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起業マニュアル

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準備をしよう(実践編)
商圏調査を行う

商圏調査を行うためには、自店の商圏を確定させることが必要です。一般的には、「最寄り品(日常的に高頻度で購入される商品。野菜・魚・肉・日用雑貨品など )の商圏は、自店を中心とした半径500メートル、買い回り品(その商品を買うために複数の店を見てまわり、価格、スペック、デザインなどを比較して決める商品。家具や電化製品など)では半径1000メートル程度の円形」といった考え方があります。ここでは商圏調査の方法をご紹介します。

目次

商圏の想定

(1)1万分の1の縮尺よりも詳しい住宅地図を用意します。
※書店で購入できますが、ない場合は地図専門会社等に問い合わせれば日本中の住宅地図を購入できます。

(2)来店した顧客にヒアリングした住所を、300人分ほど地図に印を付けます。
※正確な住所でなくても町名と何丁目かまで分かればよいでしょう。

(3)印を付けた顧客の住所の80%程度をカバーする、自店を中心とした円形を太線で囲み、これを商圏とします。
※交通の障害になりそうな川や線路があり、来店までの時間が長くかかる場合は除きますので、完全な円形でなくてもかまいません。

世帯数の調査

 商圏に顧客となる世帯がどれだけあるかを把握します。

市役所(区役所、町役場など)の統計課、総務課に町丁ごとに分かれた世帯数や人口状況について調査した統計資料があります(図書館にある場合もあります)。

まずは、電話で市役所に借用方法や購入方法を確認して入手しましょう。

(1)世帯数を把握する資料を市役所などから入手します。
(2)資料が入手できたら、商圏の町丁別の世帯数を一覧表にまとめます。

商品の消費額の調査

 自店で取り扱っている商品が、年間に一世帯当たりどれだけ購入されているかを把握します。

(1)総務省統計局が編集している「家計調査年報」を購入します。
※これによって毎年の一世帯当たりの品目別消費額がわかります。全国平均分と都道府県庁所在都市分があるので、自店が所在している都市の分があればその都市分を使い、なければ全国平均分を使うとよいでしょう。500品目を超える商品分類がありますが、すべての商品が掲載されているわけではないので、一部類推が必要な場合もあります。
※入手に際しては大型書店に置いてある場合もありますし、(財)日本統計協会に直接注文することもできます。

(2)自店の取り扱い商品ごとの消費額を一覧表にまとめます。

市場規模の計算例

 前述の2項、3項で行った商圏の世帯数と商品の年間消費額の調査をもとに、商圏の市場規模が計算できます。 ここでは酒販店の事例で市場規模を計算してみます。

<設定条件>

  • この酒販店では、ビールと国産ウイスキーだけを取り扱っているものとする
  • 商圏の世帯数は1万世帯とする

品目名 年間消費額
(一世帯当たり)
世帯数 商圏の市場規模
ビール 33,034円 10,000戸 330,340,000円
国産ウイスキー 3,941円 10,000戸 39,410,000円
合計 369,750,000円

※該当商品の(一世帯当たり消費額)×(商圏内の世帯数)が商圏の市場規模となります。
※商圏内に事業所が多く、取扱商品に業務用のものが含まれていれば、世帯数を多めに調整することも可能です。

 この規模の市場を競合店と分け合うことになります。市場規模から自店の販売目標額を設定するには、競合店の営業状況を知っておかなくてはなりません。次の章では競合店調査の方法を紹介します。

 自店と顧客を共有する、つまり商圏が重なる競合店がどこに何軒あるかを把握します。 競合店と認識すべき店舗は、自店と同程度の規模の店ならば商圏の半径を2倍にした円内にある店と考えればよいでしょう。大型店が競合しそうな場合には、競合店の商圏を自店よりも広く考える必要がありますので、大型店のチラシの入れ方や、顧客との会話から判断します。最近では複合販売で思わぬ店が競合商品を売っている場合があります。顧客との会話で情報収集を心がけたり、自分自身でも商圏やその周辺を見てまわることが必要です。 競合店を把握するには、

・問屋へのヒアリング
・タウンページから拾う
・折り込みチラシのチェック
・顧客へのヒアリング
・自分で商圏やその周辺を見てまわってみる

といった方法があります。

競合店の営業状況の把握

 競合店がどこにあるのかを把握したら、その店の営業状況を把握しておく必要があります。チェックポイントを以下に紹介しますので、自店との集客力・販売力の差を検討してみましょう。

<競合店のチェックポイント>

客数 曜日別、時間帯別、男女別、年齢層別など
売り場面積 広すぎず、狭すぎず。業種業態によって適正な面積がある
販売員 人数、男女比、ユニフォームの有無、接客態度など
営業日数 年中無休、定休日、不定休
営業時間帯 曜日によって営業時間を変えているか
商品・価格構成 自店にない商品は
強調しているものは(目立つ場所に陳列している)
価格帯は
店舗概要 レイアウト
商品の陳列状態
照明の明るさ
BGM(選曲、音量)
付帯設備 トイレ
駐車場
空調
エレベーター、エスカレーター
販売促進策 店頭POP
タイムサービス
広告・チラシ
クーポン(割引)
ポイントカード

競合店とのシェア配分の計算事例

 例として、前章にあげた酒販店を自分の店として考えます(以下自店とする)。
商圏の世帯数は10,000でした。このうち3,000世帯がライバル酒販店Aと競合していると仮定します。
店舗面積は競合する酒販店Aが自店の2倍で、品揃えもやはり2倍程度の場合、この競合している3,000世帯を、自店:酒販店A=1:2として配分します。つまり自店分の顧客となる世帯数は1,000で、酒販店Aに流れる世帯数を2,000と考えるわけです。 そうすると、自店の顧客世帯数は10,000(商圏全体)-2,000(酒販店Aの顧客)=8,000となります。
競合店が2店あり、自店を含め3店で分けあう場合でも、同じ考え方で競合する地域の世帯数を店舗面積比で分けあいます。
ただし、競合する世帯数や面積について厳密な数値を算出することが困難な場合は、推定値を用いても問題ありません。

通行客を調査する

 自店の前面道路や近くの大通り、商店街の通行客を調査してみます。

 定量的な面では通行量調査が必要です。定性的な面では、服装や持ち物を観察して通行客のライフスタイルを想像してみることも必要です。どのような層の人が多いか、なぜそうした人が集まっているのかなど、周囲の店舗や施設との関連も含めて検討してみましょう。

 注意すべき点は、特定の層が多いという事実の把握だけにとどまらないことです。たとえば、人口調査ではこの商圏にはほかの層も多くいるのに、ここに少ないのはなぜか、といったことまで考えてみるようにしましょう。

顧客(潜在顧客)のセグメンテーション

 すべての人々にウケる商品を売り込むことは、必ずしも効率的ではありません。顧客のニーズは千差万別で多様化しているため、万人向けの商品を売ろうとすれば商品コンセプトが曖昧になったり、非現実的な価格設定になってしまいます。

 そこで不特定多数の顧客を、ニーズや欲求の違いを認識し、同質のグループに束ねてみましょう。その中の特定のセグメントに照準を合わせてマーケティングの資源を集中投下するのが、マーケット・セグメンテーション(市場細分化)の考え方です。

地理的変数 地域(北海道、東北、関東・・・/市区町村等)
各地域の人口(5千人未満、5千~1万人・・・)
その他地理的特徴(平野部、山間部など)、気候 など
人口統計的変数 年齢/性別
職業/所得/学歴
ファミリーライフサイクル(独身、新婚、既婚者子供有、既婚者子供無・・・)
国籍/宗教 など
心理的変数 ライフスタイル(アウトドア派、インドア派/家族重視派、仕事重視派・・・など)
パーソナリティ/生活価値観
(グルメ好き、ファッション好き、音楽好き、旅行好き、スポーツ好き・・・) など
行動変数 購買状況
求めるベネフィット(経済性、品質、サービス、快適性・・・)
使用頻度
使用率(金額)
ブランドロイヤリティ(忠誠心)など

商圏を歩いて調査する

 まず住環境に注意してみます。一戸建て、マンション、社員寮、公営住宅、社宅など、どういった種類の住宅が多いのか町丁別に調査してみましょう。

 また、商圏にビジネス街がある場合は(特に100メートル以内)、どんなタイプの人が多いのかを知るために、昼休みや出退社時間にその近辺に行ってみることが必要です。 そして、競合店に限らず商圏内のほかの商店を見ることで、さまざまなヒントを得ることができます。逃がしていた客層や、営業上の工夫を発見できるはずです。

 ほかにも交通網の変化や新しい施設の建設など、顧客の動きに影響を与える事象には注意しておくことです。

 商圏調査を実施することが目的ではなく、それを商売に生かさなければなりません。ここからは、その方法をご紹介します。

適切な売り上げ計画を立案する

 過去の数値を材料に考えることは大切ですが、単に前年比○%アップといったものは計画ではなく希望や見込みです。

 市場規模の把握を行い、競合店とのシェア争いを勘案したうえで目標を立てることにより、適切な売り上げ計画を作ることができます。適切な売り上げ計画があってはじめて、適切な仕入れ計画、経費計画、利益計画ができるのです。

競合店の長所を取り入れる

 競合店を調査することで、自店に何が欠けているのかがはっきりします。自店の優位な点を確保しつつ、競合店の長所を取り入れてみましょう。中には店舗の改装といった、多額の資金を必要とすることがあるかもしれません。

 まずは、陳列方法や人気商品の仕入れ、接客方法など、比較的資金がかからないことから始めましょう。

 また、店舗面積などの制約条件から商品の品揃えで勝てないといった事情がある場合には、一定の売れ筋商品に絞るなど、差別化をはかりましょう。

商圏に合った商売

 顧客特性を踏まえた店作りを行うことはあたり前のようで、なかなかできないことです。どうしても、つい過去の習慣にとらわれてしまいがちです。 顧客特性を生かして成功した事例をいくつかご紹介すると、

  • 通行客を調査した結果、人通りの多い早朝と夜の営業時間帯を加えて成功したドラッグストア
  • ワンルームタイプのマンションが増えたことから、単身者用の惣菜販売を強化したミニスーパー
  • 通行客の服装から、人気柄をつかみ、仕入れに生かしたファッション雑貨店
  • 残業の多い事業所に夕方の弁当配達を始めた弁当店
  • 商圏の高齢者の増加をつかみ、人気スポーツの商品をラインに加えたスポーツ店

などがあります。どれも、ちょっとした目のつけどころのよさから売上拡大につながった事例です。

商圏調査を行う

最終内容確認 2013年10月

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