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起業マニュアル

起業を思い立ったその瞬間から、実際の起業準備そして開業まで。
起業を目指す人のこんなときどうする?に応えます。
起業した後
今こそ考えたい中小企業のマーケティング

目次

自分視点から顧客視点へ

  中小企業が存続・成長していくためには、取引先から確実に選ばれる存在になること、そして自ら積極的に新規顧客を開拓していくことなどが求められます。
  そのためには、「まず自社のビジネスモデルありき」から、「顧客ニーズに合致するように自社のビジネスモデルを再構築する」という発想が重要になります。そしてこの発想を具体化していくことこそがマーケティング活動なのです。

マーケティングとは

 マーケティングという言葉は、誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。しかし、その意味については「分かったようで、実はよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。
  マーケティングとは簡単にいうと、

   商売の鉄則である「客のことは客に聞け」を、大規模に行うこと

にほかなりません。
  少数の特定の相手とだけ取引するのであれば、鉄則の言葉通りにすべての顧客にそのニーズを聞くことができます。しかし事業が拡大し、多数の相手と取引するようになると、全員のニーズを直接聞くことは難しくなります。仮に聞けたとしても、それはあくまで既存客のニーズであり、まだ接触したことがない見込み客のニーズは分かりません。
  また、顧客のニーズは絶えず変化し多様化しています。大企業が取引先として中小企業に求めるニーズも高度化・多様化しています。顧客のもつニーズをできるだけ正確に把握し、これに応えていくことがマーケティングの基本です。

「売り込み」からマーケティングへ

 「売り込み」とは自分が優れていると思う商品を、顧客に販売する活動です。もし売れないときは「こんなに良い商品なのになぜ客は買わないのか」と顧客に責任を求めてしまいます。
  一方、マーケティングとは顧客のニーズをいかに満たしていくかという活動です。もし商品が売れなければ、顧客ニーズを読み違えたか、商品の提供方法などがまずかったということになります。いずれにせよ売れなかった責任は顧客ではなく、顧客のニーズに応えられなかった自分の側にあることになります。
  このように「売り込み」は出発点が自分にありますが、マーケティングの出発点はつねに顧客の側にあるのです。

顧客ニーズとは商品ではなく効果

ニーズとは商品、サービスがもたらす「効果」

 たとえば、パソコンを販売している会社がお客様のニーズを考えるときに、「お客様はどんなパソコンを欲しがっているだろうか」というアプローチだけでは限界があります。というのも、お客様は機械そのものとしてのパソコンが欲しいわけではなく、「複雑な計算を自動的にやってくれる」、「簡単に文書作成ができる」といったパソコンがもたらすさまざまな利便性を求めているからです。もしパソコン以外の機械でこれらの利便性を享受できるならば、お客様はその機械も選択肢に入れて購入を検討するわけです。
  このように考えると、この会社の商売は表面上は「パソコン販売」ですが、本当は「計算処理効率向上支援業」、「文書作成支援業」であることがわかります。つまり、

   自社で扱っている商品やサービスがもたらしている効果を改めて確認し、
   自社が本当は「何屋」なのかを再確認することが大切なのです。

 そうすることによって、その効果をもっと大きくできないか、あるいはさらに違った効果を付加できないかを考えていくことによって、より一層ニーズに直結した商品開発、サービス開発につなげることができます。
  顧客ニーズを考えるときには「お客様がどんな商品を欲しがっているのか」ではなくて、「その商品によってどんな効果を得たがっているのか」をベースに考える必要があるのです。

表面化していないニーズもある

 また顧客ニーズとは別に「顧客ウォンツ」という言葉があります。これは顧客ニーズと違って、顧客自身まだどんな効果を得たいかがわかっていない、つまり、まだ顕在化していないニーズのことです。
  パソコンを例にとると、パソコンが登場した当初から表計算ソフトやワープロソフトはありました。その頃の顧客ニーズの中心は「計算やワープロ機能の強化」にあったでしょう。ところが今では通信環境の整備などによって、インターネット経由で動画も楽しめるようになりました。これは一昔前であれば考えられなかったことです。
  このようにパソコンが登場した当初からあった「計算やワープロ機能の強化」という顧客ニーズに対し、当時は誰も想像できなかった「動画を楽しみたい」というニーズのことをウォンツと呼びます。
  すでに顕在化している顧客ニーズに対してはさまざまな企業がしのぎを削っています。これに対して、まだ顕在化していないウォンツにいち早く気づき、それに対応できれば、大きな成果が期待できるのです。

ニーズやウォンツと自社の強みの接点を探る

 当然ながら世の中には、さまざまなニーズやウォンツが存在しますが、それらにすべて対応することは不可能です。そのなかから、自社のもつ強みがもっとも有効に機能しそうなニーズ、ウォンツを選ぶことが大切です。そして、それに応えるために経営資源を集中していき、同業他社も同じようなターゲットを狙ってきた場合に、どのように打ち勝っていくかという差別化策も検討する必要があります。
  よく「経営は選択と集中」といわれますが、これはここまで述べてきたように、ニーズやウォンツと自社の強みを重ね合わせて適切な事業分野を選択し、そこに集中して取り組むということなのです。

マーケティングの4つの戦略

 ところでマーケティングとは、商品そのものを対象にした活動だけにとどまりません。
 たとえば、その商品が顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば多くの顧客はそれを手にすることができません。また、製造方法にムダがあり、顧客のニーズ以下の価格を提示できないとやはりその商品は売れません。
 つまりマーケティングとは、製造方法、流通経路、販売促進、企業イメージなど、会社そのものを顧客のニーズに沿った形に変えていく活動といえます。

 マーケティングの発想で会社そのものを変えていく際には、通常「マーケティングの4P」、すなわち、「商品(製品)」(Product)、「価格」(Price)、「流通経路」(Place)、「販売促進」(Promotion)の4つの要素からアプローチしていきます。

商品(Product)戦略

 最初の要素は商品そのものです。もっとも大切なのは企業の側から考えた「良い商品を作って売る」という発想ではなく、前述のように「顧客ニーズに応える商品を売る」という発想をもつことです。商品はニーズに応えるための手段に過ぎません。
  中小企業の商品戦略として、ニッチ(隙間)なニーズにきめ細かく応える商品を開発することがあげられます。これはニッチなニーズは、それだけ市場規模も小さいため、大企業が参入してくる可能性が低いからです。中小企業は、大企業がひしめく巨大市場で1%のシェアを狙うよりも、小さな市場で大企業との競合を避け、No.1をめざすほうが向いています。
  顧客ニーズを考えるときに、ある商品を使って新たな利便性を提供できないかという視点(価値創出型)と、その商品が宿命的にもっている問題を解決できないかという視点(問題解決型)の、2つのアプローチで考えると、よりわかりやすくなります。
  携帯電話の新たな利便性を例にとると、価値創出型の視点としては「携帯電話で買い物の決済をしたい」、「携帯電話をコンサートのチケット代わりにしたい」などが考えられます。また問題解決型の視点としては、携帯電話であるがゆえの「バッテリーの問題」、「複雑な操作方法」などが考えられます。このうち、「複雑な操作方法」を解決した商品として、機能を最低限に絞り込んだ『簡単携帯』があげられます。自社で扱っている商品をこのような視点から再度見直してみると、新商品開発の方向性が見えてきます。
  なお、ある商品がヒットすると必ず同じようなニーズに応える商品が登場します。それらに対抗するためには、商品そのものの利便性(本質的価値)向上だけではなく、デザイン、包装、アフターサービスといった付加的な部分(付加的価値)を工夫することもひとつの差別化策になります。

価格(Price)戦略

 第2の要素は価格をいくらにするかということです。価格の決め方にはいくつかの方法がありますが、通常は以下の3つの方法を組み合わせて決定します。
  まずは商品の製造コストに、会社として確保したい利益を乗せる方法です。同じ商品であれば、通常は値段を下げたほうがたくさん売れますが、その分だけ利益が出にくくなります。そこで利益を確保できるギリギリのラインが、この方法での最低価格ということになります。
  次の方法としては、競合企業との競争を踏まえた価格の決め方があげられます。競合企業が同様の商品を出している場合、通常は、競合企業よりも価格を高くすると売れなくなります。そこで競合企業と同程度の価格、できればそれを下回る価格設定ができれば有利ということになります。しかしながら、スケールメリットの大きい大企業とそうではない中小企業が価格競争をした場合、大企業優位は否めません。ほかの要素で大企業と差別化を図り、価格競争にできるだけ巻き込まれない工夫をすることが重要になります。
  3つ目の方法は、顧客の「これくらいなら払ってもいい」という値頃感からの決め方です。顧客は商品の価格に対して、「高過ぎる」、「高いけれど許容できる」、「割安感がある」、「安すぎて逆に不安だ」といった値頃感をもっています。人によって値頃感はさまざまですが、商品の価格が、多くの人の「高いけれど許容できる」と「割安感がある」という値頃感の間に入っていれば、商品は売れやすくなります。

流通経路(Place)戦略

 第3の要素は、商品供給者から顧客までの商品の流れである流通経路です。たとえば、自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路としては、自社(メーカー)→卸売業→小売業→消費者といった流れが考えられます。そして商品を欲しいと思った人がその商品を確実に買えるように流通経路を整備していくことが、この戦略の基本となります。
  流通経路は、できるだけたくさんの流通業者に扱ってもらう場合と、あえて流通業者を限定する、あるいは自社の直営店を出すなどして独自の流通経路を築く場合があります。前者は一気に大量販売できる可能性がある半面、最終的に誰がどのように売っているか管理できないため、商品の最終価格のコントロールが利かない、会社や商品のイメージ維持が困難といったデメリットがあります。一方、後者は急速な大量販売が難しい、独自の流通経路の構築や維持に手間と費用がかかる半面、商品の価格やイメージをコントロールしやすいのが特徴といえます。
  また、最近では、通信販売、とくにインターネット通販を利用する消費者が急速に増えています。中小企業の流通経路を考えた場合、このインターネット通販はぜひとも利用を検討したいところです。販売の仕組みを作るのにほとんど費用がかからないうえ、通信販売を通じて入手できる顧客情報そのものが、常連客化してもらうための貴重な情報になるからです。顧客の了解を得られればメールマガジン配信などを通じて、自社商品の情報を定期的に知らせることも可能になります。

販売促進(Promotion)戦略

 第4の要素は販売促進です。販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格などの情報を提供したり、販売員や営業マンを使って購入を促す活動を指します。
  具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝」、最終顧客や中間業者にインセンティブを提供する「セールスプロモーション(SP)活動」、個々の顧客に直接アプローチする「人的販売」に大別できます。大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、SPは「売るための仕掛けを作ること」、人的販売は「実際に購入してもらうこと」が目的となります。これらの手法を自社の業種業態や規模に応じてうまく組み合わせて使うことが大切です。
  ここでも強調しておきたいのがインターネットの活用です。自社のホームページを立ち上げるだけで、ほとんど費用をかけずに情報を全国に配信することができます。その際、すでに人気のあるサイトにバナー広告(関心をもったユーザーがクリックすると、自社サイトにリンクする広告)を掲載したり、相互リンク(他社と協力して互いのホームページからアクセスができるようにすること)を張るなどして、アクセス数を増やすことが大切です。インターネット通販は広告宣伝、SP、人的販売をすべてネット上で完結させているのです。
  また、ニッチなニーズで勝負する中小企業にとって大切にしたいのが、いわゆる「口コミ」です。口コミは基本的に同じニーズをもった人に行われます。これは既存客が同様のニッチなニーズをもつ新規客を見つけてきてくれるということです。そして口コミを成功させるためには、キャッチコピーを作るなどして、既存客が商品の特徴を上手に新規客に話せるように工夫することなどが有効になります。
  効果的なキャッチコピーの作り方として、商品の特徴を2つの側面から表現する方法があります。具体的には「安くてうまい」、「高機能、簡単操作」といった具合になります。
  これは、商品の1番の特徴、ウリを最初に表現し、その特徴があるがゆえに生じるであろうマイナスイメージを2番目の言葉で打ち消してしまうやり方です。
  「安い」だけでは「安かろう悪かろう」のイメージがあるところを、「安くてうまい」と表現すればその不安は払拭されます。また、「高機能」だけでは扱いが難しそうな印象を与えるところを、「高機能、簡単操作」といえば、その不安も払拭されるというわけです。この考え方を自社商品に当てはめて、口コミを誘発しやすいキャッチコピーを考えてみるのもよいでしょう。

関連ドキュメントのダウンロード

市場調査シート(ZIP/12kb)

市場調査シート記入例(PDF/48kb)


最終内容確認 2013年10月

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  • line
  • evernote

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