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中小企業経営
多角化経営を考える

近年、経営環境の変化はますます大規模、かつ大変な速さで進展している。こうした変化に適応するために、自社における「事業構造の変革」「リスクの分散」「未利用資源の活用」といった目的を達成する手段として、多角化経営は非常に有効な経営手法といえる。

目次

1. 多角化の類型

多角化を対象顧客と技術の面で細分化すると4つの類型が存在する。以下にその類型の特徴を示す。

1)水平的多角化

蓄積された生産技術を活用し、既存と同様の顧客を対象にして新製品を投入する多角化のこと。

例)

  • オートバイのメーカーが乗用車分野に進出
  • 大手スーパーがコンビニエンスストア事業に進出

2)垂直的多角化

エンドユーザーは変えずに、流通チャネルの川上から川下、または川下から川上へと展開する多角化のこと。

例)

  • 繊維メーカーがアパレル業に進出(川上から川下への多角化)
  • ファミリーレストランが食品加工業に進出(川下から川上への多角化)

3)集中的多角化

技術、対象顧客のどちらか、もしくは両面で関連性を有する多角化のこと。

例)

  • 酒造メーカーがバイオ関連事業に進出(技術面の関連)
  • 文具メーカーがOA機器分野に進出(対象顧客の関連)

4)集成的多角化

技術、対象顧客の両面でまったく関連性をもたない分野に進出する多角化のこと。

例)

  • 鉄鋼会社が半導体事業に進出
  • 機械メーカーがレジャー産業に進出

それぞれの類型により、多角化展開に伴うリスクは大きく異なる。
できる限り既存事業の技術力や販売力などを有効活用できる分野で多角化を進めることが理想である。

2. 多角化の展開方法

多角化のリスクを最小限に抑えるためには、効果的な展開方法を策定し、その展開方法が合理的に機能するための組織を編成する必要がある。
以下にその展開方法と、望ましい組織の形態を示す。

1)自社の経営資源のみを活用する展開方法

a.プロジェクトチームの編成
社内の各部門から適任者を横断的に選出し、新規事業を対象としたプロジェクトチームを編成する。
このプロジェクトチームでは、独自にチームリーダーを選任し、既存の部門や業務とは権限・責任の面で完全に独立していることが前提となる。

b.社内ベンチャー
自社内に仮想のあるいは実際の会社を作り、多角化に取り組む形態をいう。プロジェクトチームと異なるのは、利益責任が生じることとなる。

c.事業部制
各事業部門別に独立した組織を形成し、各々に利益責任をもたせる。
一般的な方法であるが、過度のセクショナリズムが間接部門や投資資金の重複を引き起こし、「逆シナジー効果」が機能することも考えられ、多角化にはあまり向いていない。

2)社外の経営資源を活用する展開方法

a.アウトソーシング、OEM
事業の一過程を、他社に委託する(外注する)展開方法。
例)
  ・ある事業の製造過程を他社に委託する
  ・ある事業の販売過程を他社に委託する

b.事業提携
その事業について実績のあるほかの企業と事業提携をする展開方法。これにより、多角化に伴う投資のリスクを軽減することが可能となる。

c.M&A
進出しようとしている事業分野において、すでに実績のある企業を吸収合併する方法。効率的で事業ノウハウも蓄積されるが、膨大な資金需要が生じるため、多角化のリスクが高まる側面もある。

3. 多角化経営のコントロール

多角化経営を展開することにより、経営全体のバランスの舵取りが非常に難しくなる。
各事業の成長性や収益性、健全性、さらには他事業とのバランスをつねに管理し、以下のような適切なコントロール(統制活動)を行なう必要がある。

1)経営資源の効率的配分

限られた経営資源は、成長性のある事業に対して効率的に配分する。

2)既存事業の活性化

既存の事業において成長力や収益力が低下している場合、その原因を分析し新たな活性化策を施す。

3)シナジーの測定

シナジー効果が十分でない場合は、製造ラインで共有化できる部分はないか、同様の流通経路を利用できないかなど、シナジーを発揮できる方法を模索する。

4)撤退戦略

採算性に限界が生じ、どんな活性化策もシナジー効果もなくなった場合は撤退を決断す。

最終内容確認日2013年10月

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