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創業者列伝II


シリーズ12:シコー技研【白木 学】
世界最小の超小型モーターのトップメーカー

第1回「思考と創意工夫が生んだ世界一の小型モーター」

白木 学代表取締役社長

白木 学社長

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開発に隠された数々のドラマ

シコー技研社長の白木学が歩んできた独創的で挑戦的な研究開発人生は、超小型モーターの開発の歴史そのものである。そして、携帯電話の振動モーター、パソコンのCPU(中央演算処理装置)を冷却する小型ファンモーター、携帯電話のカメラ向けオートフォーカスレンズ駆動用モーターやリニアモーターなど、同社が誇る主力の小型モーターには多くの開発と事業化に至るドラマが隠されている。

白木が大手企業に依頼されて最初に手掛けた仕事は、モーターの巻き線機の試作。白木が1976年に起業するキッカケとなった製品だ。従来の機械式から電気式に転換し初の自動化を実現した巻き線機である。

シコー技研本社(神奈川県大和市)

シコー技研本社(神奈川県大和市)

この技術をベースに開発したのが薄型モーター。通常、小型モーターは鉄芯にコードを巻く方式なのに対し、白木の技術は巻くところがない空芯にコードを巻くいわゆる「コアレスコイル」を応用した超小型モーター。鉄芯をなくしたことで薄型が可能になったのだ。コインの形をした薄型モーターがソニーの「ウオークマン」に採用され、大ヒットの要因となった。

これに続く第2弾のヒット製品が小型ファンモーター。小型ファンでCPUを冷却することが可能になったことで、ノートパソコンは爆発的に普及する。裏返せばシコー技研の小型ファンモーターは、今やデスクトップを凌ぐノートパソコン普及の影の主役でもあるのだ。

だが、白木に言わせると、新技術の採用になぜか慎重で保守的なのが日本の産業界だという。欧米で認められてから日本に逆輸入され脚光を浴びた技術や製品も少なくない。ご多分に漏れず白木が開発した小型ファンモーターもその1つである。

国内メーカーから見向きもされなかった1994年のある日、米国の大手半導体メーカー、インテル社の技術担当幹部が突然、シコー技研を訪ねてきた。インテル社の幹部は白木に対し、「世界中でノートパソコンに搭載する小型ファンモーターを探したが、シコー技研しかなかった」と素直にシコー技研の技術力を評価した。その一方でその幹部は案内されたプレハブづくりの本社事務所の小さな応接室で、訝(いぶか)し気に部屋のそこかしこに眼をやる。

「いかにもお粗末」と言いたげな幹部に対し、白木は毅然としてこう言い切った。

「当社が投資するのは研究開発と設備です。本社事務所への投資は最後です」

インテル社が、シコー技研にペンティアム純正小型ファンモーターとして大量発注したのは言うまでもなかった。

スキー場でひらめいたオートフォーカスの技術構造

今や生活必需品となった携帯電話とシコー技研の超小型モーターとの関わりは深い。小型ファンモーターの大量受注と時を同じくして米国の大手携帯電話メーカーで採用された振動モーターもその1つ。白木が「振動モーターを開発したことによってケータイを世に送り出すことができたんです」と自負するこの技術とは、携帯電話のバイブレーション機能向けに世界で初めて開発されたものだ。

他社に先駆けて開発した薄型ファンモーター。94年に、インテル社のペンティアム純正ファンモーターとして採用された。

他社に先駆けて開発した薄型ファンモーター。94年に、インテル社のペンティアム純正ファンモーターとして採用された。

同じく携帯電話のカメラ向けオートフォーカスレンズの駆動用モーター。オートフォーカスモーターと呼ばれるこの小型モーターは、瞬時にレンズ駆動が完了する高い応答性、安定性、高信頼性を実現した同社自慢の自信作。

白木は開発者に求められる〝ヒラメキ〟がどのように生まれるのかについて、「常に研究課題について考えを巡らせていることが大事」と答えている。テニスやゴルフなど仕事以外のことをしているときでも、その研究テーマが頭から離れることはないと言う。

白木が40歳を過ぎてから開発したオートフォーカスもそうだった。白木が学生時代の友人に誘われて北海道の留寿都にスキーへ行ったときのことだ。スキーを終えてホテルでスキー服を脱いだその瞬間に、モーターの構造を思いついたのである。

白木の少年時代の夢は、エジソンやキューリー夫人のような発明家になることだった。エジソンが発明とともに特許の取得に強くこだわっていたように、白木も東京理科大学の学生時代、仲間と一緒に「特許研究部」を設立する。知的財産研究の草分けでもあった。今からちょうど40年前のことである。(敬称略)

■ プロフィール

白木 学(しらき まなぶ)
1947年10月、静岡県生まれ。59歳。
1969年4月、東京理科大学を卒業後、伴 五紀教授の私設研究所に入り、小型モーターの研究に従事。
1976年7月、シコー技研を設立し、代表取締役社長に就任

■ 会社概要

社名 株式会社シコー技研
設立 1976年7月16日
代表者 白木 学
事業内容 超小型モーターの製造・販売
資本金 14億5,000万円(2005年12月末現在)
連結売上高 65億3,900万円(2006年12月期)
従業員数 約100名(2007年7月末現在)
本社 神奈川県大和市下鶴間3854-1

掲載日:2007年9月 3日

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