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起業マニュアル

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起業した後
統計的品質管理1

目次

統計的品質管理の手法

 大量の製品を扱う場合の品質管理においては、標本(サンプル)となる製品をいくつか無作為抽出しそれらの性質を調べることで、全体やロットの性質を統計的に推定するという手法が用いられます。抽出された標本の性質に異常が見られた場合は、母集団である製品群全体に異常が発生していると捉え、当該製品の出荷を一旦停止し、生産ラインを調べ原因を究明し、適切な処置を施します。

 以下では、このサンプリング調査に基づく統計的品質管理の手法を解説します。解説では、最初に理論的な内容を述べ、その後で参考例を使って統計的品質管理のステップを具体的にご紹介します。

標準的な水準からの乖離を管理する

・標本データの標準偏差を使う方法
 ここでは、「標本平均の分布が正規分布に近似する」という中心極限定理を理論的背景に実施される方法をご紹介します。この方法では、実際の管理にあたって品質管理図というものを使用します。品質管理図は以下のステップを経て作成されます。

<Step.1>

 生産ラインが正常に機能している時に、一定数の製品の標本を複数組抽出し、各製品のデータを記録します。

<Step.2>

 組ごとに記録されたデータの平均(標本平均)と標準偏差、そして標本平均と標準偏差の平均を計算します。標準偏差は次の式で計算します。
 ・標準偏差=√{偏差2乗の合計値/(データ数-1)}
  (偏差...当該データと平均との差)

<Step.3>

Step.2の計算結果から、標本平均の平均をm、標準偏差の平均をs、標本サイズ(標本一組あたりのデータ数)をnとして、次の式から、標本平均の標準、上限、下限を計算します。
 ・標本平均の標準=m
 ・上方管理限界=m+3s/√n
 ・下方管理限界=m-3s/√n

<Step.4>

 Step.3で算出された数値を基に品質管理図を作成します【図1】。品質管理図作成後は、一定期間おきに、サンプリング調査を行ない標本平均を計算します。標本平均はこの品質管理図にプロットし、異常値の管理を行います。

【図1】 品質管理図

・標本データのレンジを使う方法(簡便法:x-bar管理図)
 品質管理図作成の簡便法として、標準偏差の代わりにレンジを使う方法があります。レンジとは、データの幅(データの最大値から最小値を引いたもの)です。
 簡便法では、下の式で管理限界を計算します。
 ・上方管理限界=m+Ar
 ・下方管理限界=m-Ar
  (Aは下の係数表【表1】から得られる数値、rは正常時の標本データのレンジの平均)

【表1】x-bar管理図係数表

 この方法で作成される品質管理図は「x-bar管理図」と呼ばれ、広く用いられています。

参考例

 以下に、上述の手法の参考例をご紹介します。

<Step.1>

 容器に一定量の薬品を注入する機械のラインを管理するにあたり、正常時に生産ラインから5本ずつ薬品の入ったビンを抜き取り、重量を調べ【表2】にまとめた。

【表2】正常時の標本データ(標本サイズn=5)

・標本データの標準偏差を使う方法

<Step.2>

 組ごとに標本平均、標準偏差、標本平均と標準偏差の平均を計算し【表3】にまとめた。

【表3】計算表

<Step.3>

 Step.2の計算結果から、標本平均の標準、上限、下限を計算した。
 ・標本平均の標準=m=10.08
 ・上方管理限界=m+3s/√n=10.50
 ・下方管理限界=m-3s/√n=9.66
  (m=10.08、s=0.31、n=5)

<Step.4>

 Step.3で算出された数値を基に品質管理図を作成した【図2】

【図2】 品質管理図  (単位:g)

・標本データのレンジを使う方法(簡便法:x-bar管理図)

<Step.2>

 組ごとに標本平均、レンジ、標本平均とレンジの平均を計算し【表4】にまとめた。

【表4】計算表

<Step.3>

 Step.2の計算結果から、標本平均の標準、上限、下限を計算した。
 ・標本平均の標準=m=10.08
 ・上方管理限界=m+Ar=10.52
 ・下方管理限界=m-Ar=9.65
  (m=10.08、Aは【表1】x-bar管理図係数表より0.58と設定、r=0.75)

<Step.4>

 Step.3で算出された数値を基に品質管理図を作成した。

<Step.5>

 品質管理図作成後、生産ラインから毎日5本ずつ薬品の入ったビンを抜き取り、標本平均をとり続けていたが、本日、標本平均が管理限界の外に位置した【図3】。このため、母集団である製品群全体に異常が発生していると捉え、出荷を一旦停止し、生産ラインを調べ適切な処置を施した。

最終内容確認 2013年10月

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