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起業マニュアル

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起業した後
財務分析(安全性)

目次

財務分析の種類と注意点

 財務分析は大きく分けると、安全性分析、収益性分析、効率性分析、生産性分析、成長性分析、株主関連指標分析に分類できます。

財務分析の種類

 (1)安全性分析:どれだけ支払い能力があるかを分析します。
 (2)収益性分析:どれだけ効率的に儲けているかを分析します。
 (3)効率性分析:どれだけ効率的に経営資源を使用しているかを分析します。
 (4)生産性分析:どれだけアウトプットを生み出せているかを分析します。
 (5)成長性分析:どれだけ業績が伸びているかを分析します。
 (6)株主関連指標分析:どれだけ株主に還元しているかを分析します。

財務分析の注意点

 財務分析指標は、数値ではっきり示されるものであることから、平均値、基準値が気になるところかと思いますが、指標は業界や企業規模によって大きく異なりますので、1つの指標が良い・悪いということだけで経営状態の良し悪しを判断することはできません。さらに、単年度の数値だけでは充分に原因までの分析ができないことがありますので、複数年(最低2年分)の経営指標の推移を見ることが重要です。

 「経営自己診断システム」にアクセスし、自社の主要な財務データを入力すれば、「自社の財務分析」、「国内同業種中小企業の中の位置づけ」、「経営危険度」が表示されますので、活用されるとよいでしょう。

安全性分析

 たとえ黒字であっても、手元のキャッシュが枯渇し支払いができなくなれば企業は倒産に追い込まれます。以下では、キャッシュの支払い能力から企業の安全性を見ようとする指標の中で、代表的で重要なものを挙げて解説します。

(1)自己資本比率

自己資本比率

 企業経営するなかで資金の調達をどの程度自己資本でカバーしているかを見る指標です。会社の借入依存度を見る指標とも言えます。この指標が高ければ高いほど、他人資本への依存度が低い安定した資本構造であるといえます。自己資本の中の剰余金は過去の事業による収益の蓄積ですので、この額が多いということはこれまでの事業できちんと収益を生み出してきたと見ることができます。したがって、創業間もない企業においては剰余金が少ないこともありますので創業年数と合わせて確認する必要があります。

 自己資本比率は高い方が 資金の安全性から好ましいといえます。50%以上であることが望ましいですが、一般的に40%以上であれば優良であると判断できます。

(2)流動比率

流動比率

 財務的な視点で、流動(短期)とは1年以内のことを意味します。この指標は、1年以内に返済しなければならない負債を1年以内に現金化できる資産でどれだけ賄うことができるかを示します。いわば、企業の正常な経営活動での短期的な支払い能力、つまり、短期的な財務安全性を示す基本的な経営指標だといえます。

 流動資産とは、営業取引によって生じた債権および1年以内に現金に転化する資産であり、現金預金、受取手形、売掛金、有価証券、棚卸資産、前渡金などが含まれます。流動負債とは、支払手形、買掛金、短期借入金、未払い金、未払法人税、前受金、未払い費用などが含まれます。

 流動比率は、一般的には200%を超えると安全であり、少なくとも150%を超えていることが望ましいと考えられます。

(3)当座比率

当座比率

 流動資産に含まれる棚卸資産は、売却しなければ現金化することはできず、そのために短期負債の返済に即座に利用できるとは限りません。そこで、流動資産から棚卸資産などを除いた当座資産が短期負債をどの程度カバーしているか、によって安全性を判断する指標が、この当座比率になります。

 当座比率は、一般的には、150%以上、少なくとも100%を超えていないと、返済能力が不安視されます。

(4)手元流動性比率

手元流動性比率

 現金預金と有価証券は「すぐに手元から取り崩して使える資金」という意味で「手元流動性」とか「手元資金」と呼ばれます。それを月商(年間売上高÷12)で割った値を手元流動性比率と呼び、月商に対する倍率で表現されます。

 手元流動性比率は、高いほど資金に余裕があり、低いと資金繰りがきついという判断ができ、短期的な支払余裕度を示す指標となります。個人にたとえると、月給の何カ月分の普通預金があるかという意味になります。1カ月分しか手元にないのでは、日々の家計のやりくりが難しいことは想像に難くありません。不意の支出に備えて数カ月分は持ちたいところですが、多すぎるのも資産運用の観点からもったいないと言えます。

 目安となる水準ですが、中小企業全体の平均では80年代後半のバブルの好況期は2カ月もありましたが、今では借入れが厳しく手元資金を取り崩すようになっているため、概ね1~1.5カ月前後が多くなっています。

(5)固定比率

固定比率

 固定比率は、土地や設備など固定資産に投下した資金がどの程度自己資本で賄われているのかを示す指標で、長期的な資金の安定性を評価するのに用いられます。固定資産は、企業経営の中で長期的に使用しながら徐々に収益によって回収していく資産ですから、本来の意味では、固定資産に投下する資金はできる限り自己資本で賄われるのが理想的です。

 固定比率は100%がひとつの目安になります。固定比率が100%を下回っていれば固定資産への投資は全て自己資金で賄っている理想的な姿といえます。

(6)固定長期適合率

固定長期適合率

 固定資産は返済する必要のない自己資本でまかなうことができれば望ましいですが、製造業のように設備投資の大きな企業においては、自己資本だけで固定資産をまかなうことは難しいため、長期的な負債を活用することがほとんどです。したがって、長期支払能力を判断する指標としては、固定比率よりも、固定長期適合率がよく使われます。

 固定長期適合率が100%を超えていると、1年以内に返済しなければならない短期借入金まで使用していることになるため、資金繰りが厳しい状態であると判断されます。

(7)インタレスト・カバレッジ・レシオ

インタレスト・カバレッジ・レシオ

 インタレスト・カバレッジ・レシオは、金融費用から資金調達の安全性をみる指標です。企業の支払利息の支払能力を判断する際に利用し、支払わなければならない利息などの金融費用の何倍の利益を稼いでいるかを見ます。

 一般的には、金融機関(銀行等)が企業にお金を貸す際などに参考にする指標ですが、より厳密にキャッシュフローベースで支払能力を判断する場合は、分子を営業キャッシュフロー額にする場合もあります。

 インタレスト・カバレッジ・レシオが1倍未満ということは、お金を借りて事業をしても、結果は利息分も稼げなかったということであり、かなり危機的な状況と判断されます。金利水準によっても異なりますが、目安としては、10倍以上が理想的と言われています。

最終内容確認 2013年10月

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