘りにも注力、得意先のどんなニーズにも対応できる体制づくりを推進中である。

育成型派遣でスペシャリストを育ててから派遣する人材育成などがそれ。ユニークな形態としては大学と提携し、就職活動前の学生に対する企業研修などにも取り組んでいる。

「基本方針は広く浅く対応する百貨店型ではなく、専門店の集合体であるショッピングセンター型。得意先の利便性を考慮した「ワンストップサービス」のプロ集団です」

主婦をターゲットにした「テンプ・アップ」。併設保育所などのハード部分と就業支援のソフト部分の両面から支援する

これに沿ったものが08年4月からの健康保険法施行に伴うグループ会社の統合だ。特定健康診査や指導などが義務付けられ、医療系有資格者の雇用ニーズが高まる。

「これに合わせて従来、別個に活動していた医療系グループ会社3社を統合し、医療事務の派遣や看護師、医師などの紹介業務、MR(医療情報担当者)業務のアウトソーシング、コンサルティング医師の独立開業支援など、ワンストップサービスを実現します。法律改正はビジネスチャンスでもあります」

もっと主婦層のチカラを!

篠原は、現在「1.グローバル戦略の強化、2.より専門性・即戦力が求められる労働市場への対応、3.新たな雇用の創造(女性・シニア・外国人の就業支援)」―の3つをテンプスタッフの戦略に挙げる。しかも「06年に上場した利益をこれに集中投資する方針」だという。

「テンプ・アップ」では個人が働きやすい周囲の環境作りから支援する。写真は子供の成長を促す育児支援の様子

今後ますます強くなる日本の労働力の減少は、主婦と高齢者の活用、外国人の受け入れ(まだ法律体系が未整備)がキーワードとなる。

なかでもシニア層への雇用機会の創出は91年頃からスタートしており、07年問題に代表される技術の伝承など、新しい環境の中での同社の役割は貴重な存在だ。

そして主婦層の社会的復帰支援―未就業主婦の雇用など、眠っている労働力の発掘・開拓だ。当然、持っているスキルを活かすためには、育児支援や環境整備など就業を促進するサポートが必須になる。

そこで「主婦の職住接近策を打ち出し、全国にオフィスを開設、主婦の就業支援を積極的に行っています」という。社会復帰や仕事のブランクの不安を解消するためのセミナーやOA講習会なども実施している。

さらに主婦の就業を総合的にサポートする施設「女性総合支援センター「テンプ・アップ」」を東京都渋谷区にオープン。同センターには東京都の認証保育所も併設している。08年3月末現在、東京都内3カ所(代々木、恵比寿、代々木上原)と神奈川県横浜市の2カ所(たまプラーザ、十日市場)に開設している。

上場から2年目を迎え、今後は株主をはじめ、ステークホルダー全体を見据えて企業価値の向上に努めなければならない。

だが「経営において規模に対するプライオリティはトップではない。何よりも大きく変化しようとしている労働環境の変化にどう対応するか。働く側、雇う側にどれだけ高い満足度を提供できるか。人材サービス業の品質、それを基礎とする経営のサスティナビリティが問われている」と篠原はいう。

ある調査によると、労働者全体に占める派遣の割合は英国が5%、フランスが2.5%、日本が1%強。待遇改善も含めて、篠原の使命はまだ多い。

だからこそ、雇用環境新創造のリーダーである篠原は、つねに次のステージを模索する。しかし時代の要求が移り変わっても、また地域やサービスの内容が変わったとしてもテンプスタッフのビジネスDNAは変わることはない。

篠原 欣子 プロフィール

1939年神奈川県横浜市に生まれる。1953年高木商業高校卒業後、三菱重工業(株)等を経て、スイス、イギリスに留学し、語学、秘書学を学ぶ。1971年オーストラリアに渡り現地のマーケティング会社、ピーエーエスエー社に社長秘書として入社。1973年同社退社後帰国し、人材派遣会社テンプスタッフ株式会社を設立、2006年東京証券取引所第1部へ上場。(社)日本人材派遣業協会理事、財務省「参与会議」メンバー等を務める。米国「フォーチュン」誌による「世界最強の女性経営者」に7年連続でランクイン。その他受賞歴多数。著書に「探そう。仕事の、歓びを。」などがある。

企業データ

テンプスタッフ株式会社

〒151-0053
東京都渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー
TEL.03(5350)1212(代表)

事業概要:一般労働者派遣事業、有料職業紹介事業、保育事業など
設立:1973年(昭和48年)5月
資本金:9億7600万円
連結売上高:単体 2,454億円(08年3月期予想)
連結従業者数:2,632名(07年9月末)


掲載日:2008年4月 3日


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