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創業者列伝II


シリーズ08:エステック【永島正嗣】
技術者の誇りと情熱をモノづくりに賭ける

第3回「第2の飛躍の転機はポストゲノム」

永島正嗣社長

永島正嗣社長

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世界初のたんぱく質結晶化観察ロボット装置の開発

たんぱく質の自動結晶化観察装置

たんぱく質の自動結晶化観察装置

ポストゲノム−。

欧米諸国とわが国がDNA解析に凌ぎを削ったのは、つい数年前のことだ。この稀に見る国際的な研究開発競争は、米国が70〜80%のDNAの解析に成功して決着したかにみえた。ところが解析が終わってみて、新薬が誕生したといった成果は一向に伝わってこない。

ただ単にDNAを解析しただけでは何の役にも立たない。たんぱく質の立体構造まで解析しないと意味をもたないのだ。ポストゲノムであるたんぱく質の立体構造解析の国際的なリターンマッチが火蓋を切ったのである。日本では5カ年計画で総予算580億円を投じて3,000種類のたんぱく質の立体構造を解明する国家プロジェクト「タンパク3000」が2007年3月末に終了したばかりだ(続く2007年度からは、がんとアルツハイマー病の原因物質と見られるたんぱく質の分離技術の開発がプロジェクトに位置づけられている)。

永島は偶然、このたんぱく質の立体構造解析の競争に参加することになる。大手化学分析機器メーカーから販売子会社に転籍した知人から、「理化学研究所の若い研究者がたんぱく質の結晶を生成する作業で非常に苦労している」との話を聞く。

この耳寄りな情報を得た永島は、技術者の直感で「自分なら自動生成装置を開発できる」と閃くものがあったという。持ち前の未知への好奇心も手伝って、早速、理研に若い研究者を訪ねる。

すると理研の研究所で大勢の一流と言われる研究者がスポイトを使って手作業で試験管に試薬を入れている姿を目の当たりにする。

分注ユニット

分注ユニット

「私が自動生成装置を作りましょう」

大手企業がこの装置の開発に6年から7年の歳月を費やしながら、結局は開発できずに次々に事業から撤退していく中、永島は2001年2月に話を聞いて、2ヵ月後の4月には設計図面を作成して理研に届ける離れ業をやってのけた。

「この通りだ」。図面をもった研究者の手が微かに震えていた姿が、今でも永島の眼に焼きついて離れないという。
こうして世界初の「たんぱく質自動結晶化観察ロボットシステム」は、その年の9月に完成した。この装置は、これまで手作業で数ヵ月要した結晶生成期間が2日から2週間に短縮された、結晶化や結晶観察、顕微鏡撮影などの一連の作業を無人で行えるため、膨大なデータを蓄積できるといった優れた特徴をもつ。

だからといって、理研から注文を受けて開発した装置ではないため、売れる宛てもない。年間売り上げ約4億円規模の中小企業が5,000万円を投資するビジネスとしてはあまりにも無謀に見えた。当然、周囲の反対意見も多かったという。永島はその理由について、こうアッサリと言ってのける。

「うちは元々、ハイリスク・ハイリターンの会社なんです。」

だが、永島には「試料調製機」という安定収入の確保できるコア製品があるからこそ、未知の分野へチャレンジする勇気が生まれたと言えなくもなかった。

新連携で販路開拓

永島によると、「装置が4台売れると5,000万円の投資を回収できる計算が成り立つ」。しかし、装置はまだ3台分しか売れていないという。

エステックは2006年11月29日に中小機構からこの結晶化観察ロボットシステムの製造・販売で、「新連携」の認定を受けている。理研の技術支援を受けるとともに、松江市のシステムデザイン・アクティとユーザーに合わせたシステム開発で連携。また、東京・渋谷区の竹田理化工業と装置の販路開拓と販売で提携し、本格的に製薬メーカーや食品メーカー、あるいは公的研究機関や大学に装置の売り込みを図る段取りだ。

「スピード感をもって作り上げることを得意としている」という永島の次なる目標は、遺伝子、たんぱく質と並んで第3の生体分子として注目されている「糖鎖」の合成装置の開発だ。まさに「小さな巨人」とも言えるエステックの快進撃が続く。(敬称略)


掲載日:2007年5月28日

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