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闘いつづける経営者たち


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04.お金よりも創造することを伝統にするー。IIJはそんな会社でいいんじゃないかと思う

出戻りIIJ

「出戻りIIJ」−。インターネットイニシアティブ(IIJ)には一度はIIJを離れたものの、もう一度復帰した社員がたくさんいる。IIJが経営危機に陥った時にエンジニアの多くは留まったが、営業担当の中には去っていった者もいた。

つねに社員との交流を欠かさない鈴木の周りには、自然と人間が集まってくる。この連鎖がまた鈴木に活力を与える原動力にもなっている

つねに社員との交流を欠かさない鈴木の周りには、自然と人間が集まってくる。この連鎖がまた鈴木に活力を与える原動力にもなっている

IIJの商品は日本のインターネットを先導する先進的なものが多い。売る立場の人間には世の中にないものを顧客に説明する難しさがつきまとう。社内のエンジニアからは「こんないい商品がなんで売れないのか」と営業に突き上げもあった。条件のよい外資系企業などに転職するのも無理のないことだった。

それが数年後に社長の鈴木幸一に「そろそろ戻ってもいいですか」と言ってくるのだ。鈴木は「給料下がるぞ。それでもいいのか」と言いながら快く迎え入れていった。そのころから社内では自分たちの会社を称して「出戻りIIJ」と呼ぶようになったという。

技術開発の世界ではチームでやっている強さと弱さがあります。IIJは技術者一人ひとりが主張し、自己のアイデアやビジネスに思い切って取り組めるような社風、環境づくりを目指しています

技術開発の世界ではチームでやっている強さと弱さがあります。IIJは技術者一人ひとりが主張し、自己のアイデアやビジネスに思い切って取り組めるような社風、環境づくりを目指しています

チーム文化の「強さ」と「弱さ」

鈴木は今でも社員との交流を欠かさない。だいたいは『のみにケーション』になだれ込むが、若い社員との夜を徹しての議論は鈴木に活力を与える原動力ともなっている。そんなかわいい社員だが不満もある。

「優等生が増えて、変な子がいなくなった」というのだ。「これをやりたいんです」という熱い思いを感じさせる職人気質の社員を待ち望んでいる。

鈴木はIIJ創立15周年にあたる12月3日にひそかに温めてきた構想を発表する。インターネットの次世代技術や革新的なネットビジネスを日本から継続的に生み出すことのできる人材を育成することを目指したインキュベーターを作ろうという構想だ。

「このアイデアは絶対におもしろい」と強い思いを持つ技術者や起業希望者を募り、開発に必要な環境を提供したり、事業化を支援することを目指している。

「インターネットはさまざまな思考を融合させることで革新的技術を生み出す。米国はもともと異質な人間が集まっているので新しい技術が生まれやすい環境がある。その点、日本は良くも悪くも均一的な思想を共有してしまう。インキュベーターにはあえて突き抜けた発想を持つ人材を集めてみたい」と夢見る。

次世代のインターネットを担う新技術の開発と事業化を支援するインキュベーション事業「IIJイノベーションインスティテュート」の概要

次世代のインターネットを担う新技術の開発と事業化を支援するインキュベーション事業「IIJイノベーションインスティテュート」の概要

IIJの創業時にビジネスとしての先行きも不明なままにインターネットの世界にのめりこんだ、あの時の思いをもう一度思い出したいのだ。

もう1つの顔

鈴木には日本におけるインターネット世界のご意見番という顔の他にもさまざまな顔がある。その一つがクラシック音楽の庇護者としての顔だ。

指揮者の小澤征爾氏との親交のなかで始まった「東京のオペラの森」は東京・上野に世界最高の演奏家を集め、決して高額ではない入場料でオペラやオーケストラの演奏を誰もが楽しめる場。春の東京の催しとして定着しつつある。

鈴木は実行委員会委員長を務め、すべての公演の運営を取り仕切る。実行委員には出井伸之ソニー最高顧問、氏家齊一郎日本テレビ放送網代表取締役会議長などそうそうたる経済人が名を連ねている。

鈴木が支援する「東京オペラの森」 。写真は「東京オペラの森2007 オペラ公演」 ワーグナー:<タンホイザー> より<br>
撮影:大窪道治  提供:東京のオペラの森実行委員会

鈴木が支援する「東京オペラの森」 。写真は「東京オペラの森2007 オペラ公演」 ワーグナー:<タンホイザー> より
撮影:大窪道治  提供:東京のオペラの森実行委員会

鈴木が各社を訪問してオペラの森への協力を仰ぐと、「ビジネスの話をしにきたかと思ったら、鈴木さんも活動が幅広いですな」と笑いながら快く協力してくれる。

ただ「どうせやるならもっといい演奏家を、もっときれいな舞台装置を」と凝るあまり、毎回赤字のやりくりに苦労することになる。

鈴木は今61歳。これまでの自分の人生を振り返って「いろいろやりたいことはあったけど、やれたのは3割ぐらいだろうか」と言う。「経営はうまくなかったし、社員に苦労もさせた」とほろ苦い思いも抱いている。

しかし「金儲けは結局金しか残らない。IIJは何か創り出すことを伝統にしてきた。そんな会社があってもいいんじゃないか」とも思うのだ。インターネットという未成熟だが大きな可能性を秘める怪物への挑戦はこれからも鈴木を奮い立たせる。


鈴木 幸一 プロフィール

1946年神奈川県生まれ。1972年、(社)日本能率協会入社。同協会においてインダストリアル・エンジニアリング(IE)、新規事業開発などを担当。1982年に退社後、(株)日本アプライドリサーチ研究所取締役に就任。ベンチャー企業の育成指導、産業、経済の調査・研究、地域開発のコンサルテーション等を行う。1992年に(株)インターネットイニシアティブ企画(現・IIJ)を創立、取締役に就任。1994年(株)インターネットイニシアティブ(IIJ)代表取締役社長に就任。以来、日本における商用インターネットサービスの先駆者として、新しい通信インフラ市場を切り拓く。

企業データ

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)

〒101-0051
東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング
TEL.03-5205-6500(代表)

事業概要:インターネット接続サービス及びネットワーク関連サービスの提供、ネットワーク・システムの構築・運用保守、通信機器の開発および販売。
設立:1992年12月3日
資本金:14,295百万円
売上高:57,055百万円
社員数:連結 1,155名、単体 560名 (2007年3月末現在)


掲載日:2007年12月 4日


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