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闘いつづける経営者たち


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03.次世代の技術を育てる

ユニークな拠点

シスメックスの企業理念と社長の家次の思いが形となった「テクノパーク」

シスメックスの企業理念と社長の家次の思いが形となった「テクノパーク」

神戸市西区に、国内社員の約3分の1が集まる一大拠点がある。シスメックスが2008年に拡張した研究開発拠点、テクノパークだ。女性が安心して働けるよう託児所を設け、海外からの研究員や顧客に日本文化に触れてもらうため茶室や日本庭園もしつらえた。このユニークな拠点には、会社の理念と、恵まれた環境が斬新なアイデアを生むという社長の家次恒の思いが凝縮されている。新たな開発のヒントを得られるよう発想の転換を促す工夫を随所に凝らし、屋外にめい想空間も作った。

施設の母体は、「設立30周年を迎えるにあたり研究開発を強化する」という家次の方針で、00年に開設した中央研究所だ。当時、同社には検査機器の開発に携わるエンジニアは多数いたものの、生物や化学などの研究者は少なかった。しかし家次は次の時代を見据え、新技術開発の核となる拠点建設を決意。その理由を「技術の評価ができる『目』がほしかった」(家次)と振り返る。開設に先立ち99年に、田辺製薬(現田辺三菱製薬)の重役だった岩崎為雄を所長として招いた。さまざまな分野の研究者も採用し、新技術の育成に力を入れ始めた。

がんなどを研究

折しも生命科学分野はポストゲノムの時代に突入し、分子診断技術が進展するなど大きな変革期を迎えていた。家次は01年から「ライフサイエンスフォーカス」を事業の柱としてがんや糖尿病などを中心とした研究開発に注力する方針を掲げ、売り上げの10%をコンスタントに割り振っている。研究成果は徐々に形となり、すでに乳がんのリンパ節転移の有無を迅速に判断できる遺伝子増幅検出装置などを開発。医療現場での稼働実績も増えている。

また、血液中に遊離した細胞の中から生きたがん細胞を検出できる技術を開発。乳がんでは大阪大学、肺がんでは北里大学との共同研究で実証してきた。10年からはより発症率の高い大腸がんや胃がんなどの臨床応用に向けて、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)との研究が始まっている。

「ライフサイエンス分野の事業化には、もう少し時間がかかりそうだ」と話す家次。しかし技術の目は確実に機能し、次世代に花開くための"仕込み作業"が進んでいる。

かつてのIT化で同社の事業体制に大きな変化をもたらした家次は、「ライフサイエンスの革命はIT革命と似ている」と話す。アナログからデジタルへという時代の大きな変化を捕まえるため、世の中の流れや技術革新の方向を常に見ておくことが次のビジネスに結びつけるカギだという。

検査を切り口としながら新分野を開拓し続けるシスメックス。家次は「ヘルスケアへの関心は世界的に高い」と、需要のさらなる増加に期待する。日本などの先進国では、予防医療を目的とする検査需要を取り込んでいく考え。国や地域ごとの事情に応じたビジネス展開で、グローバルな成長戦略を加速する。

家次 恒 プロフィール

73年(昭48)京大経卒、同年三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。86年東亞医用電子(現シスメックス)入社、取締役。90年常務、96年専務を経て社長。現在、神戸商工会議所の副会頭も務める。熱烈な阪神タイガースファン。

企業データ

シスメックス株式会社 SYSMEX CORPORATION

〒651-0073
兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号
事業概要:臨床検査機器、検査用試薬ならびに関連ソフトウェアなどの開発・製造・販売・輸出入
設立:昭和43年(1968年)2月20日
資本金:88億2,400万円(2010年3月31日現在)
上場取引所:東京証券取引所 市場第1部、大阪証券取引所 市場第1部
従業者数:2,025名(2010年5月31日現在。嘱託・パートタイマーなどを含む)


掲載日:2010年11月 4日


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