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創業者列伝II


シリーズ12:シコー技研【白木 学】
世界最小の超小型モーターのトップメーカー

第3回「モノづくりへのこだわり」

白木 学代表取締役社長

白木 学社長

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開発競争は技術者の宿命

白木が起業したのは27歳の若さの時である。最初から事業家を志したわけではなく、目指すはあくまで発明家の道だった。大学を卒業した白木は企業に就職することなく、恩師でありカメラのストロボやエンドレステープなどの発明で知られる東京理科大学の伴五紀教授がモーターの開発に挑戦する話を耳にし、伴教授の私設研究所の研究員になる。

ここで様々な小型モーターに関する研究に没頭するうち、電気式の巻き線機の試作を依頼される。「この仕事は会社組織にしなければ・・・。一研究員では対応できない」と考えた白木は、これを機に起業を決断したのである。

白木は発明家を志望してきた研究開発型経営者だけあって、研究開発やモノづくりに対する考え方にブレがない。例えばどんな技術者でも技術的な壁に突き当たるのはごく自然なこと。しかし、白木はこういう技術的な壁についても、当たり前のように「壁を乗り越えていくのが開発の仕事」と淡々と答える。

一方で、技術にまつわる永遠の課題もある。グローバル化する市場のなかで激しさを増す技術開発競争だ。白木にとっても小型モーターの世界市場でトップを走り続けるのは容易ではない。つねに追われる立場にある白木は「技術というものはそういうもの。それが開発に携わるものの宿命です。逆に、そこに技術者の楽しみもある。だから技術はつねに最先端でないと意味がない」と、技術者の生き甲斐を語る。

必要な部品メーカーのプライド

携帯電話用小型カメラのオートフォーカスレンズ駆動用に開発したボイスコイル方式リニアモータ。画期的なフラットスプリングによるフォローティング構造を採用する

携帯電話用小型カメラのオートフォーカスレンズ駆動用に開発したボイスコイル方式リニアモータ。画期的なフラットスプリングによるフォローティング構造を採用する

「下請からの脱却」は中小企業にとっての悲願であり、かつ願望である。だが、白木の部品メーカーとしての考え方は趣を異にする。「大切なことは、部品は自分の会社の大切な商品だという認識」と白木は、部品メーカーとしてのプライドを強調する。事実、シコー技研の製品には仮に顕微鏡でなければ見えないような小さな部品であっても、一つひとつに社名が刻まれている。

ただ、同社の製品は部品には違いないが、いわゆる機能部品といわれるもので、高い付加価値を誇る。従って開発方法もユーザーの要請を受けて開発するのではなく、提案営業が基本。「私はお客さんから頼まれたものを作ったことは一度もありません。『こういうケータイを作ったらどうですか』と、ユーザーに提案した製品ばかりです」というのが白木の技術者魂であり、ビジネスの考え方なのである。

最近、社会的な問題となっている欠陥商品についても、白木には一過言ある。「メーカーの間で『お客さんの意見を良く聞いて』といわれますが、私の場合はまず自分の意見を聞くことが大切だと思っています。自分が欲しいものか、自分が使えるかどうか、使いたいかどうかを確認するわけです。顧客情報というのはあくまで中間情報であって、途中の顧客情報だけでモノを作ると欠陥商品が生まれやすい。大事なのは最後のお客さんである自分自身です」と白木は言い切る。

白木のモノづくりへのこだわりは、超小型モーターを作る専用機を開発し製作していることだ。このことについて白木は「他で作っていないから自分で作るしかない」とあっさり答えるが、このことは相当に高いレベルの技術力があってのモノづくりでもあることを物語っている。

シコー技研の生産部門はすべて中国の上海に拠点を構える。当初、福島県の会津に工場を建設したものの、人手確保が困難なことから上海に全面移転した。だが、生産拠点を含め、シコー技研はいま、第2の飛躍を目指し経営面で大きな転換の時期を迎えつつある。(敬称略)

■ プロフィール

白木 学(しらき まなぶ)
1947年10月、静岡県生まれ。59歳。
1969年4月、東京理科大学を卒業後、伴 五紀教授の私設研究所に入り、小型モーターの研究に従事。
1976年7月、シコー技研を設立し、代表取締役社長に就任

■ 会社概要

社名 株式会社シコー技研
設立 1976年7月16日
代表者 白木 学
事業内容 超小型モーターの製造・販売
資本金 14億5,000万円(2005年12月末現在)
連結売上高 65億3,900万円(2006年12月期)
従業員数 約100名(2007年7月末現在)
本社 神奈川県大和市下鶴間3854-1

掲載日:2007年9月18日

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