起業マニュアル

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小売業界を取り巻く環境

目次

経済産業省「商業動態統計調査」にみる小売業界の変遷

 経済産業省「商業動態統計調査」によりますと、小売業全体における商業販売額は図1のように推移しています。 1980年に87兆9200億円であった小売業全体の商業販売額は、1992年には約1.7倍の146兆1700億円にまで達し、その後1990年代の間は140兆円台を維持し続け、2000年以降2010年に至るまでは130兆円台の規模で推移してきています。

商業販売額

 2000年から2010年までの商業販売額推移を業種別にみると、図2のようになります。「織物・衣服・身の回り品小売業」と「飲食料品小売業」がほぼ横ばい状態にある中で、「総合小売業(*1)」が減少傾向にあり、そして「その他小売業(*2)」が変動しながらもわずかに増加しています。

業種別商業販売額

 さらに、2000年から2010年までの間の業種別商業販売額伸び率をみると、「織物・衣服・身の回り品小売業」でマイナス9.2%、「飲食料品小売業」でプラス0.4%、「その他小売業」がプラス6.9%と、いずれも10%未満の範囲内での変動であるのに対して、「総合小売業」はマイナス20.3%と大きく売上を落としています(表1)。「総合小売業」は、衣食住にわたるすべての商品を取り揃えて小売する事業所であり、百貨店、デパートや総合スーパーなどが含まれます。

 一方、家電量販店、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどは、特定の商品カテゴリーに集中特化した小売業として、「その他小売業」「飲食料品小売業」などに分類されます。1カ所ですべての商品をカバーする「総合小売業」の苦戦の背景には、上記のような集中特化型の店舗の台頭があると考えられます。

【表1】

業種別商業販売額

 「総合小売業」である百貨店の商品販売額は、2000年から2010年までの10年間で31.7%のマイナスとなっています(表2)。とくに、「婦人・子供服・用品」を中心とした「衣料品」の販売額が大きく落ちています。また、伸び率でいえば、「家具」と「家庭用電気機械器具」が、それぞれマイナス65.6%、マイナス59.6%となっており、売上の大きな落ち込みがうかがえます。この背景には、不況による買い控えのほか、子どもの数の減少、少子化により新たに独立する家族の数が減ったこと、家電量販店の台頭などをあげることができます。

 百貨店における商品販売額の構成比をみると、衣料品の比重が47%と依然高いものの、飲食料品の比重が24%から29%に上がっています。全体的に販売額規模が縮小してきているなかで、デパ地下などの飲食料品部門に関しては、比較的マイナスの影響が小さいといえます。

【表2】

スーパーの商品別商業販売額

 スーパーに関しては、2000年から2010年までの10年間で商品販売額はマイナス0.7%の微減となっています(表3)。百貨店と同じく、「婦人・子供服・用品」を中心とした「衣料品」そして「家具」「家庭用電気機械器具」などの販売額が大きく落ちています。

 一方、「飲食料品」は25.2%の増加であり、唯一伸びている商品ということになります。また、スーパーにおける飲食料品の商品販売額の構成比は64%を占めており、10年前に比べて13ポイント上昇しています。この背景としては、単身世帯の増加により調理済み食品(総菜)の需要が伸びたこと、不況により外食を控え家庭内で食事をする機会が増え食材需要が伸びたことなどがあげられます。

【表3】

百貨店の商品別商業販売額

 人口動態や世帯構造そして経済環境の変化を背景に、衣食住すべてのニーズを満たす従来の「総合小売」から、ターゲットや品揃えをきめ細かく絞った「専門小売」へと、小売業界全体の流れは向かいつつあるようにみえます。

最終内容確認 2011年3月

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