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闘いつづける経営者たち


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01.いま会社に不都合なことであっても、顧客のために損を覚悟で取り組む姿勢も必要だと思う

初年度大赤字の大誤算

客が来ない。店頭でどんなに旗を振ろうと客が来ない。他店には絶対負けない品揃えがある。土日でも客を待たせない豊富なピットも用意した。敷地面積2,000坪という業界最大の自動車用品店には、連日多くの客が詰め掛けるはずだった。

オートバックスセブンで数多くの繁盛店を作り出した成功者としての自信は、客がいない現実の前に木っ端みじんに打ち砕かれた。

2,000坪という広大な敷地にプレハブの店構えでオープンした宮野木店本館。しかし大勢の顧客が詰めかけるはずだという廣岡の目論見はもろくも崩れ去った

2,000坪という広大な敷地にプレハブの店構えでオープンした宮野木店本館。しかし大勢の顧客が詰めかけるはずだという廣岡の目論見はもろくも崩れ去った

千葉市稲毛区の県道沿い。オートバックスを退社した廣岡等が選んだ独立第1号店の立地場所である。

すでに国内数百店舗のフランチャイズ(FC)展開をしていたオートバックスが、平均200〜300坪という時代、廣岡は業界の常識を遥かに超える大型店でオートウェーブの狼煙(のろし)を上げた。

「今にして思えば無謀。来店客数の計算なんかしていない。とにかく進化した理想のカー用品店を作るという思いが先だった」

確かに夕方でも20〜30秒に1台しか車が通らないさびれた場所である。どんなに店構えが大きくても名の知れないカー用品店の集客力は知れていた。

閑古鳥が鳴くままにあっという間に1年が経過、初年度7,600万円の赤字を計上した。50歳を過ぎて、念願の独立経営を果たした廣岡は、早くも失意のどん底を味わった。

業界の非常識は顧客の常識

廣岡の理想は、地域の顧客に満足してもらえる店づくりだ。オートバックスをはじめとするカー用品量販店といえば、どこの店に行っても同じサイズの店構えと品揃え。FC店舗だから当然なのだが、廣岡の考えは違った。

まずは目先の利益ではなく、顧客が喜んでくれることを第一にする―。1年目の失敗は、ビジネスの原点に立ち返るきっかけとなりました

まずは目先の利益ではなく、顧客が喜んでくれることを第一にする―。1年目の失敗は、ビジネスの原点に立ち返るきっかけとなりました

「地域や立地によって顧客のニーズは異なるはず。しかも土日は駐車場がいっぱいで、オイル交換に1時間も待たせるというのはおかしい」。2,000坪という広大な敷地は業界の非常識であっても、廣岡にとってはどうしても必要な常識下のスペースでもあったのだ。

しかし大規模というだけでは客は来ない。それを痛感し、みずからの甘さを悟った廣岡は、顧客にプラスになることは何でもやろうと決意。翌年度から、さらなる常識破りに打って出る。

定休日をなくして業界初の年中無休を掲げる一方、仕事帰りのサラリーマンを狙って夜9時、10時までといった夜間営業を敢行。さらには他店で購入した持ち込み商品の取り付けサービスや、当時はどの店も断っていた外国車の整備にも応じた。

「いらっしゃいませ」に変えて「こんにちは」「こんばんは」という来客あいさつを実行するとともに、雨の日の傘差しサービスや帰り客が道に出るまでの見送りも日常の光景になっていった。

国内最大の繁盛店に変貌

年中無休に夜間営業、持ち込み品の取り付けなど、地域に根付いた顧客本位のサービスに徹した廣岡。1号店は3年目に自動車用品の単一店舗で国内最大の売上高を誇る店舗に変貌する

年中無休に夜間営業、持ち込み品の取り付けなど、地域に根付いた顧客本位のサービスに徹した廣岡。1号店は3年目に自動車用品の単一店舗で国内最大の売上高を誇る店舗に変貌する

廣岡は言う。「顧客がありがたいと感じることの多くは、店にとっては不都合そのもの。だが店の都合でここまでと決めてしまったら商売はそこまで。要は目先の利益を求めることなく、損から入る姿勢が必要だ」。

徹底して顧客満足と向き合う店の姿勢は、やがて地元の評判となり着実に地域の客足を伸ばすことになる。

2年目で大幅な売上の増加に反転、客が客を呼ぶ好調の連鎖は、大規模ピットの稼働率向上とともにオートウェーブ1号店の業績を急速に押し上げた。そして3年目。累損を解消した1号店は、自動車用品の単一店舗で国内最大の売上高を誇る繁盛店に変貌を遂げていた。

「何でこんな場所で…」。レストラン、衣料品、家電など、さまざまな業態の小売関係者が、1号店の繁盛ぶりを聞きつけ視察に訪れては、皆一様に首をかしげた。その最悪ともいえる立地条件で、なぜこれだけの客を呼べるのか。

徹底して顧客満足と向き合う廣岡の非効率的な正攻法は、緻密な事前調査と計数を前提にする商業立地の常識をも打ち破ったのである。


廣岡 等 プロフィール

1939年三重県生まれ。1958年、大豊産業(株)(現・オートバックスセブン)入社。同社常務を経て1990年に独立、(株)オートウェーブを設立し、自ら理想とする2,000坪のカー用品・メンテナンス事業の第1号店を千葉市にオープンする。93年には1店舗での業界月間売上高日本一を記録し、2000年に店頭市場(現ジャスダック)に株式公開を果たす。現在、千葉県を中心に関東全圏で15店舗のオートウェーブ、専門店のオイルボーイ9店舗の指揮を取る。「商売よりも親切行為が先」という徹底した顧客本位のビジネス哲学が持論。

企業データ

株式会社オートウェーブ

〒263-0054
千葉市稲毛区宮野木町1850番地
TEL.043(250)2669(代表)

事業概要:カー用品販売及びカートータルメンテナンスサービス。
設立:1990年9月
資本金:839.4百万円
売上高:単体 18,354百万円、連結 24,893百万円
社員数:連結 796名、単体 638名(2007年3月末現在)


掲載日:2007年12月12日


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