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起業マニュアル

起業を思い立ったその瞬間から、実際の起業準備そして開業まで。
起業を目指す人のこんなときどうする?に応えます。
準備をしよう(実践編)
取引先の経営状況をチェックする

会社にとって、取引先の与信管理は非常に重要で、とくに中小企業にとって取引先の倒産は自社の死活問題となります。取引先の信用度をチェックする方法としては、決算書や調査会社の信用調査レポートなどから判断する方法が一般的です。最近では、上場企業などはIR情報を公表している企業が増えているため、ホームページ上のIR情報、決算、四半期報告、各種プレスリリースなどを確認しましょう。しかし、経営を取り巻く環境の変化が大きい現在は、1年に数回程度のこうした調査だけでは不安が残ります。

 そこで、営業担当者などが会社を訪問した際に、社長や従業員の行動、事務所の雰囲気などから、その会社の危ない兆候を読みとることも大切です。いち早くおかしなところに気づく感覚を磨き、「おかしい」と感じたらすぐに調査を開始し、正確な現状把握を行う体制を整えておくことが大切です。

目次

「様子がおかしい」企業の見分け方

チェックポイント
社員の態度が悪い
社員の表情が暗い
伝言が伝わらない
電話の声に覇気がない
公然と自社や社長を非難する
職場がなんとなく荒れている
書類などが片づかず、雑然としている
事務所やトイレが清掃されてない
空き机が多く、極端に片づいている
壁の額縁が曲がっている
机などの配置が乱れている在庫が無造作に積まれ、整理されていない
会社の雰囲気が急に変わった
頻繁に退職や解雇などで人が変わる
突然の人事異動が頻繁にある
急激に職場のムードが悪くなった
社長や経営幹部・経理担当者の挙動が不審である
風邪だ出張だと、急に不在がちになった
社長の家庭に問題があるらしい
役員の間でもめごとがある
幹部社員が急に退職した
未回収の売掛金が増えてきた
自社に取引条件の変更を申し入れてきた
経営や後継者問題に関する話題をもち出すと話題をそらす
ほかの取引先との関係がおかしい
社員が電話で誰かともめていた
出入りの業者や仕入れ先・納入先、取引金融機関などの顔ぶれが変わった
評判の悪い企業と取引をしている

 普段から取引先社員の中に複数の「親しい関係者」をつくっておき、なにかと情報が得られるようにし、同業者の間にもできるだけ多くの人脈をもち、いち早く「噂」が集まるようにしておきましょう。

警報が鳴らされたら

 営業担当者から、「あの会社は何かおかしい」という警報が鳴らされたら、速やかに総務・経理担当者や営業部門の管理者が正確な状況を把握するための調査を行い、必要に応じて経営者など経営幹部に報告する必要があります。

聞き込み調査

 同業者・下請け企業・取引金融機関などから問題の企業の信用状況についてさりげなく情報を集めます。注意点としては、自らその企業に対する信用不安をまき散らし、経営を悪化させないようにする必要があり、知らないことでも知っているフリをして話をあわせ、相手の言葉一つひとつのニュアンスから察しをつけるなどの要領が必要です。

企業の人事・取引先動向をチェックする

 問題の企業について、経営者の交代や経営幹部の退職、連鎖倒産の危険性がある主要取引先の倒産などの目立った動きは、業界紙や一般紙などでもわかります。

チェックポイント
どこと取引をしているか
取引額が一社だけ特別に大きいところはないか。
特定の企業の取引が急に増えていないか。
評判の悪い企業や業績の悪い企業と取引していないか。
どんな取引をしているか
支払い延期の申し入れがある。
商品の納期遅れがある。
取引高が急に増えたり減ったりしている。
決済方法が急に変わった(手形ジャンプの依頼を受けた、債権相殺の申し出があったなど)。
変な噂はないか。
メーンバンクを変えたらしい。
手形が市中金融に出回っているらしい。
融通手形(融手)を扱っているらしい。

不動産登記簿を閲覧する

 不動産登記簿は、各都道府県庁所在地の地方法務局・支局・出張所に備え付けられており、誰でも閲覧することができます。謄本の申請も行うとができます。不動産登記簿は、企業の資産の担保設定状況がどのように変化しているかもわかります。

チェックポイント
担保権が第何位まで設定されているか
はじめに設定された担保権が抹消されず、次々と融資を受ける先が増えていないか。
資産を担保にいれてどのような取引をしているのか
誰が担保を設定しているか。
どのような債権によって担保を設定しているか。
担保権の枠が拡大されていないか。
担保によって得られた資金は何に使われているか。
担保設定時期は集中していないか
本社や工場など主要な不動産を処分していないか
担保設定者に不審な金融機関はないか

 不動産登記簿に登記されている1つの不動産に複数の担保設定がある場合は、資金繰りが厳しくなっている証拠です。市中金融やノンバンクの名が掲載されている場合は取引金融機関から受けられる融資だけでは資金が足りなくなっています。取引先企業が担保権を設定している場合は売り掛け債権が回収できないと判断されています。

決算書を入手する

 非上場企業の場合は上場企業に比べて手に入りにくいのですが、もし3年以上の期間について決算書が手に入れば、それを比較分析することで正確に取引先の経営状況が把握できます。

 以下、とくに注目すべき3つの点についてチェックポイントを解説します。

(1)収益構造の悪化
次のような行動をとる企業は危険信号です。
・販売力を超える生産
・無理な販売のための過剰な値引き
・販売促進のための過大な費用負担
・販路拡大のための売り上げ回収サイトの長期化
・貸し倒れなどのリスク管理不在

チェックポイント
売上高が停滞または減少傾向にないか
経常利益が急に減少していないか
販売コスト、とくに宣伝広告費の急増と金利の負担増が起こっていないか
売上高の伸びを超えて未回収の債権が増えていないか

(2)資金繰りの悪化
リスク管理や資金の安定確保よりも、必要な資金を調達することだけを考える企業は、次のような状況になります。
・借入金融機関の数が増加
・受取手形のほとんどの割引や自振手形の市中金融での割引
・主要取引先に支払い条件の変更や手形ジャンプの依頼
・手元流動資産(現預金・有価証券)の取り崩し

チェックポイント
借入金や金利負担が急に増えていないか
手持ち受取手形の急減や割引手形の急増が起こっていないか
手元流動資金が急に減っていないか
支払い延期によって仕入れ債務が増えていないか

(3)粉飾決算
財務データが順調であるにもかかわらず倒産に至る場合、ほとんど次のような手口で粉飾が行われています。
売り上げの水増し
架空売り上げ、架空在庫、架空の売掛金の計上など
経費の過小計上
期末棚卸資産の水増し、不良債権の貸し倒れ処理、減価償却費の過小計上
会計操作
支払手形と受取手形の相殺、借入金と貸付金の相殺など

チェックポイント
売り上げが伸びているのに社員の士気が低下しているなど、矛盾するところはないか

 以上3つの点で、取引先の信用に不安を感じたときは、すぐに対策をとる必要があります。主な対策は下記のポイントになります。

チェックポイント
取引方法を変える必要はないか
できるだけ与信限度額を減らす。
現金取引を増やす。
不可能な場合には手形に変えてもらう。
極力売り掛けを減らす。
契約書などで債務・債権の所在を証明できるか
取引の状況を確認できる書類(契約書、発注書、受領証、借用書など)をとる。
書類を介さずに取引していたような場合は、社長または担当者に「商品は受領しており未払いの売り掛けが残っている」という一筆をもらうようにする。
債権取り立ての手段を確保しているか
担保取得の可能性を検討。
取引先社長の個人保証を取り付ける。
代物弁済や差し押さえ、仮処分。
積極的な督促。
先方の承諾をとって商品の引き揚げ。
法的措置をとることはできるか
危険度の高い相手に対しては、法的な措置が必要になる可能性もあり。
あらかじめ弁護士と協議しておく。

最終内容確認 2013年10月

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