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飲食業
飲食店の環境問題対応

本レポートは、飲食店の経営者の方を対象として、飲食業における環境問題への対応について紹介している。

目次

1.深刻化が進む環境問題

日本の消費者の環境に対する意識はまだ欧米なみに高いとはいえないが、消費者の価値観やライフスタイルの変化の兆しは、ゴミの分別回収やリサイクルへの取り組みなど、徐々に表われてきた。「物を大切にかつ節約して使用し、リサイクルに協力する」といった地球にやさしい消費スタイルが浸透し、大量生産・大量廃棄社会から適量生産・適量廃棄社会への移行が進んでいるのだ。

また、食料品や日常使用する生活用品においても環境や健康にこだわった商品が注目されるなど、環境に配慮したビジネスや経営戦略が求められている。

さらに、消費者の企業に対する評価にも、「地球にやさしい企業」の視点が重要視されるなど、環境への配慮が企業の経営状況に強い影響を及ぼすようになってきた。

2.飲食業と環境問題

1)飲食業における環境問題

先述のような環境問題は、飲食業経営にも大いに関係している。日々の営業活動で問題が発生する可能性があり、その主要な原因と対応策としては次のようなものが挙げられる。

●飲食業において想定される環境問題とその原因および対応策(主要なもの)

環境問題 原因 対応策
オゾン層破壊
冷蔵庫・冷凍庫・冷房設備などでの冷媒としてのフロンガスの使用
フロンガスを使用した発泡スチロールの使用
フロンガス代替品の使用
フロンガス代替品使用機種への変更
廃棄フロンガスの回収
大気汚染
水質汚染
化石燃料の燃焼
(電気・ガス・ガソリンなどのエネルギーの使用)
省エネルギー
(使用機器の変更、配送車や配送システムの見直し)
クリーンエネルギーの使用
紙など木材使用製品の使用
木材使用製品の使用の抑制
(IT化によるペーパーレス化など)
再生紙の利用
有害物質の排出
有害物質の使用中止
代替品の使用
廃棄物処理
食品廃棄物などの排出
廃棄物の廃棄抑制
資源のリサイクル

このような環境問題への対応が必要な理由としては、「顧客や社会の要請」「無駄なコストの抑制」「従業員の勤労意欲の向上」「事業・産業存続のための保険的な対応」などが挙げられる。

企業の環境保全に対する取り組み姿勢は、消費者が商品やサービスを、また企業が取引先や投融資先を選別する際の基準のひとつにもなっているのだ。企業の危機管理体制が注目されている昨今、環境問題もリスクと認識して対応しなければ、企業としての存続・成長は望めないといっても過言ではないだろう。

2)飲食業における対応事例

ワタミフードサービス株式会社
居酒屋「和民」をチェーン展開するワタミフードサービス株式会社は、ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)体制の確立を目指している。食品廃棄物(生ごみ)について排出量の削減やリサイクルシステムの構築を進めるほか、電気・水などのエネルギー使用量の削減、洗剤の使用の抑制や使用方法の改善なども行なっている。正社員だけでなくパート・アルバイトにも理解しやすいマニュアルづくりなど、独自の管理システムを築き、1999年 7月に業界でいち早く環境関連の国際規格「ISO14001」の認証を本部および全店舗で取得した。

株式会社アレフ
ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」などをチェーン展開する株式会社アレフの環境問題への対応は、「目先の利益より環境や安全を優先する」という同社の企業理念に基づいている。内容は、生ごみや天ぷら油などの食品廃棄物のリサイクル、無リン洗剤や再生紙の使用、天然ガス車やリサイクル可能なユニフォームの導入など多岐にわたる。生ごみは同社直営の牧場や農場で堆肥にし、そこで育てた安全な食材を自社店舗で使用。また、使用済み天ぷら油は軽油代替燃料に再製造して配送車の燃料として使用するなど、事業活動全体のなかで総合的な取り組みを推進・継続している。

3.食品リサイクル法への対応

飲食業における重要な環境問題のひとつとして廃棄物処理の問題があります。食品廃棄物の排出抑制と再利用に関する「食品リサイクル法」が2001年5月に施行され、飲食企業も対応を迫られています。そこで、「食品リサイクル法」の概要と飲食業における対応について解説していきます。

1)ひっ迫する廃棄物処理問題により誕生した食品リサイクル法

「食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用などの促進に関する法律)」。 これは、深刻化している廃棄物(ごみ)処理問題の解決を目指して、飲食店、スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店、食品メーカーといった食品関連事業者による、食べ残しや売れ残りなどの食品廃棄物(生ごみ)について、排出を抑制するとともに肥料や飼料としての再利用を促進するために制定された法律。 2001年5月に施行された。

「食品廃棄物」は、食品の製造段階で排出される産業廃棄物と流通段階(卸売、小売)・消費段階(外食、家庭など)で排出される一般廃棄物に区分される。このうち食品リサイクル法の対象となるのは、家庭から排出される一般廃棄物以外のもの。

食品廃棄物 製造段階(食品製造)
食物残し等 
産業廃棄物
流通段階(卸売、小売)
売れ残り等
一般廃棄物
消費段階(外食、家庭など)
調理くず
食べ残し等

食品リサイクル法が制定される前、厚生省(現・厚生労働省)が行なった調査によると、食品廃棄物の排出量は1996年時点で2000トン弱。このうち再生利用されているのはわずか9%で、残りの91%は焼却埋立処分。これが最終処分場問題に大きな影響を与えており、食品廃棄物の抜本的な再生利用が声高に求められるように。この問題を解決するために、農林水産省と厚生省が検討を重ねた結果、食品リサイクル法が制定されたのだ。

2)食品リサイクル法の概要

食品リサイクル法は、食品循環資源の再生利用などを総合的かつ計画的に推進するために指標となる基本方針を定めており、具体的な再生利用などの目標値として、5年後(2006年)に食品廃棄物の年間排出量20%削減を掲げている。ここでいう「再生利用など」とは、「発生抑制(=食品廃棄物などの発生を未然に抑制すること)」「再生利用(=食品循環資源を肥料、飼料そのほかの製品の原材料として利用すること)」「減量(=脱水、乾燥その他の手法により、食品廃棄物などの量を減少させること)」を指す。

●食品廃棄物の循環システムのモデル例

なお、とくに食品の製造、加工、卸売または小売を行なう者(食品メーカー、百貨店、スーパーなど)、飲食店業その他食事の提供をともなう事業を行なう者(食堂、レストラン、ホテル・旅館など)といった「食品関連事業者」においては、事業活動にともなって食品廃棄物が恒常的かつ一定量発生することから、食品廃棄物の排出量が一定量(年間100トン)以上の事業者に対しては、取り組みが不十分な場合には勧告・公表・命令の措置が行なわれ、命令に従わない場合には罰則が適用される。

3)食品廃棄物の再生利用などのための関連製品

食品廃棄物の減量化手段としては「脱水」「乾燥」「発酵」「炭化」が考えられる。農林水産省によると、外食産業での取り組み状況は「発酵」がもっとも多く、ついで「脱水」、「乾燥」の順となっている。

前述のように食品廃棄物の処理方法はひとつではなく、また、飲食店などの食品リサイクル法への対応を促進するため、さまざまな製品が開発・発売されている。製品によって処理能力や1回の処理可能量などが異なるため、購入時には店舗規模や業態にあったものを選定したい。生ごみ処理機は大きくわけて次のように分けることができる。

◆バイオ式

消滅型: 微生物などを使い、生ごみを炭酸ガスと水に分解し減量・減容する方式。減量率はほぼ100%だが、分解時に発生する「臭い」への対策が必要となる。
コンポスト型: 微生物などを使い、生ごみを炭酸ガスと水に分解し減量・減容する方式。排出されたものはたい肥として有効利用できるが、残さ物が残るため引取先を探すなどの処理が必要となる。

◆乾燥式

電気などのエネルギーを利用して生ごみを乾燥させ、減量・減容する方式。バイオ式での排出物に比べ臭いは少ないが、電力を使うためコストがかかる。また、たい肥として利用する場合は、2次処理が必要となる。

なお、食品リサイクル機器により、循環型社会の構築と環境保全に寄与することを目的とした業務用生ごみ処理機等メーカーの団体「食品リサイクル機器連絡協議会」が設立された。同団体は食品リサイクル機器の性能に関する表示項目や評価方法からなる性能基準を業界の自主基準として定めた「業務用生ごみ処理機性能基準」を設けている。購入時にはこれらの表示を判断材料として活用するとよいだろう。

最終内容確認日2007年12月

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