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闘いつづける経営者たち


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03.電力事業者と手を組んでいたら、日本のインフラの仕組みは大きく変わっていたと思う

打倒NTT戦略

2001年1月22日、鈴木幸一は首相官邸で開催されたIT戦略本部(正式名称は高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)の初会合に出席していた。

NTTグループが保有する光ファイバーの総延長は約26万km。これに対する電力会社は約20万km。技術力を誇るIIJとインフラのパワードコムとの統合が実現すればNTTグループに匹敵する通信基盤が誕生するはずだった

NTTグループが保有する光ファイバーの総延長は約26万km。これに対する電力会社は約20万km。技術力を誇るIIJとインフラのパワードコムとの統合が実現すればNTTグループに匹敵する通信基盤が誕生するはずだった

「日本を世界最先端のIT国家とし国際競争力を高める」高邁な目的のもとに発足したIT戦略本部は、森喜朗内閣総理大臣を本部長、閣僚を本部員、そして日本を代表するIT、通信、エレクトロニクス企業のトップらが有識者として集められた。

鈴木が社長を務めるIIJは他の有識者の会社とは2桁ほども事業規模が小さなベンチャーに毛の生えた程度の存在だった。しかし「日本におけるインターネットのオピニオンリーダーはこの人」と期待されての選出だった。

相乗効果、スケールメリットが出せればNTTグループと十分対抗できるものだっただけに、パワードコムとはやっぱり一緒にやりたかった

相乗効果、スケールメリットが出せればNTTグループと十分対抗できるものだっただけに、パワードコムとはやっぱり一緒にやりたかった

 

 その頃の鈴木は多忙を極めていた。水面下で進めていた電力事業者との提携協議が佳境を迎えていたのだ。鈴木の野望はインターネット市場で圧倒的な存在となりNTTを凌駕すること。そのためにはブロードバンド(高速大容量)通信のインフラとなる光ファイバー回線を全国に張り巡らせなければならない。

IIJの力だけでは無理なのは明らか。鈴木が目を付けたのは、地域の超優良企業として君臨する全国の電力事業者だった。

パワードコムとの第一歩

電力事業者も電力供給のために構築した光ファイバー網を活用して、通信事業に参入しようと考えていた。鈴木が各地の電力事業者に「インターネット技術を利用した法人向けデータ通信サービスを共同でやりましょう」と最初に提案を持ちかけたのは1997年ごろにさかのぼる。

各社とも鈴木の話に大いに関心を示した。しかしそこは何事にも慎重な電力事業者のこと。2002年7月に「全国の電力系通信事業者が共同出資するパワードコムとIIJが統合を視野に入れた協議を開始する」という発表をするまでには実に5年の歳月がたっていた。

ようやくこぎ着けたと思うまもなく予想外のことが起きる。同年8月に東京電力の原子力発電所でデータ改ざんが発覚、東電はトップが引責辞任するなど大混乱となり、IIJとの協議どころではなくなったのだ。

東電抜きで他の電力系事業者と組むという選択肢もあったが、最終的に統合交渉はご破算となった。結局その後、パワードコムはKDDIに統合され、東電の光アクセス回線もKDDIが獲得。打倒NTTという鈴木の野望が実現される可能性は遠のいた。経営に「たられば」は禁句だが、「もっと早く電力との合意ができていたら今頃は…」と思いたくもなるのだ。

宿敵から盟友へ

NTTの支援から約2年。もともと技術力にずば抜けていたIIJの復活にそう時間はかからなかった。2005年には東証マザーズ、そして2006年12月には東証一部への上場を果たす

NTTの支援から約2年。もともと技術力にずば抜けていたIIJの復活にそう時間はかからなかった。2005年には東証マザーズ、そして2006年12月には東証一部への上場を果たす

IIJにはさらなる災厄も降りかかった。トヨタ自動車、ソニーと始めたクロスウェイブコミュニケーションズ(CWC)の破綻だ。CWC問題はIIJの経営の屋台骨を揺るがす事態を引き起こす。

実はCWC破綻に至るまでには、外資系通信事業者や日本の有名IT企業などさまざまな支援の申し出があった。しかし鈴木が最終的に支援の手をとったのは、宿敵NTTからの申し出だった。

NTTが鈴木に出した金銭面での支援内容は、他社と比べて決して勝っていたわけではない。しかしNTTの首脳が言った「IIJの人材を他社に流出させないで欲しい。もったいないじゃないですか」の一言が鈴木を決断させた。

「結局IIJと同じように通信の未来を真剣に考えているのはNTTしかいないから」− 鈴木は過去のいきさつに踏ん切りをつけ、さばさばとした思いで再起への道を模索しだした。


鈴木 幸一 プロフィール

1946年神奈川県生まれ。1972年、(社)日本能率協会入社。同協会においてインダストリアル・エンジニアリング(IE)、新規事業開発などを担当。1982年に退社後、(株)日本アプライドリサーチ研究所取締役に就任。ベンチャー企業の育成指導、産業、経済の調査・研究、地域開発のコンサルテーション等を行う。1992年に(株)インターネットイニシアティブ企画(現・IIJ)を創立、取締役に就任。1994年(株)インターネットイニシアティブ(IIJ)代表取締役社長に就任。以来、日本における商用インターネットサービスの先駆者として、新しい通信インフラ市場を切り拓く。

企業データ

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)

〒101-0051
東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング
TEL.03-5205-6500(代表)

事業概要:インターネット接続サービス及びネットワーク関連サービスの提供、ネットワーク・システムの構築・運用保守、通信機器の開発および販売。
設立:1992年12月3日
資本金:14,295百万円
売上高:57,055百万円
社員数:連結 1,155名、単体 560名 (2007年3月末現在)


掲載日:2007年11月30日


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