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闘いつづける経営者たち


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01.仏ヴァレオの事業買収

「日本の企業数は海外に比べて、べらぼうに多い。国内の経営者はグローバル時代に生き残る方法を考えなくてはいけない」。自動車用部品のキーセットを手がけるユーシンの田邊耕二会長兼社長は国内産業にこう警鐘をならす。国内自動車大手が海外での生産・販売を拡大する中、サプライヤーにも変化の波が押し寄せる。マツダ系部品メーカーとして出発したユーシンだがすでにこの枠を取り払い、独自理論に基づく超合理化経営で変化の波を乗りこなそうとしている。

圧倒的なシェアナンバー1に

グラフ:ユーシンの直近5年の収益推移

グラフ:ユーシンの直近5年の収益推移

昨今の日系自動車部品メーカーを取り巻く環境変化はめまぐるしい。2011年には東日本大震災とタイの洪水被害を経験し、12年は中国での日本車不買運動が多くの企業の業績に陰を落とした。一方、完成車メーカーの海外での生産拡大はメガサプライヤーとの本格的な競争を招く。海外でも日本でも同じ品質の部品を安く供給するには、幅広い生産ネットワークが必要とされる。またドイツが先行するモジュール化の手法も完成車開発に取り入れられる。完成車と系列部品メーカーの一心同体の関係も徐々に薄れていくだろう。

グローバル市場での生き残りに向けた同社の解の一つが、M&Aによる圧倒的なシェアナンバー1の確立だ。直近では仏自動車部品大手ヴァレオからキーセットなどを中心としたアクセスメカニズム事業を買収した。「買収後のキーセットのシェアは約30%となる」(田邊会長兼社長)という。同事業の2011年12月期売上高は6億1900万ユーロ。ユーシンの12年11月期の連結売上高が611億円のため自社と同規模だ。12年11月の発表資料によると、取得価額は約171億円(1ユーロ=106・17円換算)。折しも円高と欧州経済の不安で想定よりも取得価額は低くなった格好で、「ちょうどいいタイミングだった」(同)。

世界の自動車大手と直接取引

ユーシンのキーセット

ユーシンのキーセット

今回の買収により、フランスやドイツなどの欧州に加え、ロシアやブラジル、メキシコ、インドなどの新興国の事業所を手中に収める。効率的に海外での生産・供給能力を補完することになるが、さらに「ほとんどの世界自動車大手と取引関係を結ぶことの利点が大きい」(同)と説明する。ユーシンは日系自動車大手への販売実績に加え、独フォルクスワーゲンや同BMWへ販売を伸ばしている。一方のヴァレオは仏系自動車メーカーや米GMや同フォードなどと取引がある。「海外の自動車メーカーは安くて品質保証されていれば、受注ができる。(日系のような)コネクションが必要ない分、合理的でいい」(同)。海外メーカーとの取引は合理性を追求する自身のスタンスとも合うようだ。

今後は、自社の拠点とヴァレオの拠点が重複するインドでの生産体制の最適化を進めながら、次の一手の準備を進める。「ダントツのトップになるまで手を緩めない」と話す田邊会長兼社長に目が離せない。

田邊耕二 プロフィール(たなべ・こうじ)

1934年(昭9)生まれ。東京都出身。56年に青山学院大学経済学部を卒業し日野自動車に入社。61年に退社し同年4月にユーシン入社、65年2月同社取締役に就任。以後、76年2月に同社代表取締役専務、78年2月より代表取締役社長を務める。06年7月に最高顧問に就任も、08年2月に代表取締役社長に復帰。11年8月より代表取締役会長兼社長。独自の理論に基づいた合理的な経営を追求し、実践してきた。「すべてを自分で行うのではなく、経営は人をどれだけうまく使うかが重要だ」と話す。最近では自らの経営の視点をまとめた書籍「超合理化経営」(幻冬舎)を執筆。

企業データ

株式会社ユーシン

東京都港区芝大門1-1-30
03-5401-4670
事業概要:自動車・産業機械用及び住宅関連の各種システム機器と制御装置、電装装置、部品などの製造販売
資本金:120億1643万円
連結売上高:611億円(2012年11月期)


掲載日:2013年3月28日


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