起業マニュアル

起業を思い立ってから開業するまでの『こんな時どうする?』に応えます

金融機関からの借入手続き
金融機関からの借入手続き

創業資金を借入する際には、借入金額、借入期間、金利、返済方法などを金融機関と話し合うことになります。
ここでは、借入手続きについて、注意すべきポイントを説明します。

借入とは

借入すると、必要なお金を一時的に融通してくれる代わりに、利息を付けて返済します。
借入金額や利息も大切ですが、それ以外にも返済方法など、重要な条件があります。借りたお金を「いつ返すのか、いつから返すのか」、「一括で返すのか、分割で返すのか」、「毎月定額なのか、変動なのか」など、様々な検討要素があります。
借入を検討する際、「借入金額」や「金利」にのみ関心が向きがちです。希望する条件がすべて認められる訳ではありませんが、「自身の事業に合った融資条件が何か」を幅広く検討できるようにしましょう。

検討すべき融資条件

1.借入金額

まず検討すべきは「借入金額」です。原則として、自己資金で不足する金額を借入金額とします。
「手始めに、いくら借りられるか知りたい」という考えは、起業する側としてはもっともなのですが、金融機関からは基本的に敬遠されます。
金融機関にとって「いくら貸せるか(借入金額)」は、対象の事業内容に応じて検討されることになります。事業内容が曖昧な状態では、真面目に検討してもらえないでしょう。ただし、複数の案を用意し、金額に応じた対応策を事前に考えておくのは非常に有効です。

2.資金使途

金融機関は「資金使途」を非常に重視しています。簡単に言うと、「貸したお金が何に使われるか」です。
資金使途が明確であれば、その資金使途に合わせて、後に説明する「金利」や「返済方法」について、柔軟に検討してもらえます。
資金使途に応じて手続きが変わる場合があるため、手続きが簡単な資金使途で適当に申請してしまうこともあるようですが、それは良くありません。
よく言われるのが、「設備資金」と「運転資金」です。設備資金は機械や建物など、比較的、高額で数年かけて利用するものなので、金額が多めで借入期間も長めに設定してもらえます。対して運転資金は、日々の収支バランス、資金繰りの関係から一時的に必要となる資金なので、売上規模に応じて比較的、短期間での取り扱いとなります。
個々の条件だけではありません。もし設備資金を運転資金として借入してしまった場合は悲惨です。一時的に運転資金が必要となった場合、すでに別の運転資金として多額の借入をしていると、「売上規模と比べて運転資金の利用額が大きいのではないですか」と断られてしまう場合があります。
借りた金をどう使おうが勝手だろうと考えてしまいがちですが、しっかりと説明することで、有利な条件を引き出すことができます。逆に説明できないと「生活費や娯楽費、別の借金の返済などに使うのではないか」と判断されてしまいます。

3.借入期間(返済期間)

資金使途とも関係しますが、借入期間も重要です。長いほうが得ではないかと考えてしまいがちですが、あくまで事業内容に沿った借入期間とすべきです。
事業が軌道に乗ると、状況に応じて借入を検討する機会が増えます。不要に期間を長くした場合、日々の資金繰り上は助かるかもしれませんが、いざ別の借入を検討しようとした場合に選択肢が狭まる結果になります。

4.返済方法

金融機関からの借入は、基本的には毎月の割賦返済となります。毎月の返済額は、借入額の月割り平均程度になります。住宅ローンなどではボーナス月のみ多めの返済となる場合もあるようですが、事業で借入する場合、月によって変動させることはできません。

例:600万円の5年(60ヶ月)返済
→毎月の元金返済額は10万円

事業内容によっては、知名度の広がりなどの関係で、軌道にのるまで数ヶ月の時間を要する場合があります。その場合は、借入当初の数ヶ月は元金返済を猶予(据え置き)し、その後に猶予分を上乗せして返済することができます。

例:300万円の3年(36ヶ月)返済
据え置き期間6ヶ月(返済30ヶ月)
→7ヶ月目から毎月10万円を返済

注意点として、元金返済は猶予できても、金利は毎月支払うことになります。

上記は一般的な話ですので、個別の融資制度により変わる場合があります。その場合でも、借入目的を正しく相談すれば、それに合った形のものを金融機関側で検討してくれるでしょう。

5.金利

融資は案件ごとに条件を検討するため、原則として金利は個別案件ごとに異なります。ただし創業に関しては、制度融資を使うことで、有利な金利で借入をすることが可能です。
制度融資の大半は、借入期間中は金利が変わらない「固定金利」という仕組みを使っています。これも制度融資特有のもので、金融機関側としては、借入契約は長期間となるため、社会情勢等により金利を調整できる変動金利を好みます。

連帯保証人

借入を利用しようとする場合、連帯保証人を求められる場合があります。原則として、法人で借入する場合は代表者の連帯保証が必要です。これは、小規模企業の場合、法人と個人とが明確に分かれていないことによるものです。役員報酬を自由に決め、有利な条件で個人に資産を移動してしまえば、法人の内容は業績に関わらず大きく変動します。土地建物など個人の資産を利用して商売をしている場合も同じです。
逆に、法人と個人とが明確に分かれていれば、代表者の連帯保証は不要となります。しかし、現実問題として、創業直後で明確に区分けすることは難しい面もあるでしょう。
代表者は連帯保証人となる場合が多いですが、最近は何かしら理由のある場合を除き、代表者以外は連帯保証人としません。また、個人事業主として個人で起業する場合も、連帯保証人は必要とされません。

融資を相談するにあたって

金融機関は、貸したお金をしっかり回収できるかを見ています。
事業を始める前は、事業の実態がないため、その事業が続くかどうか判断することが、非常に難しくなっています。そのため、事業内容を詳しく伝える必要があります。事業が続かないと判断されてしまうと、当然にお金を出してはくれません。
事業内容に加え、金融機関の重要な判断基準が、「その人に経営・財務管理能力があるか」どうかです。難しいかもしれませんが、要は「しっかり返してくれる人か」です。事業だけでなく、人も見ています。
融資相談に行く際は、事業内容を正確に伝え、借入をしっかり返せる人間であることを証明しなければなりません。

そのため、「事業計画書」は必須と言えます。完璧な計画書を作る必要はありませんが、金融機関は数多くの計画書を見ています。その計画書がしっかり書いたものかそうでないかは容易に判断されてしまいます。
計画書がしっかりしていないと、曖昧な計画でお金を借りようとする人なんだなと判断されかねません。
もし事業の形が明確になっていないのであれば、金融機関に相談する前に、まずはセミナーに参加したり、支援機関の専門家などに相談することをオススメします。セミナーによっては、金融機関へ取り次いでくれる場合があります。

融資決定後の手続きについて

融資決定となったら、改めて書面にて契約を締結することとなります。必要な書類を準備するほか、契約内容についても可能であれば事前に確認しておくと良いでしょう。
金融機関特有の考え方になるかもしれませんが、相見積もりのような感覚で、複数の金融機関に相談し、有利な条件の金融機関と取引するといったことは避けたほうがよいでしょう。
条件については、事前に交渉して内容を詰めておきましょう。

もし自己資金などで準備が可能であったとしても、起業後に資金繰りで困った場合は、金融機関に相談することになるでしょう。遅かれ早かれ利用する可能性があるのであれば、早めにコミュニケーションを取っておくことをオススメします。

あわせて読みたい