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起業マニュアル

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起業した後
労務管理のポイント:健康診断

目次

健康診断は重要です

 労働安全衛生法 第66条では、「事業者は、労働者に対し厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」と定められています。近年では、脂質異常症や、高血圧、糖尿病などの所見を有する労働者が増加しており、これらの危険因子が重なるほど、業務による負荷と相まって、脳・心臓疾患等の疾病につながりやすいとも言われています。

 そのため、健康診断の実施を怠っていると、もしもの場合に、事業者側の安全配慮義務違反を問われたり、業務と疾病との相当因果関係の有無を立証が困難となる等、事業者側にとって不利な状況にもなりかねません。

 今回は、労働者の健康管理の基本となる、一般の健康診断を中心に、健康診断実施のポイントをご説明します。

健康診断を実施するにあたって

・一般健康診断の種類
 一般の健康診断には、以下の種類があります。

健康診断の種類 対象となる労働者 実施時期
雇入時の健康診断 常時使用する労働者 雇い入れの際
定期健康診断 常時使用する労働者(次項の特定業務従事者を除く) 1年以内ごとに1回
特定業務従事者※
の健康診断
労働安全衛生規則で掲げる業務(深夜業含む)に常時従事する労働者 左記業務へ配置換えの際、6月以内ごとに1回
海外派遣労働者の健康診断 海外に6カ月以上派遣する労働者 海外派遣する際、帰国後国内業務に就かせる際
給食従業員の検便 事業に附属する食堂または炊事場における給食の業務に従事する労働者 雇い入れの際、配置替えの際


※特定業務従事者とは、有害物取り扱い業務等のほか、深夜業に従事する者も含まれます。シフト勤務等で、夜10時~翌朝5時までの間に業務に従事するサービス業などでは、上記の特定業務従事者の健康診断が必要となります。注意しましょう。

・一般健康診断の項目
 一般健康診断の中で、常用労働者を雇用する事業所において必ず実施することとなるのが、雇入れ時の健康診断と定期健康診断です。以下の○印が、必須項目です。

雇入時の健康診断 定期健康診断
1.既往歴及び業務歴の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
(身長、腹囲は場合により
省略可能)
4.胸部エックス線検査、かくたん検査
(胸部エックス線検査のみ実施)

(場合により省略可能)
5.血圧の測定
6.貧血検査(血色素量及び赤血球数)
(35歳未満及び 36~39歳
の者は省略可能)
7.肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
(35歳未満及び 36~39歳
の者は省略可能)
8.血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
(35歳未満及び36~39歳
の者は省略可能)
9.血糖検査
(35歳未満及び36~39歳
の者は省略可能)
10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11.心電図検査
(35歳未満及び36~39歳
の者は省略可能)


 雇入れ時の健康診断は、新たに雇い入れた従業員の適正配置や、入社後の健康管理に役立つだけでなく、今後の労務提供に支障がないか確認する資料にもなります。忘れずに実施しましょう。

 なお、健康診断受診後3カ月を経過しない者を雇い入れる場合で、健診結果証明書を提出したときは、重複する項目については、省略することができる、とされています。そのため、血液検査や胸部エックス線検査等の身体に痛み等の侵襲性がある項目については特に、短期間に複数回受診させることは望ましくないと言えることから、最近健康診断を受診したかどうか、業務に支障のない健康状態であるか、入社前に確認しておくと良いでしょう。

 定期健康診断についても、雇入れ時の健康診断、海外派遣労働者の健康診断又は特殊健康診断を受けたものについては、その健診実施の日から1年間に限り、重複する項目を省略することができます。

・健康診断の実施方法
 まず、健康診断を実施するためには、事業所または労働者の自宅近くの健診実施機関を探し、健診の費用や項目など、基本的な内容を問い合わせてみましょう。なお、定期健康診断については、健康保険から健診費用が補助される場合があります。詳しくは、ご自身が加入している健康保険の保険者等にお問い合わせください。

 健康診断の受診が決まったら、早めに予約を取ることをお勧めします。時期によっては、希望する日時に予約がいっぱいということもあり得ます。実際に予約を取る場合は、加入している保険者や保険証の記号番号、受診する労働者の氏名・生年月日がわかる資料などを準備しておくとスムーズに予約をとることができます。

健康診断実施後の対応

 健康診断を受診して健康診断結果が届いたら終わりではありません。事業者には、労働者の健康管理のために、以下の対応が義務づけられています。

・健康診断結果の記録
 健康診断結果は、本人へ通知するだけでなく、事業所でも健康診断個人票を作成し、原則として5年間保存しておきます。また、常時50人以上の労働者を使用する事業者が定期健康診断を行った場合は、定期健康診断結果報告書を事業所を管轄する労働基準監督署長に提出する義務があります。

・健康診断結果についての医師等からの意見聴取
 健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者について、労働者の健康保持に必要な措置について、医師等の意見を聞かなければなりません。

・健康診断実施後の措置
 医師等の意見を勘案し必要があると認めるときは、作業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければなりません。

・健康診断の結果の労働者への通知
 健康診断結果は、労働者に通知する義務があります。

・健康診断の結果に基づく保健指導
 健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。

【問い合わせ先】

 健康診断に関する詳しい内容につきましては、下記にお問い合わせください。

・労働基準監督署案内(労働基準監督署:安全衛生課)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html

・全国健康保険協会(健診のご案内・ご参考)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat410

(執筆・監修:特定社会保険労務士 岩野 麻子)

最終内容確認 2014年1月

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