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創業者列伝II


シリーズ10:ジェーシー・コムサ【大河原愛子】
冷凍ピザから年商200億円の総合食品会社築く

第3回「人材戦略」

大河原 愛子代表取締役会長

大河原 愛子代表取締役会長

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大企業の定年退職者に白羽の矢

冷凍ピザの普及とともに、社業は成長軌道に乗り始めたが、大河原を悩ませた最大の問題が人材確保である。「日本は今以上に終身雇用が徹底していましたから、就職すると一生その会社に骨を埋めるという考え方が当たり前の社会でした。ですから、若い外国人女性が経営する零細企業に就職しようという気持にはなかなかなれなかったと思うのです」と大河原は、当時を振り返る。

ようやく人を確保しても、定着するとは限らない。「ひどい例がありました。東京の日比谷に事務所を構えていたとき、近くの丸の内警察署から電話が入りまして、『お宅のトラック邪魔だから至急どけなさい』と。急いで現場に行くと、積載量が750㎏の小型トラックでしたが、品物を積んだまま路上に放置してある。営業マンがなぜか急に会社を辞めて帰ってしまったのです」

極端な例のように思えるが、大河原は「最初の頃はそういういい加減な人しか入ってこなかった。社員教育以前の話でして、こと人の問題に関しては毎日がドラマの連続でした」と真顔で語る。大河原は思案した。そして当時としては誰も思いつかない人材獲得作戦に打って出る。

「当時の一般の会社は終身雇用といっても現実には満55歳で定年です。55歳と言えばまだまだ働き盛りの年齢です。もったいないと思い大企業を訪ね歩きまして、定年が近づいた意欲のある方を出向の幹部社員として譲ってくださいとお願いしてまわったのです」

冷凍ピザのトッピングライン

冷凍ピザのトッピングライン

しかし大企業側の反応は「前例がない」と、素っ気ないものだった。それでも大河原は簡単に引き下がらない。「グループ会社が人的に飽和状態になったら、定年を迎えた人たちの行き場はありますか?再就職の当てはあるのでしょうか?」と、問い質した。そんなやり取りを繰り返すうち、徐々に大河原の説得に根負けする企業が出始める。いまでは豊富な経験ノウハウをもつ大企業の定年退職者を受け入れる中小企業が少なくないが、大河原は30年以上前から企業OBを活用する人材戦略を実行に移していたことになる。

大河原は「大手のいろいろな企業から幹部として来ていただいたお陰で、若い人たちも大企業出身の幹部を見て、安心して就職を希望してくるようになった」と、その効果を説明する。大河原の独創的な人材戦略が見事に功を奏したのである。

女性幹部の登用に腐心

外食部門の一つ「郷どり 燦鶏」

外食部門の一つ「郷どり 燦鶏」

大河原は6月中旬、政府が閣議決定した2007年版男女共同参画白書で、女性の政界や経済界への社会進出度を示すGEM値が75カ国中42位(2006年)だったことに、いまさらながら心を痛める。

一方で景気回復とともに、企業を取り巻く人材不足感が徐々に深刻さを増している。大河原はこうした雇用環境について、「当社だけではなく、どの企業も人手不足がますます厳しくなってきますので、今後は女性が企業で活躍できる場を提供しなければいけない」という。

このような雇用環境の変化を予想して2年前、社内に「ポジティブアクション」制度を導入した。この制度は積極的に女性を採用すると同時に、トレーニングを施したうえで活動してもらう仕組みだ。5ヵ年計画で従業員に占める女性の比率を、15%から25%へ高める内容だったが、「残念ながらもうちょっと時間がかかるかもしれません」と大河原は予想外の難しさに驚きを隠さない。

女性の管理職についても「現在でも執行役員1名と部長クラスも何人かいます。これについても10%弱から15%へ引き上げようと考えています」と大河原は、女性従業員の活用に意欲をみせる。

外食チェーンという販路開拓に成功し人材を確保しながら、急成長を遂げてきたジェーシー・コムサ。ここへきて大きなブレーキがかかったのも事実。激しい競争にさらされている“ナン”を中心とするエスニック・ブレッド販売の伸び悩みや、大きな設備投資、また減損会計の導入、ピザの原料である輸入ナチュラルチーズの値上がり、ガソリン価格の上昇など物流コストの上昇が収益を直撃したのである。

この対策として取った経営戦略は、収益性の低い部門を縮小し「生産性の向上に努めた」ことだった。その結果、今期の見通しは大幅な最終黒字で復配を行うまでに業績が回復してきたという。大河原のチャレンジはまだ続く。(敬称略)

■ プロフィール

大河原 愛子(おおかわら あいこ)
1941年、米国ハワイ州ホノルル生まれ。
ホノルルの中学校を卒業後、1年間東京のアメリカンスクールで日本語を勉強。
米国に戻りノースウエスタン大学を卒業後、スイスのジュネーブ大学法律学部に留学し国際弁護士資格を取得。1964年に卒業とともに来日。父親が創設したピザの輸入販売会社に入り実質的な経営者として日本のピザ市場のパイオニアとなる。
1991年にニュービジネス協議会の女性起業家大賞、1992年に日刊工業新聞社の婦人経営者賞、1998年に世界女性起業家賞などを受賞。

■ 会社概要

社名 (株)ジェーシー・コムサ
設立 1964年11月19日
代表者 大河原 愛子
事業内容 ピザを主力とする食料品の製造・販売、外食産業、その他
資本金 8億2,381万円(2007年6月28日現在)
売上高 19,806百万円(2007年3月期、連結)
従業員数 合計824名(社員216名・パートナー608名、2007年6月28日現在)
本社 東京都渋谷区恵比寿南1-15-1 JT恵比寿南ビル

掲載日:2007年7月23日

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