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サービス業
ベビーシッター・サービス
「ベビーシッター」という言葉はわが国でもかなり定着しているものの、そのサービス内容に関しては法令等に定められた定義はなく、公的資格制度も存在していない。一般的には、「雇われて居宅にて、親に代わり子の面倒を見るサービス」を指す場合が多い。わが国で、独立したビジネスとしてベビーシッター・サービスが始まったのは、昭和40年代のことと言われている。かつては富裕層向けのサービスと捉えられていたが、核家族化の進展、共働き世帯の増加、そして、少子化に伴う1人あたり養育費の上昇等が背景にあり、日本においてもベビーシッターを利用するケースが増え、社会的認知度も上がってきている。

ベビーシッター・サービスは開業にあたって登録や認可が必要ないため、個人での開業など小規模事業者も多く、正確な事業者数は把握されていない。業界団体である全国保育サービス協会(旧 全国ベビーシッター協会)への登録事業者数は94社(平成24年度)であり、同協会の推計では、ベビーシッター・サービスを行なう事業者数は、約800社ほどである。

業界内の構成としては、全国保育サービス協会の会員企業の平成22年のベビーシッター・サービス売上は1,000万円~5,000万円未満が半数近くを占め、1億円を超える事業者は1割に満たない。さらに、協会に登録していない個人事業者も多数存在しており、全体として小規模事業者が多い業界だと言える。多くの企業は首都圏、大都市に分布しており、都市型サービスであることがうかがえる。
ベビーシッター・サービスの認知度が上がり、参入業者が増え競争が激しくなっている中、介護や家事代行サービスなども含めた在宅サービスを多角的に展開する企業も出てきている。

全国保育サービス協会がベビーシッター・サービス利用者を対象に行なったアンケートによると、利用場面・理由としては、「仕事のとき」が68.9%、「保育園・塾などへの送迎ができないとき」が36.1%、「子供が病気のとき」が34.4%、「冠婚葬祭などの社会的事由」が23.9%、「自分(親)の自己実現や社会参加活動のため」が21.7%となっている。
利用頻度としては、「1週間に2~3回」が32.2%と最も多く、次いで「1週間に1回程度」が21.7%、「1カ月に1回程度」が17.8%、「ほぼ毎日」が11.7%となっており、働いている保護者が定期的に利用している状況がうかがえる。
厚生労働省では、ベビーシッター・サービスを利用する際に勤務先を通じて1日1,700円の補助が受けられる「ベビーシッター育児支援事業」や「産前産後育児支援事業」などの助成事業を実施し、育児支援としてベビーシッターの利用を後押ししている。この制度は、共働きの会社員や公務員に対して補助券が出されるもので、利用に際しては、こども未来財団に申し込み承認を得る必要があるが、この補助により、保育所などと比較して高額なベビーシッター・サービスを利用しやすくなるという利点がある。

かつては一部の富裕層のみが利用すると考えられていたベビーシッター・サービスだが、料金を透明化し、お試し利用割引など、サービス未経験者が利用しやすい仕組みを提供している会社が目立っている。ベビーシッター・サービスは、働いている間に預けるだけでなく、「自分の時間を持ちたい」「リフレッシュしたい」「子育て期でも自己実現を図りたい」といった理由での利用も広がっている。ベビーシッターを利用するニーズは多様化しており、価格や心理面でのハードルが払拭されれば、新たな利用者を呼び込める可能性があると考えられる。

目次

1.起業にあたって必要な手続き

ベビーシッター・サービスの開業にあたって必要な許可申請は特にない。一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。

全国保育サービス協会では、利用者との間に業務委託契約書を取り交わすことが加盟の条件となっている。利用者の信頼を得るために、開業の際に業務委託契約書を準備しておくとよい。また、子どもを預かるというサービスの性質上、万一のために損害賠償保険に加盟することが望ましい。保険会社で設定している保険の他、全国保育サービス協会で設定している保険もある。

2.起業にあたっての留意点・準備

・料金とサービスメニューの設定
現在ほとんどの企業は会員制をとっている。利用料金は入会金、年会費、利用料金、ベビーシッターの交通費などという構成になっているのが一般的である。

地方都市の利用料金相場は、東京の相場の7~8割程度である。サービス価格の高さが利用のハードルとなることが多いため、価格については、大手企業の価格を参考にしながらよく考え、明瞭に提示する必要がある。より付加価値を上げる工夫としては、家事付きサービス、英語による保育、病後児保育、産前産後ケア、自宅外での出張託児サービスなど、乳幼児がいて経済的に比較的余裕のある家庭のニーズに合ったサービスを付加することを検討するとよい。

・利用者へのフォロー体制とスタッフ教育
サービスの質として最も重要なベビーシッターの品質については、保育士や全国保育サービス協会が認定するベビーシッター資格など、何らかの資格保有者を揃えることは最低限必要である。また、資格保有者であっても、常に一定水準以上の能力を維持しうるよう、定期的な研修など、教育システムは欠かせない。さらに、利用者アンケートを定期的に行なう、利用者の不満に対応する窓口を開設するなど、利用者の満足と信頼を得る工夫も必要である。

・販売促進、サービスシステム
かつては限られた富裕層が主に利用していたため、個人の紹介などで新規利用者を獲得することが多かったが、最近ではホームページやフリーペーパーなどの広告、小売店などに置かれたパンフレットなどで見て、ネットや電話などで申し込むケースも増えてきている。このことは、より新規利用がしやすい環境になってきた証左とも考えられる。

販売促進の媒体としては、ホームページ、チラシ、電話帳などが多く利用されている。また、地域密着のサービスであるため、地元の小売店、医療機関、コミュニティ団体などと提携し販促物を置かせてもらうなど、地元企業・団体の協力を得ながら、自社の知名度を上げる工夫も必要である。

全国保育サービス協会の利用者アンケートによると、ベビーシッターの利用促進のために必要なこと(複数回答)として、次のような声が上位に挙げられている。「割引券や補助金により、今よりも低い利用料金で利用ができる」69.4%、「一定の質が確保され、信頼できるベビーシッター事業者がわかるような情報提供がある」65.0%、「いつ申し込んでも対応してもらえる」58.9%、「保育中の子どもの様子について報告がある」34.4%、「利用の仕方について、情報提供される」33.9%、「それぞれのベビーシッター事業者について、 詳しい紹介がある」30.6%など。

このアンケート結果からもわかるように、ベビーシッター・サービスの利用に際しては、料金面でのハードルの低さ、事業者およびサービス内容の透明性、ベビーシッターの質、申し込みのしやすさ、といったことが求められている。

オンライン予約や携帯電話からの予約、メールでの対応を可能にする、ベビーシッターの紹介や利用者による口コミを掲載するなど、HPやSNSでの情報公開を進め、ITを活用したサービスを打ち出すことも、既存事業者と差別化できるポイントになるだろう。

3.必要資金例

開業にあたっては、一般的な事務所の設備(電話、FAX、パソコン等の事務機器等)が揃っておれば、ほぼ問題は無く、多額の設備資金は必要としない。開業時の主な出費としては、ホームページ開設や紹介サイトへの登録費用、チラシなどの広告宣伝費と、ベビーシッターの研修のための人件費などが挙げられる。

・必要資金例


※物件取得費は含まない。

4.ビジネスプラン策定例(モデル収支例)

1)経営形態

2)損益計算のシミュレーション

※初期投資一括計上分は、開業費の金額

※減価償却費は、設備工事費・什器備品費等の額を5年で償却したもの

※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値は状況によって異なります。

また、売上や利益を保証するものでないことをあらかじめご了承ください。

(本シリーズのレポートは、作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものですので、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

最終内容確認2013年8月

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