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闘いつづける経営者たち


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02.年間30種類のチロルチョコを生み出す秘訣

子どもたちに気軽にチョコを食べさせたい

チロルチョコの社名の由来となったオーストリア・チロル地方。2002年には社員旅行で同地を訪れる

チロルチョコの社名の由来となったオーストリア・チロル地方。2002年には社員旅行で同地を訪れる

どこのコンビニでも見かけるおなじみのチロルチョコは、これまでに200種類もの"味"を売り出してきた。「チロル」のブランドネームは、2代目社長の松尾喜宣が命名した。チロルはオーストリア南部の3000m級の峻嶺そそりたつ山岳地域。美しい風光に恵まれ、岸田國士の『チロルの秋』や横光利一の『旅愁』によって日本でも昔からよく知られていたが、2代目社長はその地を訪れたときの感動と夢をチョコレートに託した。

1962年に発売した1個10円という低価格のチロルチョコは、その前に売り出して子どもたちの人気をさらったバラ売りキャラメルを発想の源としている。当時、チョコレートはまだ高級品で、子どもたちの小遣いでは手が届きにくい菓子だった。が、価格を10円に抑えることによって子どもたちに夢を広げようと考えた。

しかし、原料のカカオだけでチョコレートをつくるとなると、どうやっても10円ではコスト割れになってしまう。さんざん頭をひねった結果、すでに持っていたキャラメル製造の設備を利用し、ヌガー(ソフトキャンデーの一種)を原料として補うことで、コスト問題をクリアし、一躍ヒット商品につなげた。

しかも、チロルチョコのヒット要因は低価格だけではない。おびただしい種類のフレーバーにこそ要諦がある。

越前クラゲまでチョコにしようと…

抹茶、バニラ、きなこもち味、苺ミルク、いちご大福、みつリンゴ、かき氷、コーン、 マロン&クッキー、コーヒーフロート、杏仁豆腐、ミント……。ずらり並んだパッケージを眺めているだけでも楽しい気分になる。とりわけ市場を唸らせたのは、2003年秋に発売した「きなこもち味」。「こんなチョコ、ありかよ」と、多くの男性客が飛びつき、それまでのチョコレートのイメージを一新させた。

いまでは毎年20−30種の新製品が開発・発売されている。新製品の半分は、コンビニから「こういう味のもの」「こういう切り口のもの」と企画が持ちこまれたもの。残り半分がチロルチョコの独自企画だが、日夜アイデアをひねり出す開発部隊はわずか3人だ。

この人数で30種類近いフレーバーを生み出すのだから、各人とも人並み外れた創造力の持ち主だろう……と思いきや、「みんなごく普通の人間ですよ」と3代目社長の松尾利彦はこともなげに言う。アイデアをひねり出す才に長けた人材を選抜しているわけではなかった。

松尾も自らアイデアを出す。フットワークは軽く、ひらめいたら即刻アクションを起こす。
「つい最近も越前クラゲを原料にできないかと思って福井まで飛びました。でも、残念ながら無理でした。網にかかってもしょせん厄介もののため、漁師さんはその場でつぶしてすぐ捨ててしまう。わざわざ水揚げしたりしません。そのためうちで原料として使うには量があわないのであきらめざるを得ませんでした」

それにしても越前クラゲでチョコをつくろうとしたとは。その発想、おそるべし。

それとは逆に、最近発売した「白いちご」は成功例だ。外見はほんのりピンクがかった白色、中の果肉も白いが甘みのある。そんな白いいちごが2年ほど前に開発された。この白いいちごの新聞記事を目にとめ、すぐ開発地の山梨県に飛んで独占供給の契約にこぎつけた。

昭和初期の松尾製菓の店舗。03年秋に発売した「きなこもち味」は驚異的ヒットとなった。発売直後の5カ月間で1,700万個(3億4,000万円)を売り上げたという

03年秋に発売した「きなこもち味」は驚異的ヒットとなった。発売直後の5カ月間で1,700万個(3億4,000万円)を売り上げたという

話題の白いいちごを原料に新発売した「幻の白いちご」

話題の白いいちごを原料に新発売した「幻の白いちご」
 

新商品になるか否かは松尾の感性次第

こうしたアイデアが無数に飛び出し、そこから厳選され商品として生き残るのが年間20−30種類のフレーバーだ。その味のクリエーターでもある松尾自身がヒントの源泉、アイデアの情報源として最も大事にしているのが新聞だという。

開発部隊で生み出された"新しい味"のうち、チロルチョコとして世に送り出すか否かはすべて松尾のスクリーニングによる。毎日5−6種類を試食する松尾。そのスクリーニングは社長自身の感性にかかっている。

「こういうものを出せば売れるかな、なんてことはそもそも考えません。だから売れなくても全然ガッカリしない。逆に売れたとき、嬉しくないというと嘘になるけれど、それを最優先にしているわけでもありません」

市場に迎合することなく、自らの感性を第一に味の見極めをする。そのためにも、おいしくて、楽しい製品を開発するために松尾のアンテナをはりめぐらす日々が続く。

松尾利彦プロフィール

1952年生まれ。75年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。同年アメリカ留学。77年松尾製菓株式会社入社。80年にヤマサキナビスコ株式会社に出向。85年松尾製菓の常務取締役就任。従来の駄菓子店を中心とした販売ルートからコンビニエンス店を中心とした一般販売ルートへの転換を図り「大人も楽しめるチロルチョコ」を目指す。91年代表取締役に就任。2004年、企画・販売部門を独立させチロルチョコ株式会社を設立。松尾製菓株式会社と兼任で代表取締役に就任。好きな言葉は "夢は叶う"。

企業データ

チロルチョコ株式会社

〒101-0054
東京都千代田区神田錦町3−23
TEL:03-3292-7170
事業概要:チョコレート販売(製造は松尾製菓株式会社)
設立:2004年4月
資本金:5000万円
売上高:109億円(2009年3月)
従業者数:50人


掲載日:2010年1月14日


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