トップページ  >  起業する  >  経営ハンドブック  >  飲食店の計数管理

飲食業
飲食店の計数管理

本レポートは、飲食店の経営者あるいは店長の方を対象として、売上を伸ばし、人件費・原材料費・諸経費を管理する方法を紹介している。

目次

1.売上アップのポイントは「客数」「客単価」

飲食店経営で成功するには「売上のアップ」「人件費・原材料費のコストダウン」、さらに「他諸経費の適切な管理」が重要。中でも最初に考えるべきは「売上のアップ」。
基本となるのは、売上高=客数×客単価という計算式である。まずは、客数アップと客単価アップの方法を解説しておく。

1)客数をアップさせる

客数は「客数=(固定客×来店頻度)+初回客」で計算できる。単純に考えれば、客数をアップさせるためには、固定客を増やし、固定客の来店頻度を上昇させ、初回客をより多く獲得すればよいのだ。そして、初回客を固定客にしていくことが重要。なぜなら、初回客を次回の来店につなげられれば、固定客の増加となるわけだから。さらに固定客は次回1人で来店することは少なく、通常2、3人で来るもの。もしも1日3人の初回客を固定客化することができれば、あくまでも例えだが、次のような売上につながる(固定客は月1回来店するものとする)。

初回客3人×2.5人(次回の来店客数)×客単価1300円  = 9750円(次回の売上増)
9750円×月平均来店頻度1回×25日(1カ月当たり営業日数)  = 24万3750円(1カ月当たりの売上増)
24万3750円×12カ月 = 292万5000円(1年間の売上増)

以下に、初回客を固定客に変えるためのポイントを説明する。

(イ)来店とオーダー時のポイント

  • 初回客の場合、できるだけ店長が案内し、丁寧な接客を心がける。
  • 伝票に初回客ということが分かる印を付けておく。

(ロ)調理・配膳・食事中のポイント

  • 初回客である伝票の印をスタッフ全員が共有し、ていねいな調理、サービス、食事中の気配りを徹底する。

(ハ)食後のポイント

  • 食事後に、店長がテーブルへ行き「お料理はお口に合いましたか」「お薦めした○○はいかがでしたか」といった話題を作り、店に対する好感作りを心がける。
  • アンケートを用意していれば、ここでアンケート用紙を渡し、次回来店を促進するドリンク券やデザート券などを提供する。

(ニ)会計・帰りの際のポイント

  • レジを担当した従業員はマークを確認し、念入りにお礼を言う。
  • またこの際、不手際はなかったか、料理は満足できたかなどを確認する。
  • 出口まで見送る。

以上のような行動を徹底できれば、初回客が固定客となる可能性は高くなり、冒頭で計算した売上アップにつなげることができる。

2)客単価をアップさせる

客単価は「客単価=1品平均単価×1人当たりの買い上げ個数」と計算できる。具体的には平均いくらの単価の商品(1品平均単価)を1人の客に何個買い上げてもらい(1人当たりの買い上げ個数)、満足感を作り出すかということ。たとえば、多くの居酒屋では1皿当たりの分量を減らして多くのメニューを楽しめるようにし、買い上げ個数を伸ばすことにより客単価アップを狙っている。
効果的な単価アップの方法として、メインディッシュに主力サイドメニューを併せて販売する方法があげられる。代表例が、ハンバーガー店でのソフトドリンクやポテトなど。この方法なら、客に抵抗感なく、客単価アップが可能となる。

主力サイドメニューとしては次のようなものを選択するとよい。
・ 粗利益の高いメニュー
・ オペレーションを乱さず、スピーディーに提供できるメニュー
・ プラス1品として抵抗感のない価格のメニュー
・ メインディッシュと共に飲食しても適正な分量のメニュー

2.人件費+原材料費は売上の60%以下

売上アップを達成したら次は飲食店の二大原価である人件費、原材料費の管理。この2つは原価に占める割合がもっとも多いことから「プライムコスト」と呼ばれ、売上の60%以下に収めることが飲食店の健全経営や業態開発のためのポイントであるといわれている。

プライムコスト以外のコストは、「諸経費」「賃借料・支払利息・減価償却費など」があげられる。諸経費に含まれるものは、電気・ガス・水道といったエネルギーコスト、備品・消耗品費、修繕費、広告宣伝費、クリーニング代・おしぼり代・洗剤代といった衛生費や雑費など。これは営業形態に関わらず、合計で売上の12~15%が必要。また後者の合計も売上の15~25%程度。つまり、諸経費と賃借料・支払利息・減価償却費などを合計すると27~35%になるため、利益を残していくためには、人件費+原材料費を売上の60%以下に抑える必要があるのだ。

3.人件費管理のポイント

1)基本公式をマスターする

ここでは、外食事業に必要な人件費管理に関する基本的な指標と公式を示し、それらの意味を説明すると共に、標準値と目標値を設定する方法を解説する。

(イ)人時売上高

人時(にんじ)売上高 = 売上高÷全従業員の労働時間数合計
標準4000円   目標5000円以上


全従業員の1人1時間当たりの売上高。当然高いほど生産性が高い。

(ロ)人時接客数

人時接客数 = 来店客数÷全従業員の労働時間数合計
標準3.5人    目標4人以上


全従業員の1人1時間当たりの接客人数。したがって「人時接客数×客単価=人時売上高」となる。喫茶店やコーヒーショップなどの客単価の低い業態の場合、人時接客数は目標値の4人でも客単価が800円なら、人時売上高は3200円で目標値以下。人時売上高と人時接客数双方でのチェックが必要なのだ。

(ハ)人時生産性

人時生産性 = 月間粗利益高÷全従業員の労働時間数合計 = 1人1時間当たりの粗利益
目標4000円以上


1人当たりの実質上の稼ぎ高。当然、数字が高いほど生産性が高いことを意味する。また、「人時生産性=人時売上高×粗利益率」として表わすこともできる。この指標はとくに重要なので次節で詳しく解説する。

(ニ)売上高対人件費率

売上高対人件費率 = 人件費÷売上高
標準23~28%   目標25%以下


この標準値に社員の法定福利費や福利厚生費などは通常含まない。また募集費や教育研修費などを人件費に含めて考える場合、標準値は2~3%上昇する。

(ホ)労働分配率

労働分配率 = 人件費÷粗利益
標準38~42%   目標35~37%


粗利益に占める人件費の割合。労働集約型の外食企業では、もっとも大切な指標のひとつ。したがって、自店の労働分配率が標準値に収まっていない場合、原材料費率と人件費率のバランスを見直す必要がある。場合によっては、メニュー数や調理加工度、厨房設備や店舗レイアウト、オペレーションなど抜本的な改革が必要。

以上の指標の目標値を達成するうえでポイントとなるのはパート・アルバイト(P/A)比率を高め、P/Aの人件費を変動費化させること。そのためには、適正な労働時間数、適正なP/Aの組み合わせを行ない、各自の勤務可能曜日や時間帯を調整したうえで週間ワークスケジュールを組み、オペレーションを行なうことが必要となる。また、賃金体系を見直し、やる気や責任感あるP/Aが時給アップや資格給により高給を得られる仕組みを作ることも効果的だ。

2)人時生産性を高める

ここではもっとも重要な指標である人時生産性を高めるポイントを解説する。

(イ)メニュー数の絞り込み

作業の絶対数と種類を減らすため、客の満足度を優先しながら、メニュー品目を可能な限り削減する。メニューが減ることで扱う食材数も減り、棚卸し、発注、検収作業が軽減できるため、P/Aへの作業委任もしやすくなる。また食材の保管スペースも小規模ですみ、仕込みの作業時間数も軽減できる。さらに、料理提供時間のスピードがアップし、客席回転率が上がるため、繁忙時間帯での客数拡大が可能となる。

(ロ)業態に合わせたサービスレベルの確立

基本的なサービスを維持しながら、必要のないサービスを廃止して作業数を減らす。たとえば、ラーメン店であれば、お冷など中間サービスは行なわず、テーブル上に水差しをセットしておき、セルフサービスで客に水をついでもらう。また居酒屋で提供する鍋であれば、具をあらかじめP/Aを使って鍋に盛り込んでおくなどが考えられる。

4.原材料費管理のポイント

粗利益は、原材料費率の割合によって決定される。たとえば、ひとつのサラダに使うレタスの量30gを基準としてサラダを作る場合。
レタスの一部が傷んでいて使える部分が少なかったり、サラダひとつにレタス50gを使ってしまうと、当然だが、ひとつのレタスから作れるサラダの数が減ってしまう。 また逆に、基準より20g少なく盛り付けた場合、確実に客から不評を買ってしまう。
このようなケースを招かないためにも、原材料管理によって分量管理を厳密に行なう必要がある。具体的には以下の指標を使って管理を行なう。

(イ)標準原価率

標準原価率 = (各メニューの販売数×各メニューの標準原価÷今月の売上高)×100

この数字が、原価管理の目標値となる。

(ロ)実際原価率

実際原価率 = (月初の棚卸し額+今月の仕入額-月末の棚卸し額)÷今月の売上高×100
実際原価率と標準原価率との差が原材料ロス。よって、実際原価率を標準原価率にどれだけ近づけるかが重要となる。その際のチェックの視点として、
・毎月の棚卸しで在庫の価額をつかむ。
・仕入単価が当初の契約通りであるかどうかをチェック。
・歩留まり単価(*)が自店と業者との当初の契約通りであるかどうかチェック。
・材料ロスを究明する。
・ポーションチェックを行なう。
*歩留まり単価:仕入価格÷標準歩留まり率で表わす。
肉や魚、野菜は仕入れたままのものをすべて料理に使えるわけではない。そこで、標準歩留まり率を決めておき、仕入時に歩留まり率をチェックすることが大切である。

5.諸経費管理のポイント

諸経費それぞれの費用は小さく目立たないものが多いだけに、管理がなおざりになりがち。小さな費用であるからこそ、日々の管理を徹底しなければならない。

1)水道光熱費の管理

諸経費のなかで、もっとも大きな割合を占めるのが電気、ガス、水道といったエネルギーコスト。通常、売上対比5~8%。照明スイッチの消し忘れ、クーラーのフィルターを清掃しないために起こる電気代の無駄、蓋をせずにお湯を沸かすといったガス代の無駄、水を出し放して食器を洗う水道代の無駄など、どれも心当たりのあるものが多いだろう。
そこで役に立つのがメーターのチェック。これは毎日、同じ時間に実施すること。それによりまず、先述のようなミスで使用量がかなり変化することが認識できる。次は売上対比による水道光熱費の週間チェック。方法は各エネルギー使用量を週間で合計した後に、週間使用量をエネルギー使用金額に換算する。これを週間売上で割れば、各エネルギーとも売上対比○%が判明する。この数字を前年同週の数字と比較し、極端な異常値が発生した場合、その原因を究明し対策を立てる。

2)備品・消耗品の管理

備品・消耗品の管理で大切なことは、適正在庫量の把握。そして、この数字を下回ったときに新たな発注を行なうこと。これを徹底できれば、紙ナプキンや楊枝を切らすなど、客に不快感を与えることも防ぐことができる。また、食器類を管理するうえで重要なことは、むだな紛失、破損を防ぐこと。たとえば、スプーンなどは残飯やおしぼりなどと一緒に捨ててしまうこと多い。これを防ぐには、下げ台の置き場所を食器ごとに分類すること。さらには、食器の下げ方をきちんとマニュアル化しトレーニングすることも重要。

3)衛生・サービス費の管理

具体的にはおしぼりを客に出す以外に使用していないか、マットが必要のないところに設置されていないかなど、考えられるすべての項目を洗い直すこと。そして必要なければそのサービスを取りやめたり、業者を変えることも検討してみる。

4)小口現金の管理

店舗の現場では、ホチキスの針やコピー代、電球切れなどちょっとした買い物が頻出する。これらは少額の現金で処理できるため、中小店ではレジの現金から出し、日報などで報告させる方法が多い。しかしこのやり方では問題が発生する。売上と釣銭が厳正に管理されるべきレジから出金されるため、現金管理に対する従業員の認識が薄れてしまう。また、小口現金は便利なため頻繁に利用してしまい、使用額が増えやすく、諸経費管理に対する意識も低下する。したがって、月次で使用内容を報告するなど、小口現金の取り扱いに関するルールを定めておくべき。

最終内容確認日2013年10月

Copyright © WizBiz Inc.
このコンテンツの著作権は、WizBiz株式会社に帰属します。著作権の承諾なしに、無断で転用することはできません。

テーマ別

  • 起業・開業
  • 新規事業
    経営計画立案
  • 経営診断
  • 販売促進
  • 中小企業経営
  • 法 律
  • 人事・労務
  • 経理・財務

業種・業態別

  • フランチャイズ
  • 小売業
  • 飲食業
  • サービス
  • 医 療
このページの先頭へ
起業するコンテンツ一覧
  • 事業計画作りや実際の起業準備そして開業まで。起業を目指す人の『こんな時どうする?』に応えます。

  • 法律知識や経営診断など、起業準備段階はもちろん、実際に起業・開業してからも使える豊富な情報を掲載。

  • 『国の補助金を活用して創業するには?』についてご説明します。

  • 中小企業や個人投資家にとってのメリットを、その仕組みや優遇措置について詳しくご紹介します。

  • 起業・開業を考えている職種の消費者利用動向がすぐにわかる、職種別データ一覧。

  • 200以上の業種・職種から選べる開業準備手引き書。

  • 最新のビジネストレンドや中小企業が直面する経営課題など、読み物コンテンツをまとめています。

  • 若手起業家にインタビュ—。「社会人起業」と「学生起業」それぞれの選択を対比しながら起業のカタチを探ります。