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闘いつづける経営者たち


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01.遺伝子技術や細胞培養で飛躍

製薬のパラダイムシフトが追い風

製薬業界が創薬モデルの転換を急ぐ中、協和発酵キリンの動向が注目されている。従来の低分子を使った新薬開発が限界を迎え、遺伝子技術や細胞培養を使ったバイオ医薬品が次の創薬技術を担うとされる。これを得意とする協和発酵キリンには躍進の好機だ。松田譲社長は「今日も明日も明後日も打つ手を打つ。泳ぎ続けないと企業の成長は止まる。我々の能力の価値を最大化できるチャンスがあれば、何でも取り組む」と力を込める。発酵技術を基礎とする協和醱酵工業と、キリンビールを源流とするキリンファーマが統合し協和発酵キリンが誕生して3年余り。研究者出身の松田社長は得意とする抗体医薬を基盤に、外部との連携やバイオ後発薬参入、核酸医薬研究などバイオ医薬品の雄となるべく、矢継ぎ早に手を打ち続ける。

米ファイザー、フランスのサノフィ・アベンティスといった世界中の製薬大手はこれまで、高血圧や高脂血症などの生活習慣病領域を中心に化学合成を使った低分子医薬品で画期的な新薬を開発してきた。だが、開発競争が進み、新薬の開発が極めて困難になり、次の創薬技術を求めて模索している。

その一つがバイオ医薬品だ。バイオ医薬品は複雑な構造を持ったたんぱく質であることが多い。微生物や動物細胞を使って培養して成分を精製・抽出する。世界の医薬品市場を見ると、すでに売り上げ上位の新薬にバイオ医薬品が名を連ねている。今後はその数がもっと増えると見られている。市場規模は、2兆4000億円と言われ、15年には2倍の市場に成長すると予測されている。

そのバイオ医薬品の代表が抗体医薬だ。抗体医薬はヒトの体が病気と闘うために持つ免疫機構を利用する。人体の中に病気の元になる病原体(抗原)が進入すると、その抗原だけをねらい打ちする抗体が作られ、抗原を排除する。その特性を使い、特定の病原、例えばがん細胞だけを狙って攻撃して治療しようというものだ。近年、足りない技術を補うためベンチャー企業の買収や提携による参入が相次いでいる。

抗体医薬で世界的に存在意義を発揮

協和発酵キリンは最新鋭の培養槽を持つ

協和発酵キリンは最新鋭の培養槽を持つ

抗体医薬は医薬品市場の中でも最も競争が激しく、現在もおよそ300の抗体医薬が臨床試験(治験)を進めているとされている。

抗体医薬は創薬(新しい薬を作る)技術が低分子と異なるだけでなく、生産の技術や施設も新しいものが必要となる。抗体を増やすために細胞のバイオリアクター(培養槽)が必要となる。大規模生産だと10トン以上の培養槽が必要で、設備投資額は100億円以上かかる。すでに協和発酵キリンは高崎工場(群馬県高崎市)に最新鋭の2トン、5トン、10トンの培養槽を持つ。生産規模に応じて使い分けることができるほか、他社にはない10トンの大規模培養槽もあることから「設備を使いこなすことなどのノウハウ蓄積を考え、他社より数年先に進んでいる」(松田譲社長)と自信ありげだ。

協和発酵キリン主要財務データ

協和発酵キリン主要財務データ

協和発酵キリンが目指すのは、グローバル・スペシャリティーファーマ。ある疾患領域にターゲットを絞り、その疾患領域でナンバー1になることで、存在意義を出そうというものだ。松田社長は「がん・腎臓・免疫疾患の領域で、抗体医薬の技術を使い、継続的に新薬を生む」ことをミッションに掲げる。それをグローバルで展開することにより、持続的な成長を目指している。

松田社長自身、前身の協和発酵工業に入社以降、がんの創薬シーズ探索など研究畑が長かった。それだけに自社技術への期待は大きい。「我々は研究開発型企業。バイオ技術を使い最先端の医療に挑む。これまでも、技術力で抗体医薬を実現するなど壁を乗り越えてきた。核酸医薬などの新たなチャンレンジも、技術を駆使して実現できると信じている」。

松田 譲 プロフィール

1948年6月25日生まれ、新潟県出身。77年(昭52)東京大学大学院農学系研究科博士課程修了し、同年4月に協和発酵工業(現協和発酵キリン)に入社。研究員として東京研究所(現東京リサーチパーク)に勤務し、以来新薬の開発に没頭する。主任研究員などを経て00年に医薬総合研究所長に就任。本人は天職として研究者人生を全うするはずだったが、研究部門の組織改革の実績が認められ02年に総合企画室長(常務)に抜てきされる。翌03年には協和発酵の社長に就任。08年10月にはキリンファーマとの経営統合に伴い協和発酵キリンの社長に就いた。12年3月22日9年務めた社長を退任、相談役に退く予定。

企業データ

協和発酵キリン株式会社

東京都千代田区大手町1-6-1
03-3282-0007
事業概要:医療用医薬品の製造・販売を行う事業持株会社
設立:1949年(昭和24年)7月1日
資本金:267億4500万円
売上高:4137億3800万円(2010年12月期)


掲載日:2012年1月31日


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