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起業マニュアル

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起業した後
労務管理のポイント:休職

目次

休職制度とは

 休職制度に関しては、法律に具体的な規定はないため、個々の企業において、就業規則等の中でその制度を定めているのが一般的です。休職とは、「労働者側に労務提供ができない、または不適当な事由が生じたときに、その労働者に対し、労働契約を継続したまま労務提供を免除または拒否すること」を指します。

 特に、傷病が原因で労務不能となっている場合では、労働者側に通常の労務提供、という債務が履行できない状況になっていますので、債務不履行により労働契約は解除される、つまり解雇になると考えられます。休職制度は、これを一定期間猶予し、労働者としての地位を保持したまま、労務提供の義務を免除する制度です。

 今回は、一般的な休職に関する説明を中心に、休職制度のメリットや注意点などについてご説明します。

休職の種類

 一般的な休職制度には、以下のような種類があります。

【一般的な休職制度の種類】

休職の種類 休職となる事由 一般的な休職期間
療養休職 傷病により職務に耐えず、業務に支障をきたすと会社が判断するとき 業務外の場合は、1カ月~1年6カ月
出向休職 会社の命令により、関係会社等に勤務させるとき 出向期間、または会社が必要と認めた期間
刑事休職 刑事事件に関し、起訴または勾留されたときや、犯罪容疑その他により、出勤が不適当と認められる場合 未決期間、または会社が必要と認めた期間
公職休職 公職に就き、長期にわたり業務に支障がある場合 公職に就いている期間、または会社が必要と認めた期間
特別休職 その他、特別な事情があり、会社が休職を相当と認めたとき 会社が必要と認めた期間


 休職期間は、個々の事由ごとに必要な期間が異なりますので、一定の条件を定めつつも、ある程度、会社側の判断により決定できるような内容にしておくのが良いでしょう。

 また、療養休職については、勤続年数の長い者の方が長期の休みを取得できるよう、休職期間に差異を設けたり、大企業と比較して中小企業は代替要員の不在などを理由に、比較的休業期間を短く設定する傾向があります。自社の理念や経営規模などを勘案して決めることをお勧めします。

 以下では、休職制度の中で最も重要である傷病休職を中心にご説明します。

休職規定作成時の注意点

 休職制度作成時には、以下の内容を盛り込んでおくことが重要です。

・休職時の賃金支払いの有無
  休職中は労務提供がなされないため、ノーワーク・ノーペイの原則により、賃金が支払われないことが一般的ですが、まれに賃金を支払っているケースもあります。そのため、無給とする場合は「休職期間中の賃金は、支給しない」旨、就業規則に明記しておくと良いでしょう。後々のトラブルを回避できます。

 また、通勤途中または業務上の事由により労務に就けないときは、労災保険から休業(補償)給付が支給され、健康保険の被保険者である労働者が、私傷病により労務に就けないときは、傷病手当金が休業中の所得補償として支給されます。

・通算規定
  傷病休職の場合は特に、病状によっては断続して欠勤を繰り返す場合や、同一傷病または類似の傷病で再度休職することが考えられます。その場合に、毎回休職期間がリセットされてしまうのでは、結果的に長期の休職となりかねません。「休職後、病状が一時回復して出勤したが、出勤日数が○カ月に満たないうちに、同一または類似の理由により休職となる場合、または欠勤する場合は、その時点から再度休職とし、休職期間については、前の休職期間と通算する」等と定めておくことをお勧めします。

・復職できなかった場合の取り扱いについて
  以前は、「休職期間を満了しても復職できない場合は解雇とする」旨の規定も見られましたが、解雇とするためには、客観的に相当と認められる事由の存否や、それなりの手順を踏むことが必要となるため、トラブルになるケースもありました。そのため、今日では、「休職期間が満了してもなお休職事由が消滅しないとき」は、就業規則で定める退職事由の一つとして列挙されることにより、当然に退職となる理由の一つとして扱われることが多くなりました。

休職中の対応

 傷病により休職している労働者にとって、会社を長期で休む分、会社や、自分の携わっていた業務や仲間たちの情報が耳に入らないと、「自分はこんなに長期間休んでしまったが、今後、職場復帰できるのだろうか」等と不安な気持ちを抱かせることが多々あります。そのため、1カ月に1回、連絡をしてみる、定期的に社内報を送る、などの休職中のフォローも良いでしょう。また、完全復帰の前に「リハビリ出勤」「リハビリ通勤」などの制度を設ける会社もあります。

 傷病休職中であって、賃金が発生していない労働者であっても、社会保険の被保険者である場合は、会社負担・本人負担ともに保険料が発生します。

 賃金が支払われているときは、賃金から控除していた保険料を、職場復帰後の賃金からまとめて控除するのか、休職期間中に本人から毎月振り込んでもらうのかなど、事前に決めておくと良いでしょう。なお、職場復帰後の賃金から控除する予定であったが、職場復帰せずにそのまま退職となる場合もあります。また、毎月振り込んでもらう場合は本人の経済状況なども考慮する必要があります。就業規則に盛り込んでもよいですが、このあたりは個々の事例に合わせて臨機応変に対応しても良いかもしれません。

復職について

 傷病休職の場合、本人は病気が治ったつもりでも、会社としては未だ完全な労務提供ができる体調ではない、と判断する場合も多くあります。近年では特に、うつ病等の精神疾患による休職者が増えているため、復職させるか否かの判断基準は厳密に定めておくことが重要です。

 会社の指定する医師または産業医の診断書の提出を義務付けたり、従業員が休職の原因となった傷病について治癒した場合、または復職後ほどなく治癒することが見込まれると会社が判断した場合に限り復職させるなど、本人の判断だけで復職させるのではなく、会社として客観的な基準を設けたうえで、会社として判断できるようにしておきましょう。

(執筆・監修:特定社会保険労務士 岩野 麻子)


最終内容確認 2014年2月

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