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闘いつづける経営者たち


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01.火災事故を乗り越えて

NAS電池事業を再開

NAS電池の火災事故と業績修正を発表する加藤社長(2011年12月19日)

NAS電池の火災事故と業績修正を発表する加藤社長(2011年12月19日)

「事故原因を究明し、安全対策がまとまった。NAS電池事業を再開する」。日本ガイシの加藤太郎社長は6月、最大の懸案事項だった電力貯蔵用ナトリウム硫黄(NAS)電池の事業再開を宣言した。NAS電池とは世界で唯一、同社だけが量産できる1000キロワット級の大規模電力貯蔵システムだ。しかし2011年、納入先で火災事故を起こし、生産と新規販売を停止していた。「事故があった以上、今後も100%故障しないとは言えない。技術者として、そう答えるしかない」―事故直後、悔しさをにじませてこう答えざるを得なかった技術畑出身の加藤社長が、社運をかけて反転攻勢にでる。

食器で培ったセラミックス技術

日本ガイシ本社工場(名古屋市瑞穂区)のNAS電池

日本ガイシ本社工場(名古屋市瑞穂区)のNAS電池

発電所の電気を安全に送電する際、高圧電線の絶縁体として欠かせない「碍子(がいし)」。世界最大手である日本ガイシは、もともと食器など陶磁器の製造を主力としていたノリタケカンパニーリミテドから分社化して設立された。碍子は磁器製が多い。日本ガイシは食器で培ったセラミックス技術を、碍子のほか自動車部品や電池などに応用し、競争力の高い製品をつくり続けている。

NAS電池ではプラスとマイナスの電極を隔てる電解質に、ファインセラミックスを採用している。電力用の碍子から始まり、これまで進化させてきた同社のセラミックス技術のたまものだ。エネルギー密度は重量1トンあたり100キロワット時。鉛やリチウムイオン蓄電池などに比べて密度が高く、大規模蓄電システムとしては随一の性能を持つ。既に設置した30万5000キロワット分のうち7割は工場や発電所など産業向けとみられる。

安全対策を徹底

グラフ:日本ガイシの業績推移

グラフ:日本ガイシの業績推移

同社はNAS電池の事故を重く受け止めた。生産を止め、既存の納入先にも原因究明までの間は使用停止を求めた。この影響で12年3月期に611億円の特別損失を計上し、1919年の会社設立以来初めてとなる当期赤字(356億円)となった。

原因の特定を受け、同社は発火防止から消火の迅速化まで4段階からなる安全対策を作成した。故障検知機能の強化、延焼を防ぐヒューズや耐火板の設置、消防当局との連携強化などを盛り込んだ。今後はこれら安全対策を施した製品を供給する。
 さらに、教育機関や病院、商業施設などに設置した製品の一部は、安全を最優先して撤去を求める。工場とは異なり不特定多数や一般の人が出入りするため、万が一の事態を考慮した。現実には稼働継続を望む顧客が多く、実際に撤去するかどうかは顧客と協議して一件ずつ判断することになる。
 幸い、事故後もNAS電池に期待する声がやむことはなかった。多くの顧客は「発注をキャンセルせず、安全対策を待ってくれている」(同社幹部)という。

「安全性を高め、信頼回復に努めることに尽きる」。加藤社長はことある度に強調する。そしてNAS電池事業の再構築に意欲を示す。既に多くの納入実績があり、また現時点でも他の蓄電池と比べて性能面で競争力は高い。安全対策の徹底で市場の信頼を取り戻せるかが、新規受注獲得のカギとなる。

加藤太郎 プロフィール(かとう・たろう)

2011年4月に社長就任。同社ではほぼ半世紀ぶりの理系出身社長となり注目された。72年に東京農工大の工学部を卒業後、同社に入社。環境関連の技術職を歴任し、都市環境事業の立ち上げにもリーダーシップを発揮した。「しつこく『技術の先進性』を突き詰めよう」と常に社内に発破をかけ、技術志向の組織づくりにまい進する。趣味のゴルフはハンディ17。埼玉県出身、48年9月6日生まれ。

企業データ

日本ガイシ株式会社

名古屋市瑞穂区須田町2の56
052-872-7181
事業概要:碍子など電力関連機器、産業用セラミックス製品、特殊金属製品の製造販売及びプラントエンジニアリング事業
設立:1919年5月5日
資本金:698億円余(2012年3月)
売上高:2478億円(連結、2012年3月期)


掲載日:2012年8月 9日


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