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サービス業
旅行会社

目次

旅行会社とは、交通・宿泊・その他の旅行商品を仲介あるいは自社で企画・催行して旅行者に販売する会社のことをいい、業務内容としては、交通機関の乗車券の代理販売、宿泊施設の予約斡旋および宿泊券の発行、各種旅行の企画および手配が該当する。旅行業等の事業者は旅行業法による登録を必要とし、扱える業務範囲にはその登録によって制限がある。登録する旅行業等の業務範囲は、募集型企画旅行の実施の違いや、海外国内旅行の企画の可不可などによって下記の3つに分けられる。

募集型企画旅行
受注型企画旅行
手配旅行
海外
国内
海外
国内
海外
国内
旅行業者
代理業
第1種旅行業
第2種旅行業
×
第3種旅行業
×
△※
旅行業者代理業
所属旅行業者の代理業
※区域限定の募集型企画旅行(募集型企画旅行を実施する営業所のある市町村と、隣接する市町村および観光庁長官の定める区域内での旅行)に限定される。また、申込金(旅行代金の20%以内)以外の旅行代金は、旅行開始日以降に収受することとされる。

観光庁資料によると、2010年の旅行消費額は23.8兆円で、前年比5.9%減となり、ここ数年減少傾向が続いている。旅行消費額の内訳は、宿泊旅行16.1兆円(観光目的9.7兆円、帰省目的3.8兆円、ビジネス目的2.6兆円)、日帰り旅行5.1兆円、海外旅行国内消費分1.3兆円、訪日外国人旅行1.3兆円となっている。日本の国内消費額に対する外国人旅行の消費額の低さが目立ち、今、国を挙げて外国人観光客を呼び寄せる取り組みがなされている。

旅行のトレンドとしては、シニア世代(60歳以上)の海外旅行者が年間300万人を超え、今後も需要が期待されている。1年間に海外旅行に行ったことのあるシニア世代を対象とした調査では、海外旅行回数(平均)は1.7回、これまでの海外旅行回数が16.8回と、1年に数回、毎年のように海外へ旅行している。シニア向け企画については、物見遊山的な旅行から体験型の旅行へのシフトしていることや、エコツーリズムへの関心が高まっていることなどが特徴として挙げられる。また、直近では、震災復興をキーワードにした旅行企画も目立っている。

総務省資料によると、旅行業者数は日本経済の発展とともに増加し続け、1995年にピークに達したが、その後バブル崩壊により撤退する業者もあり、2011年4月時点で1万240社と微減傾向にある。登録種別の旅行業者数では、全体としてはここ数年微増微減を繰り返している。構造としては、業者数全体の7%の第1種旅行業者の取扱い額が、総取扱額の8割以上を占めている状況である。

旅行業全体の取扱量を見てみると、2009年はリーマンショックに端を発する世界金融危機による景気の悪化や新型インプルエンザ流行の影響を受けて大幅に減少、2010年にはその反動でプラスに転じたものの2008年の水準には回復してない状態で、2011年3月の東日本大震災の影響を受けて減少した。観光庁が発表している主要旅行業者の旅行取扱状況によると、2011年度の取扱額は全体で6兆490億円(前年比0.5%減)、国内旅行で3兆7,670億円(同1.4%減)、海外旅行で2兆2,345億円(同2.0%増)、外国人旅行で473億円(同25.4%減)となった。全体の取扱量に占める割合は低いが、原発事故の影響で外国人旅行者が減少したことが顕著であった。
  主要旅行業者旅行取扱額推移(単位:10億円)
2007年度
2008年度
2009年度
2010年度
2011年度
(速報)
国内旅行
4,059
3,954
3,743
3,822
3,767
海外旅行
2,695
2,421
1,964
2,191
2,235
外国人旅行
62
62
54
63
47
総取扱額
6,816
6,438
5,761
6,077
6,049
  資料:観光庁「主要旅行業者旅行取扱状況年度統計」

1.起業にあたって必要な手続き

・準備資金:基準資産額の要件
 旅行業等の登録は、種別によって登録先が異なる。第1種旅行業者は観光庁長官に、それ以外は主たる営業所を管轄する都道府県知事に登録の申請をする。登録にあたっては、財産的基礎として、基準資産額(=総資産額-繰延資産-営業権-負債総額-営業保証金負担額)が下記のように決められており、登録更新の際には、この基準資産額を満たすことが要件となっている。
・第1種旅行業者:3,000万円以上
・第2種旅行業者:700万円以上
・第3種旅行業者:300万円以上
・旅行業者代理業者:なし

・準備資金:営業保証金の供託
 旅行業者は、旅行者が損害を受けた時に備え、あらかじめ旅行業者の財産の一部を国に預ける必要があり、これを「営業保証金」と言う。営業保証金は、登録業務範囲(第1種、第2種、第3種)と、前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引額(旅行業者代理業者の取引額も含む)に応じて、金額が定められている。なお、新規開業の場合は年間取引見込額が用いられ、旅行業者代理業者は自ら供託の必要はない。
(営業保証金の額の例)

前年の取引額
第1種
旅行業者
第2種
旅行業者
第3種
旅行業者
2億円未満
7,000万円
1,100万円
300万円
2億円以上4億円未満
7,000万円
1,100万円
450万円
10億円以上15億円未満
7,000万円
1,400万円
1,000万円

・資格者の選任:旅行業務取扱管理者
 旅行業および旅行業者代理業者は、営業所ごとに国家資格に合格した旅行業務取扱管理者を1名以上選任し、当該営業所における旅行業務に関し、管理・監督、旅行の取引条件の説明などの業務を行わせなければならない。

2.起業にあたっての留意点

・経営のポイント
  旅行会社の上記の4形態のうち、どの登録を行うかで取り扱える業務範囲が決まってしまう。ただし、要件を満たせば登録変更は可能である。資金面や業務面での何らかの支援がない場合は、第3種などの下位の登録から始め、徐々にステップアップしていくのも良い。募集型企画旅行に該当する「パッケージツアー」を開発し販売する場合は、販売のコストはかかるが完売すれば利益率は高い。一方、手配旅行は、旅行者ごとの要望に基づく予約代行、代理販売となるため、手数料収入となり利益率は低い傾向にある。

 旅行会社のビジネスモデルとしては、(自社のパッケージツアーを始め、他社のリテール、交通機関や宿泊施設の手配、保険などの企画販売を行う)総合旅行会社、(パッケージツアーを自社で企画・開発して他の旅行会社に卸す)専業ホールセラー、(他社企画商品や交通機関のチケット類を販売する)専業リテーラー、(自社商品を開発し直接旅行者に販売する)直販旅行会社など、様々な形式がある。

 販売方法としては、特に交通機関や宿泊施設の予約については、インターネット販売が増加しており、容易に価格比較ができることから、価格競争が激化している一方で、新婚旅行などの需要においては、店舗での販売がまだ大きな比率を占めている。

 仕入れ方法については、ホールセラーが繁忙期に合わせて確実に仕入れを行えるよう仕入れ専門会社を作ったり、宿泊先と連盟を組んだりする方策が取られている。国内旅行の仕入れについては見込みで行われるが、資金の必要が無くリスクは低いが、取り扱い量に応じて手数料が割り増しになったりする。大手各社は特約店制度で中小旅行者の囲い込みを始めている一方で、旅行価格の低下や価格競争の激化で手数料率の低下が目立っている。

 上記のように価格競争が激しく差別化が難しい旅行会社の競争環境は激化しているが、大手代理店が知り得ない地元の情報を活かしたり、トレンドや消費者の趣味趣向に合わせ、より専門的なニーズに合わせた専業企画会社として小さな旅行会社が活躍する場はまだ残っている。旅行業代理業については、第1種、第2種の大手旅行業者の営業所的な役割となっていることから、大手旅行業者の営業所が展開していない地方であれば、新規参入は見込みがあるといえる。

3.必要資金例

第2種旅行業者として地方都市にて開業する場合の必要資金例

4.ビジネスプラン策定例(モデル収支例)

1)売上計画例

2)損益計算のシミュレーション

※従業員数は、初年度~2年度:2人、3年度以降:3人を想定

※初期投資一括計上分は、開業費から営業保証金(預託金)を除いた金額

※減価償却費は、設備工事費の額を5年で償却したもの

※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)


最終内容確認2014年2月

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