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起業マニュアル

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ウェブ・マーケティングを考える

目次

ウェブマーケティングとは

 マーケティングとは、企業から市場へのあらゆる働きかけを意味していますが、インターネット上にウェブサイトを構築し、それを戦略的に用いてマーケティング活動を行っていこうとするのがウェブ・マーケティングです。
本章では、ウェブ・マーケティングの概念について取り上げます。

ウェブ・マーケティングが注目される理由

 ウェブ・マーケティングが注目されるようになってきた理由は、どこにあるのでしょうか。さまざまな要因が考えられますが、もっとも重要なものを2点あげます。1つめは、

 私たちの生活にインターネットが浸透し、それが社会構造に劇的な変化をもたらしている

ことです。インターネットが急速に普及した結果、消費者・企業双方のインターネットを使用した活動領域が加速度的に広がっています。自宅のパソコンを使って日常的にインターネットによる情報収集を行うことに加え、商品やサービスの購買にインターネットを活用する消費者が着実に増えています。

 一方、企業側もそうした消費者の行動に対応するべく、また時にはそれをリードしながら、インターネット上でさまざまな事業に取り組むようになってきました。もっとも基本的なスタイルは、ネット上に自社のウェブサイトを開設し、消費者へ財・サービスおよび情報を提供するものです。つまりこれこそが、ベーシックなウェブ・マーケティングの実践にほかなりません。
ウェブ・マーケティングへの関心が高まりつつある2つめの理由は、

 私たちの消費行動がきわめて複雑になってきている

ことです。私たちの生活は、物質面からみれば、非常に高度な水準で安定しています。日々の生活を営むうえで必要な物は、ほとんどすべて周囲に存在します。そのような生活環境にある人々は、物質面だけでなく精神面での満足を追求する消費行動をとるようになりますが、それらの行動は個々人の価値観に大きく左右されるものであり、したがって多様な商品・サービス・情報のニーズが生じることになります。

 ニーズの多様化ないし細分化は、企業のマーケティング戦略そのものに変化をもたらしています。企業は、既存のマーケティング戦略を続けるだけでは収益確保が困難になり、マーケティングの常識そのものを転換することが求められているのです。そして、その有効な方法としてウェブ・マーケティングに目を向けるようになってきました。すなわち、

  ウェブを使って多様化した顧客ニーズを把握し、
  それに基づいて効果的な商品・サービス・情報の販売戦略を実践し、
  より多くの顧客ロイヤルティを獲得する

というものです。
以上2つの要因によって、ウェブ・マーケティングは企業の新しいマーケティング戦略として急速にその重要度を増してきています。

ウェブ・マーケティングとは

ウェブ・マーケティングとは、

  インターネット上にウェブサイトを開設し、
  ネットを通じて商品やサービスの宣伝広告、見込み顧客の発掘、商談、受注、契約、
  さらにはアフターサービスまでも行う

というものです。ウェブ・マーケティングでは、既存のマーケティング戦略を包括的に実践していくことも可能ですが、それよりもむしろ他のマーケティング戦略を補完する目的で活用しているケースのほうが多くみられます。
ウェブ・マーケティングの特徴は、

 ターゲットとする顧客に一斉に情報を提供できる

ところにあります。したがって、コスト面でのメリットも大きくなります(ただし、システムの構築と保持には一定のコストが必要です)。またそれとならんで重要な特徴は、

 顧客と双方向コミュニケーションが可能になる

ことです。つまり、営業担当者と各種広告媒体のもつ強みを兼ね備えているのです。これがウェブ・マーケティング最大の特徴であり、最大の強みです。

効果的なウェブ・マーケティングを行なうために

ウェブ・マーケティングの全体構造

 まず、ウェブ・マーケティングの全体構造をみておきます(図表1参照)。ウェブ・マーケティングの実践においては、顧客を自社のウェブサイトに吸引し、商品やサービスを十分に知ってもらい、さらに購買行動へと結びつけます。その核にあるものはウェブサイトですが、ほかにもウェブ・マーケティングを構成する重要な要素があります。ひとつは集客ツールとよばれるものであり、これは大勢の顧客を自社のサイトに誘導する役目を果たします。

<図表1:ウェブ・マーケティングの全体構造>

図表1:ウェブ・マーケティングの全体構造

 そしてもうひとつは、フォローマーケティングといわれる要素です。これは一度自社と関係を構築した顧客に対してアフターサービスを行っていくものであり、長期的な売上拡大を考えるためにも必要不可欠な要素であるといえます。

 ウェブ・マーケティングの実践では、核であるサイトの作成に関心が集まりがちです。もちろん魅力的で実用性のあるサイト環境を提供することは、多くの顧客獲得につながりますが、他の要素をおろそかにした結果、ウェブ・マーケティングがうまく機能せず、次第に核となるウェブサイトにも手を入れなくなるケースも見受けられます。そうした事態を避けるためにも、まずはウェブ・マーケティングの全体像をしっかりつかんでおく必要があるでしょう。

効果的なウェブ・マーケティングの実践

 では、効果的なウェブ・マーケティングを実践するためには、どのような点に留意すべきでしょうか。ウェブサイトについては、何よりも見やすさを優先させたいものです。必要な情報を簡潔に集約し、誰にとってもわかりやすい形で提示することが重要です。つまり、

  アクセスするインターネットユーザーの立場にたったサイトを構築する必要がある

ということです。無数に存在するウェブサイトのなかから自社のサイトを選んでもらうためには、定期的なリニューアルも不可欠です。

 また、集客ツールの役割はきわめて重要です。いかに素晴らしいサイトを構築していても、多くのインターネットユーザーを誘導してくる仕組みがなければ、成功させることは難しいからです。ウェブサイトはユーザーと企業との出会いの場です。魅力的な出会いの広場にユーザーを連れてくるためのツールがなければ、その広場の存在に気づいてもらえません。

 集客ツールには、インターネット広告と相互リンク、印刷媒体による告知などの方法があります。

 インターネット広告のなかで、もっともよく使われるのがバナー広告です。これは、多くの人が見るウェブサイトに帯状の広告を掲示し、関心をもったユーザーがそれをクリックすると自社のウェブサイトが立ち上がるような仕組みになっています。また、電子メール広告もよく使用されます。これは、登録会員に対してさまざまな情報が掲載された電子メールを配信するものであり、そのなかに自社のURLも載せています。

 相互リンクは同じような業界、テーマ、商品を取り扱っているウェブサイトと相互に連絡を取り合って、他のウェブサイトで自社のウェブサイトを紹介してもらうものです。アクセスの多いウェブサイトとリンクを張ることができれば、より多くのユーザーを呼び込むことができるでしょう。

 印刷媒体による告知では、外部の人の目に触れる可能性のあるすべての印刷物に自社のURLを載せます。会社案内、名刺、便せん、商品パンフレット、チラシなどのほか、テレフォンカードやタオルなどの販促物に入れることも効果的です。
 こうしてさまざまな方法を組み合わせ、最良の効果が期待できる集客ツールを作ります。

ウェブ・マーケティングとワン・トゥ・ワン・マーケティング

 ウェブ・マーケティングを論じる際には、ワン・トゥ・ワン・マーケティングの概念を理解する必要があります。本章では、ウェブ・マーケティングとワン・トゥ・ワン・マーケティングの関係について、みていくことにします。

マス・マーケティングからワン・トゥ・ワン・マーケティングへ

 以前の企業におけるマーケティング戦略は、マス・マーケティングとよばれるものであり、これは大衆を対象としてマーケティング戦略を立案し、実行するものでした。しかし、その後消費者のニーズは多様化の一途をたどり、マス・マーケティングの手法では対応できない部分が生じてきました。そこで、マイクロ・マーケティングが登場することになります。マイクロ・マーケティングでは異質性の高い市場を、消費者のニーズによって細かく分割していきます。つまり、似通ったニーズをもつ消費者をある程度集めてひとつのまとまった市場として把握し、細分化された各市場に対して異なるマーケティング戦略を採用します。

 マイクロ・マーケティングによって、消費者と企業との距離をかなり短縮することが可能となります。本当に消費者が欲している商品・サービスを、適正な価格で販売するような企業サイドの継続的な努力によって、私たちはより快適な生活環境を手に入れることができます。

 こうした市場ニーズとそれに対応した企業のマーケティング戦略の変遷のなかで、ワン・トゥ・ワン・マーケティングという概念が登場し、多くの人々の関心を集めています。端的に表現すれば

 ワン・トゥ・ワン・マーケティングとは、一人ひとりの顧客を別々に取り扱うことである

と定義できます。個々人のニーズを的確にとらえ、それに応えるマーケティング戦略を実践できれば、その企業にとってのファンを獲得することができます。一度自社のファンとして囲い込むことに成功すれば、それは企業に長期的な収益をもたらしてくれます。

 ウェブ・マーケティングは、ワン・トゥ・ワン・マーケティングを行うひとつの重要なツールとなります。ウェブサイトを開設し一方的な情報発信を行っているだけでは、顧客の心をつかむことはできません。

 ウェブサイトを戦略的な視点から構築し、ワン・トゥ・ワン・マーケティングを実行することが、ウェブ・マーケティングの成否を分ける重要なファクターとなります。

ワン・トゥ・ワン・マーケティングを実践するには

 では、ウェブ上で効果的なワン・トゥ・ワン・マーケティングを実践するにはどうすればよいのでしょうか。ここではその概要のみを簡単に紹介します。

 ウェブ上のワン・トゥ・ワン・マーケティングにおいては、

自社のウェブサイトにアクセスしてくれた人の行動を追跡し、
  その結果を分析して新たな事実を発見する

という作業を行います。
そうすることで、

  • OS別、ブラウザ別のアクセス数
  • ドメイン別のアクセス数
  • ページ別のアクセス数
  • 各ページでのユーザーの滞在時間

などが明らかになります。したがって、商品やサービスを注文しなかった人でも、何に興味をもってくれたかを推察することが可能になります。このように、アクセスしてきた消費者たちのニーズを緻密な手法で推察し、顧客のもっている情報に企業が近づいていくことがワン・トゥ・ワン・マーケティングを可能にします。

 アクセス解析によるワン・トゥ・ワン・マーケティングを、より系統的に行っていくためには、顧客の性別、年齢その他の属性データと商品の購買履歴データなどをあらかじめデータベース化しておく必要があります。このデータベースは顧客の行動履歴として蓄積されたものであり、顧客がウェブにアクセスしたときにデータベースを参照してその人専用の対応を自動的に行う仕組みを構築します。

<図表2:ウェブによるワン・トゥ・ワン・マーケティングの仕組み>

図表2:ウェブによるワン・トゥ・ワン・マーケティングの仕組み

 このようなデータベースを構築し、それを戦略的に活用することでワン・トゥ・ワン・マーケティングが可能となります。

ウェブ・マーケティング導入時の留意点

 本レポートの最後に、ウェブ・マーケティングを導入する際の留意点を確認しておきます。

 ウェブ・マーケティングを導入するためにはまず、その全体構造と導入目的を明確にする必要があります。

 「他社でも取り組んでいるから」という理由だけで、ウェブ・マーケティングを導入するようでは、大きな成果を期待することは難しいでしょう。まず、自社のマーケティング戦略を詳細に分析し、その強みと弱みを明らかにしたうえで、弱みを補強するために、あるいは強みをいっそう伸ばすためにウェブ・マーケティングが必要不可欠である、そう判断した時点ではじめて導入を検討します。

 ウェブ・マーケティングの導入を検討する際には、「効果的なウェブ・マーケティングを行うために」で取り上げた全体構造をしっかりと把握しなければなりません。全体像をつかむことは意外に見落とされがちであり、どうしてもウェブサイトの作成に関心が集まる傾向があります。ウェブサイトの作成のみを重視した取り組みは、長期的なアクセス数の増加にはつながりません。ウェブサイト、集客ツール、フォローマーケティングの3要素をバランスよく検討する必要があります。

 ウェブ・マーケティングの導入にあたっては、そのメリット、デメリットを知っておくことも大切です。メリットは「ウェブ・マーケティングとは」で述べたように、多くの消費者と瞬時に双方向のコミュニケーションがはかれ、それを売上拡大に生かせるところにあります。ただし、ウェブ・マーケティングにもデメリットがあります。それは、データベースの構築やメンテナンスにはある程度のコストがかかるということです。一定の効果を生み出すためには、継続して手を加えなければなりません。
また、ウェブ・マーケティングのみに頼ってしまう姿勢も危険です。

 ウェブ・マーケティングは、企業の他のマーケティング戦略を補完するものであり、そのような視点から取り組む必要があります。

 全体構造とメリット・デメリットを認識し、自社のマーケティング戦略をより高いレベルへと引き上げることを目的にウェブ・マーケティングを実践するのであれば、それは大きな価値をもたらしてくれることでしょう。

 ところで、ウェブ・マーケティングを導入するには、専門的な知識と技術が必要となります。導入にあたっては、ウェブ・マーケティングに強みのある企業に作業依頼をするのがよいでしょう。ウェブサイトの作成からデータベースの構築、集客ツールの作成など、ウェブ・マーケティング全般を行っている企業もありますし、ウェブサイト作成専門、データベース構築専門という企業もあります。長期的なパートナーとなりますので、自社に合った企業を慎重に選びたいものです。

最終内容確認 2014年3月

  • googleplus
  • hatena
  • pocket
  • line
  • evernote

経営管理から決算書の作成まで

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