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起業マニュアル

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起業した後
統計的品質管理2

目次

統計的品質管理の手法

 品質管理の指標には、認知率や満足度比率など割合によって表されるもの、また、事故件数など発生頻度の極めて低いものも多く含まれます。母集団におけるこれら指標の性質を調べる場合、その標本(サンプル)を調べることで全体やロットの性質を統計的に推定する、という手法が用いられます。標本の性質に異常が見られた場合は、母集団そのものに異常が発生していると捉え、適切な処置を施します。

 以下では、このサンプリング調査に基づく統計的品質管理の手法を解説します。解説では、最初に理論的な内容を述べた後に、参考例を使って具体的なステップをご紹介します。

p管理図

・p管理図とは

 視聴率や認知率または満足度比率など、割合のブレ(変動)を管理する手法としては、一般的に「p管理図」と呼ばれるものが使われます。p管理図は、『ある割合に関する性質を持つ母集団からサンプルを取得したとき、そのサンプル内における同割合が二項分布に従う』という統計学的な性質を利用した品質管理図です。p管理図の"p"は"proportion(割合)"の頭文字です。

 母集団におけるある割合をp、取得するサンプルの大きさをnとすると、サンプル内の同割合が一般的にとりうる範囲は、次の式のように定義されます。

  • サンプル内における同割合の標準:p
  • サンプル内における同割合の上限(上方管理限界):p+3√{p(1-p)/n}
  • サンプル内における同割合の下限(下方管理限界):p-3√{p(1-p)/n}

 (同割合が一般的にとりうる範囲の上限は「上方管理限界」、下限は「下方管理限界」と呼ばれます。)

 この式で算定された数値を基にp管理図を作成すると【図1】のようになります。そして、管理図作成後は定期的に調査を行ない、割合のブレ(変動)を管理します。

【図1】p管理図(単位:%)

・参考例

 ある広告会社は一般消費者の中から毎月1,000人を無作為に抽出し、当月に放映開始したテレビCMの認知率調査を行なっている。同社テレビCMの放映初月の認知率は、過去の実績から通常36% と考えられる。そこで、上記の式でpを36%、nを1,000人として、p管理図の各数値を計算した。

  • サンプル内における認知率の標準:36.0%
  • サンプル内における認知率の上限(上方管理限界):40.6%
  • サンプル内における認知率の下限(下方管理限界):31.4%

 ここで算定された数値を基にp管理図を作成した【図2】

【図2】p管理図(単位:%)

 管理図作成後、毎月サンプリング調査を行ない、認知率が上方管理限界(40.6%)を上回った場合は、「高認知率の背景には口コミなど特筆すべき恩恵があった」と考え、認知率が下方管理限界(31.4%)を下回った場合は、「低認知率の背景には消費者行動の変化など特別な障害があった」と考えることとした。

c管理図

・c管理図とは

 事故件数や不良件数など、発生頻度の極めて低い事象を管理する手法としては、一般的に「c管理図」と呼ばれるものが使われます。c管理図は、『発生頻度の極めて低い事象の確率分布がポアソン分布に近似する』という統計学的な性質を利用した品質管理図です。c管理図の"c"は"count(数えること)"の頭文字です。

 発生頻度の極めて低い事象の発生件数の平均をμとすると、サンプル内において同件数が一般的にとりうる範囲は、次の式のように定義されます。

  • サンプル内における同件数の標準:μ
  • サンプル内における同件数の上限(上方管理限界):μ+3√μ
  • サンプル内における同件数の下限(下方管理限界):μ-3√μ

 (同件数が一般的にとりうる範囲の上限は「上方管理限界」、下限は「下方管理限界」と呼ばれますが、c管理図では通常、下方管理限界は考慮されません。)

 この式で算定された数値を基にc管理図を作成すると【図3】のようになります。そして、管理図作成後は定期的に発生件数を集計し、件数のブレ(変動)を管理します。

【図3】c管理図(単位:件)

・参考例

 あるコールセンターに寄せられる製品誤作動に関する情報に対しては、通常オペレーターから正しい動作手順を伝えることで対応できているが、誤作動情報が多数寄せられた場合は、製造部門で製品仕様の見直し(使い難さの改善等)を検討するようになっている。同製品の誤作動に関して寄せられる情報は、過去の実績から通常、週に0.9件程度と考えられる。そこで、上記の式でμを0.9件として、c管理図の各数値を計算した。

  • サンプル内における同件数の標準:0.9件
  • サンプル内における同件数の上限(上方管理限界): 3.7件

 ここで算定された数値を基にc管理図を作成した【図4】

【図4】c管理図(単位:件)

 管理図作成後は、毎週、誤作動情報の件数を集計管理し、誤作動情報件数が上限(3.7件)を上回った場合は、製品自体にも問題があると考え、仕様の見直し(扱い難さの改善等)を検討し改善することとした。


最終内容確認 2013年10月

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