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はじめて経営計画をつくる

目次

1.なぜ経営計画をつくるのか

1)計画を立てる意義

日々の仕事に追われ、なりゆきにまかせて事業を営んでいては、将来にわたってよい成果を生むことはできない。そのような経営姿勢では、せっかくのビジネスチャンスをものにできないばかりか、急速に変化する経営環境に適応できず、自社の存続さえ危うくなりかねない。
企業が成長していくためには、将来自社の進むべき目標を明らかにして、その実現のためにどのような対策をとるかを多面的に考えていかなければならない。そのような目標を具体化し、計画に落とし込んでいくことが「経営計画を立てる」ということである。

2)現状の問題点を解決する

経営計画を策定するステップとして、将来の目標を設定した後、その目標に向かって何をすべきかを検討する。
そのとき、将来の目標と現状を比較してそのギャップを導き出すことで、現在抱えている問題点や課題が明らかになってくる。つまり計画を策定することにより、現状の問題点を具体化させ、解決策を明らかにすることが可能になる。

3)全員参加で組織の活性化を図る

全社員が参加して経営計画を策定することにより、経営幹部をはじめとして社員の一人ひとりが自社における自分の役割を十分に認識できる。
そのため目標達成に向けて各人が自ら行動するようになり、これが組織の活性化につながる。また、達成までのステップを明らかにすることにより、各時点での進捗度合いを把握することができ、それを定期的に伝えることによって社員のやる気を喚起することができる。

2.経営計画策定のステップ

1)中長期計画と年度計画

経営計画は、大きく「長期計画」「中期計画」「年度計画」の3つに分類できる。
一般的に長期計画は5~10年単位、中期計画は3~5年単位で作成する。近年では経営環境の変化が激しいために長期計画がつくられることは少ないようである。まずは「中期計画」をつくってみる。この計画は毎年見直して修正を加え、さらに1年分追加してつねに3~5年先の計画が立てられている状態にする。年度計画は中長期計画の初年度計画に該当するもので、さらに具体的推進策が盛り込まれた内容になる。

2)計画策定のステップ

経営計画の策定は、ほぼ次のようなステップにしたがって行なわれる。

<策定のステップ>

1:経営理念、経営方針の明確化

2:経営力の分析

3:環境変化の予測

4:中長期目標の設定

5:次年度マスタープランの策定

6:次年度部門計画の立案

7:全体計画と部門計画の調整

8:計画書の作成と発表会の準備

9:計画の発表

3)計画策定の心がまえ

計画を立てること自体が目的ではない。自社の将来の目標に向けて具体的な実行手順を示したものが計画である。計画と行動が結びつくようにするためには、次のような点に注意してつくるようにする。

<進 め 方> ○全員参加で経営計画を立てること
<計画内容> ○前年度の反省を生かして計画を立てること
○全体計画に基づく実行目標を具体的に掲げること
○計画は月別に立て、具体的にイメージしやすいものにすること
○利益計画と資金計画が連動していること
<体  制> ○計画の遂行に対する責任・権限体制を明確にすること
○計画達成の評価が正しく行なえるよう体制を整えること

3.経営理念・経営方針を明らかにする

経営理念とは、経営者が企業経営に対してもつ基本的な価値観、態度、信条のことである。
これは、「自社は何のために経営するのか」を社内外に表わすものであり企業として社会的責任を遂行するための基礎となるものである。したがって、経営理念は経営者自身の価値観や経営思想に基づき、さらに社会から受け入れられ、社員の行動基準とならなければならない。そして経営者はこの経営理念を守り、経営を正しい方向に導く努力をしなければならない。
経営計画の策定は自社の将来のあるべき姿を設定するものであるから、経営理念を明らかにし、「何のために経営するのか」を明文化する。そして、これを事業と結びつけて、事業の運営方針まで定める。これが「経営方針」であり、経営理念をもとに「自社がどのように事業を運営していくか」を示したものである。

4.経営力の分析と自社を取りまく環境変化の予測を行なう

経営計画策定の前提として、まず自社の経営力の分析と自社を取りまく環境変化の予測を行なう。次にそれぞれの方法についてご説明する。

1)経営力の分析

将来の計画を立てるためには、まず、正しく自社の現状を把握することが必要である。現状の分析を行ない自社の長所と短所を把握したうえで、長所を伸ばし短所を補うための方策を検討し、経営力の強化を図る。
経営力を正しく判断するためには、
 ・経営活動からの分析
 ・決算書を基にした経営諸比率からの分析
を行なうとよいであろう。
経営活動の分析項目としては業種分野、販売力、生産力、組織編成、組織風土、および経営者層のリーダーシップといったものが考えられる。
たとえば、業種分野であれば、事業の成長発展性、製品の成長発展性、新分野への進出などの開発性といった点から評価する。また、販売力であれば販売政策、得意先編成、市場開拓力、販売管理能力であり、組織編成であれば社員の規律、マナー、組織の活性化度合い、指示命令系統など組織機構の完成度があげられる。
決算書に基づく経営諸比率からの分析とは、決算書のデータを基に企業の安全性、成長性、収益性、生産性を分析し、総合的に点数評価し、財務的な視点で、問題点と改善点を指標から明らかにする方法である。現状を客観的に計数で把握することができるため、事業部間、あるいは経営者と幹部層の間で現状認識が異なる場合の判断材料として有効な手段である。

2)自社を取りまく環境変化の予測

企業はさまざまな環境要因の影響を受ける。将来の自社の方向性を考えるにあたって、これらすべての変化を予測するのは困難であるが、ある程度予測し、環境変化をチャンスととらえ、適切な施策を考えることが望まれる。環境変化には社会環境と自社を取りまく直接的な環境とがある。次に環境変化の要因のおもなものをまとめる。

【社会環境】

 ・社会、政治、経済(好・不況、出生率の低下など)
 ・技術(新素材、バイオテクノロジー、コンピューター化など)
 ・消費者価値観(価値観の多様化、豊かさの追求、余暇の充実など)
 ・法改正(規制緩和、税制改正など)
 ・金融(円相場、金利、株価など)
 ・労働(賃金水準、採用状況、福利厚生の社会動向など)

【自社を取りまく直接的な環境】

 ・仕入れ先の商品、原材料の動向
 ・得意先の戦略
 ・顧客のニーズ
 ・新設備の開発動向
 ・販売チャネルの変化
 ・技術開発の動向
 ・同業他社の動向

環境変化の要因を正しくとらえ、これらの要因が自社にどのような影響を与えるかを予測し、そのための対策を検討していく。さらに中長期の目標を設定するときに、この環境分析を基に重点的に取り組む必要のある課題をピックアップして検討する。

5.中長期目標を設定する

3、4で検討してきたことを基に、自社が進むべき中長期的な方向性を決定する。目標設定の視点は、
 ・自社がどのような分野に進んでいくのか
 ・どのような商品を扱っていくのか
である。
現在の事業を継続していくのか、それとも事業の幅を広げていくのか、市場は同じであるが商品を充実させていくのか、新しい事業分野へ進出していくのか、などを選択する。
ここまでを決定したら、次に、これを実現するためには
 ・どのような組織体制が望まれるか
 ・どのような社外ネットワークが必要か
 ・どのくらいの企業規模が適正か
 ・どのような設備投資が必要か
といった目標達成のための具体的イメージをある程度示する。

6.次年度マスタープランを策定する

計画の骨子となる基本計画をマスタープランという。計画を立てるには、まず、マスタープランを作成し、これを土台として各部門で話し合いを進め、全体計画をまとめていく。各部門ではマスタープランにそって、部門計画を作成し、全部出そろったところで部門としての意見や見通しを発表して全体計画と部門計画の調整を行なう。
マスタープランの作成は次の手順で進める。
 1)翌年度重点方針の決定
 2)商品、市場別の計画の設定
 3)開発投資計画の策定
 4)売上利益計画の骨子策定
ここでは各ステップのポイントについて説明する。

1)翌年度重点方針の決定

4.で得られた結果を参考にしながら5.の中長期目標を実現するために「翌年度は何に重点的に取り組むべきか」をまとめる。このとき、今年度の計画のなかで実行できなかった点など課題を洗い出し、現状に則した目標となるよう心がける。重点方針が決定したらこれを実現するための組織編成についても検討する。
重点方針の表わし方は、売上高や労働生産性など数字で表わせる方針であっても、また「販売力を強化する」「代理店ルートから直販ルートへ転換する」といった数字では表わせない方針であってもかまわないが、できるだけ具体的に設定し、1年後自社がどのようになっているのかがイメージできるようにする。

2)商品、市場別の計画の設定

次に、自社がターゲットとしている顧客の分類を見直し、さらに商品の品揃え計画を立てる。
ターゲットとする顧客の編成については、自社の顧客別売上構成や利益状況を分析して、これから売上の拡大が見込まれる顧客、縮小が見込まれる顧客などを把握し、今後の営業政策に適した顧客分類を行なう。
商品計画についても同様に現在の商品分類別の売上高と利益の状況を把握したうえで、今後の営業政策に適した商品の再分類を考え、品揃えを検討していく。
これを基に中長期の目標と照らし合わせ、今後どの分野に力を入れていくかといったことを検討し、分野ごとの売上高と利益を予測する。

3)開発投資計画の策定

投資は将来の事業発展に大きな影響を与えるものであり、また多大な資金を必要とすることから、慎重に計画を立てなければならない。過大な設備投資を行なって経営が行き詰まり、倒産するといった例も多く見受けられる。
計画を立てる際は、設備投資と人材開発投資と研究開発投資とを別項目として検討する。
設備投資の計画については、投資の見積もりを行なった後、採算予測を行ない、投資により得られる利益と債務のバランスを比較する。

4)売上利益計画の骨子策定

この段階における利益計画は、各部門の立てる部門計画の指針となるものなので詳細にわたる必要はなく、概算で示す。まずは、前年度の実績利益を参考に来年度の目標からみた売上を予測し、目標利益を設定する。
これに必要となる費用を加算して目標とする収益を算出する。必要となる費用については人件費の増加分や研究開発費などを考慮する。

以上、1)~4)までの内容をマスタープランとして表にまとめ、各部門へ提示する。

7.部門計画をまとめる

部門計画は次のような手順でまとめる。
 1)各部門へのマスタープランの提示
 2)部門方針と部門予算骨子の作成
 3)部門メンバーによる方針の確認
 4)全体計画と部門計画の調整
 5)個人目標の設定

ここでは、各手順のポイントについて説明する。

1)各部門へのマスタープランの提示

はじめて各部門へマスタープランを発表することになる。マスタープランに対してどの程度理解を得られるかによって、今後、各部門で部門計画を立案する際にどれだけの協力を得られるかが変わってくるので細心の注意が必要である。

2)部門方針と部門予算骨子の作成

まず、自部門の今年度実績見込みを予測し、これを基にマスタープランにそって翌年度の部門予算骨子を立案する。
ついで、今年度の方針で十分に成果が上げられなかった施策についての反省を踏まえ、また翌年度の全体方針との整合性を考慮しながら部門予算の見込みおよび部門方針をまとめる。さらに計画実現のための組織編成も部門方針に盛り込む。

3)部門メンバーによる方針の確認

計画策定は上から押しつけられたものではなく、自主的に自分たちの意思で行ない、各人が経営に参加しているという意識をもつことが必要である。そのために部門方針と予算骨子を策定した後、これを部門メンバーに提示し、全員で検討を加え、計画実現に向けて全員の意思を確認する。この際、事前にマスタープランと重点方針について十分な説明を行ない、理解を求めるようにする。

4)全体計画と部門計画の調整

部門から積み上げられてきた予算と全体の売上利益計画マスタープランを比較検討してそのギャップを明らかにする。部門予算とのギャップの原因や予算の妥当性を判断し、全体予算と部門予算の調整、あるいは部門間の予算の調整を行なう。互いが納得し実現可能な計画となるように具体的な根拠をもって調整を行なうようにしなければならない。予算の根拠として具体的な施策を示すとともに、その対策の期限や担当を決めるなどの取り組みが必要である。

5)個人目標の設定

部門方針が実現できるかどうかは部門全員の努力にかかっている。とくに責任者のリーダーシップが問われるのである。したがって、調整が終わり予算がまとめられたら、部門予算および方針を実現するために部門責任者が取り組まなければならない課題を、行動目標として設定する。その課題を遂行するための部門責任者自身の能力開発目標も付け加える。さらに各部門メンバーの個人目標も同様に設定する。目標を設定する際は抽象的にならないよう気を付け、現状の自己分析を基に具体的に何をするかを掲げる。

最終内容確認日2013年10月

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