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01.地域密着を貫く異色の外食チェーン
6期連続増収の勝ち組企業
外食産業各社が軒並み低迷を続ける中で、ギョーザを看板商品に据えた「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは、2003年度から6期連続で増収を続けるいわば勝ち組み企業だ。2010年3月期の業績予想は前年度比14%増の627億円。経常利益も88億円を計画しており、いずれも過去最高を見込む。当期利益も前年度比39%増の大幅アップを予想する。不況による消費の冷え込みで業界全体が不振にあえぐ中にあっても、王将の勢いは一向に衰えを見せない。
単なる店舗拡大路線と一線画す
高収益を生み出す最大の要因は、店舗政策にある。事実、王将は毎年着実に店舗数を増やし、成長を続けてきた。現在の店舗数は直営店とフランチャイズチェーン(FC)店合わせて536店舗。さらに既存店の売り上げは07年8月以降から26カ月連続で、前年同月を上回っている。この好調を支えているのは、単なる店舗拡大路線ではない。より高い顧客サービスを実現するための料理の出来る経営者の育成、そして地域密着型の店舗作りに対する徹底的なこだわりである。
大東隆行社長は「業績が伸びているのは、人材が育った結果や」と軽妙な関西弁でこう話す。その人材育成は店舗政策と密接に絡み合う。というのも各店舗の店長には、大きな裁量権を持たせているからだ。メニュー構成や販促キャンペーンの展開の仕方など各店舗の浮沈は店長の双肩にかかっていると言っても過言ではない。だからこそ地域の特性に配慮できる人材の育成が重要となる。
店長産業のなせるワザ
大東は自社のビジネススタイルを「うちは店長産業」と言い切る。店舗の立地が違えば好みも違う。「地域によって客層は異なる。客にサービスが良いと感じさせるには、いかにその土地のカラーに合わせるかが重要」と繰り返し強調する。その結果として、店舗ごとにサービスやメニュー構成が変わる状況が生まれた。
例えば通天閣店(大阪市浪速区)が提供する「ホルモンうどん」。味噌で炒めたホルモンをうどんに載せた異色メニューで、ほかにも中華風蒸しパン「割包(カーポ)」をラインアップしている店舗もある。この中に好きなおかずをはさんで、中華バーガーとして食べられる。さらには女性客を意識して弁当形式で料理を出す店もある。
フランチャイズ店でありながら、完全なフランチャイズでもない。だが大東は意に介さない。「ウチは守りには向いていない。とにかく攻める」−。この言葉を具現化する人材育成と店舗戦略の中に、王将の経営の基礎が凝縮されている。
大東隆行プロフィール
1941年大阪生まれ。関西経理専門学校中退後、薪炭と氷の小売り販売を行ってきた。当時は「夏と冬に働いて、それ以外はぶらぶらと暮らしていた。おかげでマージャンの腕が上がった」という。20代の後半に差しかかった時、実姉の夫にあたる故・加藤朝雄氏の誘いもあって「餃子の王将」に転身、新たな活躍の場を得た。社長就任時から人とのかかわりを重視しつつ、会社全体の質向上を進める姿勢を信条に掲げる。社員をはじめ客の声にも耳を傾け、利用客のクレームにも直ちに対応する体制を作り上げるなどサービス向上に取り組んでいる。店舗拡大にも努め、現在国内では直営店348店、FC店188店の合計536店。1967年に京都市中京区でオープンした第1号店は諸般の事情から08年に一度閉鎖を余儀なくされた。しかし09年9月には創業者である加藤氏の思いを引き継ぐ象徴的な存在として再生を果たしている。
〒607-8307
京都府京都市山科区西野山射庭ノ上町294番地の1
TEL:075-592-1411
創業:1967年(昭和42年)
設立:1974年(昭和49年)
資本金:81億66百万円(平成20年3月31日現在)
売上高:549億86百万円(連結・21年3月期)
従業者数:1540人(連結・21年3月末現在)
掲載日:2009年11月 9日